中国de音楽4

中国在住の日本人音楽家による、日々の日記です。

金虹橋 Japan FAIR 3日目

 月曜日、上海は曇り時々晴れ。昨日よりも若干気温は低いが湿度が異常に高い 1日だった(寧ろ暑く感じた) 本日は月曜日だが、中国では五一劳动节といってメーデーの祝日である。故に APITAが入っている金虹桥のステージイベントはまだまだ続く。
 怒涛の三日連続イベントに少々体が悲鳴をあげているが、今日までの辛抱だ。頑張ろう!
 実は昨日、ラストの我々のバンドの直前に、今までサブウーファーとして使用していた开心果のベースアンプが壊れて音が出なくなってしまったのだ。しかし本日は元『爆風スランプ』のファンキー末吉さんのバンドが出演されるため、今朝追加でワタクシのベースアンプを持っていく事に。ちょっと考えたが、ウチに有る2台のベースアンプの内デカい方(15inch)を使う事にした(12inchの方が音量は出るんだけど個人的に 15inchの音の方が好みなのでw)。しかしコレがまたクソ重たくて朝から汗だくである。タクシーの運ちゃんには2度ほど拒否られ、3台目でようやくゲット。上海では嘀嘀打车等の携帯アプリでデポジットを積んでタクシーを呼ぶシステムが流行っている為、道端で手を上げて何だかワカラナイ大きめな箱を持った客は乗せたがらないんだなぁ。(本当は乗車拒否は認められていないのだけど、上海の運転手は当たり前に乗車拒否をする)
 そんなこんなで3台目でようやくゲット。とっても親日な運転手さんに当たって何とか無事に現場まで持っていくことができた。これで一安心。
 本日のトップバッターはファンキー末吉さんのバンドゆえ、まずはドラムのセッティングから。今回シンバル類やツインペダルやスネアは全部ワタクシのを提供しているため、ワタクシがドラムのセッティングを行なった。トッププロドラマーが座っても恥ずかしく無い様なセッティングにしなければならないので少々緊張したが、まぁ大丈夫だろう。下の写真はワタクシ的な完成版。

 そして炎天下の中ファンキーさん登場でリハーサル開始。当たり前だがスゲー上手くて感動。久々にプロドラマーのドラミングを至近距離で見る事ができた。ワタクシは超シアワセ者だ。
 あれよあれよと時間は過ぎていき、本番開始タイム。まずはファンキーさんのバンドから。

 お恥ずかしい話、ワタクシは『ファンキー末吉トリオ』さんを初めて拝聴させて頂いたのだが、滅茶苦茶格好良かった。ファンキーさんは言わずもがなだが、このベースの美女が凄いバカテクでびっくり。キーボードも無茶苦茶上手い。昨日同じステージに立ってしまった事が恥ずかしく感じられるくらい凄いステージだった。明日『育音堂』でライブが有るらしいので、上海在住でお時間ある方は是非行って観て『感じて』欲しい。
 そしてその後は、バラエティに富んだタカさん Presentsの様々な出演者が目白押しである。チアリーディングや、

 日本人女性コーラスグループで有名な『J-Voice』さん。

 初日もそうだが、今回痛感したのが『天井が無い屋外』での多人数コーラスの難しさである(ホント難しかった)
 メンバー皆様全員がフルで声を出して下さると比較的簡単に何とかなるのだが、今回は楽曲セレクション的に『囁く様に』歌うパートが若干多かった為、PA的な難易度は更に難しくなる。でもこのグループは『音量のダイナミクス』による表現力がとても良いので何とか「ちゃんと」お届けできる様に頑張った。とにかくハウリングとの戦いなので、演者様には申し訳ないのだが、若干モニタレベルを下げて、観客に届ける声量を重視したセッティングで乗り切った。…とは言え、短い時間での調整は至難の技で、本番のラストの 3〜 4曲目でようやくマトモに音が出る様になったのだが、残念ながら時間の関係でコレでおしまいである。いやぁ…ワンマンならまだしも、大勢のアーティストが出演されるフェス的なイベントでは十分なリハもできないから残念だ。
 そして沖縄三線の皆様のご出演や、

 Sexyで Cuteな素敵なダンスデュオのお二人や、

 アイドルグループ『Lunar』の5名。

 あ、そうそう! こういった(最近増えてきた)多人数のワイヤレスでのヴォーカル物は、踊りながら歌うのが前提なので『立ち位置』が秒単位でコロコロ変わるから、まるで目の前でカードを入れ替えるトランプの手品みたいで、目を皿の様にしてジッと見ていても、直ぐに『いま誰がメインを取っているか?』サッパリ判らなくなるのだ。(みんな似てるしね)
 そんな訳で、今日は色々考えて『新しい技』に挑戦してみた。結果から先に言うとコレが非常に上手く行ったので、個人的には得るものがとても多いステージだった。折角なのでカラクリを共有しようと思う。
 ワタクシが普段愛用しているデジ卓 XR18には Ver.1.5以降に新しく追加された機能として VCA (DCA)と AutoMixが有る。VCAに関してはまぁ PA屋さんは皆ご存知なので割愛するが、今回素晴らしく有効だったのが『AutoMixのグループ処理』である。この機能は、基本的に TV局やラジオ局で使用する事が前提の『多人数スピーチ』用の機能で、複数マイクを一つのグループに纏めて AutoMixをかけると、ある特定の一人が喋っている際に他のマイクの音量を自動的に下げてくれる仕組みになっている(コンプでは無くフェーダーを下げてしまう) これは多人数ディスカッションの際に、複数のゲストが同時に喋るとゲインが上がり過ぎて、あっという間にオーバーロードしてしまうし、常に全てのマイクを適正音量まで上げておくと、人数が多い現場では無駄なフロアノイズがマイクの数だけ増えるので S/Nも悪くなるから、それらを防ぐ目的で考案された放送用途の機能なのだが、「コレって AKB的な歌のグループに使えるんじゃね!?」と勝手な妄想!?で、今回(ご本人たちには申し訳ないがモチロン直ぐに解除できる様に対処しつつ)ヒッソリと実験的にこの機能を使ってみた訳だ。

 するとコレが素晴しくドンピシャで笑いが止まらなかった。いやぁ…もうね「ヲレって天才っ!」って自分でも叫びたくなるくらい、ずーっとニヤニヤしてしまった。個々のマイクに入ってくる実音信号がキーになってサイドチェーンで他のトラックのフェーダーを下げてくれるんだから、こんなに良いものはない。誰が歌ってるかをオペレーターが一々気にしなくても、勝手にソロの声をピックアップして周りを下げてくれるため、常に瞬間的に正しく『ソロのヒトのみ』を選んでくれる。故にメッチャ声は抜けるし、ガッとフェーダー突いても全然ハウらない。全員同時に歌ってもゲインが揃ってるし、ホント良い事づくめだった。(ただしリダクションの割合をちゃんと設定しないとユニゾンではサスガにパワー感が若干減ってしまうケドね。でもその辺は DCAに纏めてワンフェーダーで突いたので問題無かった)
 多分プロの TV屋さんでは当たり前に使ってる技なのかもしれないが、でも今回自分で発見したのが超絶嬉しい(笑)これゲインリダクションの割合もチャンネル毎に細かく設定できるのでメッチャ使えるよ。スゲー!コレがあれば何十人のグループだって DCA指先一本の世界だ。一体今までの苦労は何だったんだろ?(笑)
 その後は合気道あり、

 ラストは谷本光さんの超絶ギタープレイ。

 3日間の全て演目がようやく終了。せっかくなので運営側全員でステージ上で記念撮影。

 いやぁ…濃ゆくて長い3日間だった(苦笑) 初日に『あってはならない』痛恨のトラブルが発生した為、昨日は帰宅後に techツールを使って Macのメモリから SSDからハードウェアの全部のチェックを行い、且つソフトウェアの相性チェックを明け方までしていたのだ。それが功を奏したのか2日目以降は大きなトラブル無く無事に終える事ができて良かった。(結局 SoundForgeのトラブルは一切再現性が無かったので未だに原因不明だが、今後はもう使わない事にした。同業他社の皆様、ワタクシ人柱になりました!Sierra上では SoundForge Pro for Mac2.5は使わない方が良いですよ!)
 いやぁ…ホント疲れたが、心地良い『達成感』があって良い。今日はやっと『ぐっすり』眠れそうだ(笑)大家幸苦了!
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