中国de音楽4

中国在住の日本人音楽家による、日々の日記です。

ホントに真冬?気温摂氏24度

 土曜日。旧正月2日目。中国では『初二』と書く。本日も穏やかな良い天気だった。
 朝はフツーに起きて部屋の片付けの続きを行う。子供が出来てからは『家でモノヅクリは出来ないもの…』と半分諦めていたが、子供も結構大きくなって来たし「ちょっと今年は久々に曲作りをしたいなぁ…」なんて漠然と思い始めたので、家でも作業できる環境を少しだけ整える事にしたのだ。
 昼くらいまで色々と作業していたのだが、何故か12時頃に突然眠気が襲ってきたので、風邪の調子もイマイチだし、そのまま何もせずに昼寝する事にした。
 目覚めたのは午後4時過ぎ。暑くて目覚めたので「ヤバいなぁ…熱でも出たかな?」なんて思ったのだが、部屋の温度計を観てびっくり。エアコン入れていないのに、25度以上を差していた。
 ネットで温度を調べてみたら、上海地方は今日は 24度もあったらしい。ナンデスカこれは!!!! 今は真冬だぜ?

 その後、小腹が減ったのでコンビニまで歩く事に。外は暑いくらいだった。途中で何だか熱心に写真を撮ってる女の子が居たので、何だろう?と思って覗いてみたら、ココは某毛さんの旧居だったんだね。今まで長い事ココを通っていたが、全然気付きもしなかった。


 帰宅後は色々と作業の続きを行った。一昨日 DATデッキを修理してから、ここ数日は何となく敢えてコレを使って、全てのソースを一旦コレに入れてDA変換してから聴いていたのだが、やはり、このデッキの DAC部分(AD/DA)は結構良い! 良いと書くと語弊が有るな。スペック的に優れてるか否かでは無く、自分の『好みの』音がする事を改めて実感したのは確かなので、今後暫くはコレをメインに使ってみようかと思い、セッティングを大幅に変更する事にしたのだ。

 今まで MacPro上の iTunes等で音楽を再生する場合、USB経由で Rolandの OCTA-CAPTUREに送ってココから MACKIEの BIG KNOBを経由して YAMAHAのモニタースピーカーに音を出していた。実は昔は Macのシステム音声(エラー音等のBEEP音など)をオーディオI/Fにルーティングする事に抵抗があり、例えば LogicやProTools等で使ってる最中にシステム音声の割り込みが入ると Digidesignのハード等はサンプリング周波数の切り替え等が上手く行かずにコンフリクトを起こして激しいノイズと共にフリーズする事があったからだ。
 でも Rolandのドライバは非常に優れていて、基本的に電源on/off時もノイズフリーだし、かなりアバウトで乱暴な扱いをしても『しっかり』再生してくれるし、わざと突然電断したりケーブルを引っこ抜いたりノイズが発生する様なシチュエーションを作ったとしても、自動的にミュートする方向にフェイルセーフが働くのだ。今まで色々なオーディオI/Fを使って来たが、こんなに全幅の信頼がおけるドライバは Roland以外に見た事が無い。
 それ故、最近は基本的にMacから発生する全ての音声をココを経由して出力する様にしていたのだが、しかし、どうせ外でミキサーも通している事だし、気分的にはやはり Macのシステム音声系とシーケンサーソフトから出力する音声は分けたい…と常々考えていた訳だ。精神衛生上ね。

 実は OSXが Mountain-Lionになる前までは、digidesign製のオーディオI/F(003)を使っていた関係で、そもそも分けていた。Macの音声は光デジタル出力から Fostex製の ADATコンバーターS/PDIFモードにして、ココで DA変換して BIG KNOBに回していたのだが、何故か Mountain-Lionにしてから、ココにたまにデジタルノイズが乗る様になってしまったのだ。
 非常に不規則なタイミングなのだが、一瞬、数サンプルだけ音が途切れる事があるのだ。大丈夫な時は 30分連続再生していても大丈夫だが、ダメな時は 1曲のウチに 3回も 4回も「プチっ」というノイズが発生する。これには激しくストレスを感じる。
 当初コレはOSのバグかと思ってネット上で色々と探しまわったのだが『光デジタル出力で同期(ワードクロック系)が上手く行かない』といった旨の書き込みをしているヒトが一人も居なかったので、ウチのハード異常かと思って半分諦めざるを得なかった。
 ただ解せなかったのは全く同じハードを使っているのに Lion時代までは、こういう症状が『一切』無かった事だ。長年使っていたシステム&方法論なので余計自信があったし、コレが使えなくなる事が個人的に非常に残念でならなかったのだ。

 ただ、需要と供給のバランスだろう、きっとこの光デジタル入出力をワタクシ程に欲してるヒトが少ないのだから仕方ない…と思って諦めていた。
 しかし、今般古いDATデッキをDACとして使うに当たり、光デジタル入力があるのでコレを使わない手は無い。つまり MacProの光デジタルアウトをこの DATの光デジタル入力に入れて、ココでアナログ変換をした後に卓に出せば、自分の大好きな音に変換される訳だ。
 そう思って一昨日からこの様な接続方法で聴いていたのだが、やはりタマに音が飛ぶ。。。。うーん。何でだろう? 「コレさえ出来ればカナリ美しいシステムになるのになぁ…」と悶々としながら色々と英語のサイトを調べまくって、やっと原因を見つける事ができた。実は何時からか、光デジタル入出力が 16bitのみならず、20bitと 24bitもサポートする様に仕様変更になっていたのだ。しかもご丁寧に、デフォルトが24bitに設定されているらしい。。。 ウチの古いDATは勿論16bitしかサポートしていない(FostexのADATコンバータは20bitまで)何れにせよ24bitはサポートしていない機種である。それ故、一応上位互換とは言えタマにどっかでワードクロック系のエラーが発生していた様だ。
 で、コレの細かい設定は何処でするのかと言うと、ナントOSの『Audio MIDIセットアップ』の中に有った。コレって外部機器だけかと思っていた。灯台下暗しとはこの事よ。

 なぁんだ、ちゃんと 16bit有るじゃーん!! ココを 16bitに設定変更したら、今まで発生していたプチノイズは一切発生しなくなった。いやぁ素晴らしい!実に感動的である。

 折角完全にノイズレスになったので、何でこのDATデッキのDAコンバータの音が好きなのかを研究するべく、OCTA-CAPTUREの S/PDIF出力から DATのデジタル入力に接続して OCTA-CAPTUREからのアナログ 2mixアウトと、この DATの 2mixアウトを BIG KNOBの切り替えスイッチで切り替えて細かく聴き比べてみた。
 一つ判ったのは、どうやらダイナミックレンジのカーブが違うっぽい事だ。要するに例えば 44.1Khz/16bitのソースなら、1秒間に44100回、音が全くしない『無音』から『最大』までの音量の変化を -32767 ~ 32768の 65535 段階の数字の点に割り振る訳だが、この数字の大きさは数学的な規則に基づいて変換される訳なんだけど、音楽に於ける『音量』って等比数列じゃなくて、y=fxといった二次曲線を描く訳で、その曲線のカーブのパラメータというのは、勿論『基準』はあったとしても『正解』は無いんだよね。
 で、このDATデッキはどうもカーブが通常よりキツく、通常以上に小さい音を小さく、大きい音を大きく再現しているっぽい。つまり、直接 I/F上で変換された音よりも、小さい音から大きい音までのレンジが広がって聴こえるのだ。本当に超微妙だけど、ほんの僅かだけBBEの様なエキサイターが掛かった様な音がする…と言ったら判りやすいかもしれない。音量の大きなソースは明るく元気に『前に出る』感じがするし、小さなソースは非常に情感豊かにレンジ感を感じられる。コレひょっとして計算で出してるんじゃなくて、研究で得た一番良いパラメータをテーブルで持ってるのかなぁ? 本当に驚くほど良い塩梅なのだ。
 もちろんコレは決して標準的じゃないので音楽を作る際の『基準』にしちゃイケナイけど、リスナーとして音楽を楽しむ分には非常に心地良い事は確かだ。なので、暫くBGMはコレをメインに使ってみようかと思う。ひょっとしたらAD変換も(SBMと相まって)結構、他の機材には無い『味』が有る音が録れるカモしれないな…なんて考えたら、ちょっとワクワクしたりして(笑)

 いやぁ…先人達は皆『音を良くする事』を真剣に考えて機器の設計を行っていたんだなぁ…なんて改めてジワジワ実感しちゃったりして、モノヅクリ『ニッポン』の底力を改めて感じた夜である。
 音圧競争とか Lo-Fi方向に行っちゃイカンのだよ、やっぱ。 先人達に申し訳ないぢゃないか。。。