中国de音楽4

中国在住の日本人音楽家による、日々の日記です。

日本のドラムメーカー3社製品を中国で叩く日

 土曜日、上海は雨。気温は 32度。イヤな感じの夢(8月の大きめな仕事でのちょっとリアルなトラブルの夢)で目覚めて少々気分が悪い。 …とは言え『予知夢』かもしれないので、対策を講じるべく朝一からメール。先回りできる事はしておいて損は無いものね。
 さて、例によって土曜はドラム講師三昧である。まずは静安寺のヤマハに向かって PMCドラム科のグループレッスンを行う。外は生憎の雨だし、今日は夜に某バンドのリハが有る関係で楽器(ツインペダル)が重いのでタクシーで移動。


 本日の生徒は 5名。テキストはどんどん難しくなってきてるのに、出席率は徐々に上がってきている不思議な状況。良い傾向!?なのかな(笑)先生であるワタクシもこの辺から気を抜けなくなってくるから予習が必要。サスガにヤマハなのでドラムセットも全てヤマハ製。日本が世界に誇る楽器メーカーの老舗である。

 そして、午後からは 伊犁路 x 古羊路の LL barに移動してドラムの個人レッスンなのだが、外は完全な土砂降りで、タクシーが全然捕まらない。嘀嘀打车のアプリを使っても『30人待ち』とか表示されたので、雨の中を自転車で行こうかな…と諦めて外に出たら、ちょうど目の前に 1台のタクシーが停車し、乗っていた客が降車したので、そのままコレを頂く事にした。いやぁ…実にラッキーである。
 LLバーでは個人レッスン。本日は 2コマ 2名のみ。

 この店に置いてあるドラムセットはワタクシの初号機で TAMA製。これも考えてみたら日本の星野楽器だね。(私が買ったこの廉価版 Swing Starシリーズは中国製だが設計はモチロン日本である)シェルはヤマハよりずっと重い。
 そしてレッスン修了後は、本当は高島屋PAの仕事が有るつもりで居たのだが、ちょっと連絡の行き違いで(ワタクシの勘違いで)行かなくても良い事になったので(嬉)、そのまま LLバーにて個人練習である。やはりドラマーにとって生ドラムでの個人練習は不可欠だ。ワタクシは講師なんかやってるクセに弱点だらけなので(自分のダメさは自分が一番良く知っている)とにかく『一歩でも先へ』ヒタスラ練習である。でも 50過ぎてからでも、またホンキでちゃんと楽器に向き合う気持ちになれるんだから人生って不思議だ。プレイヤーとしての才能の無さは 30代の頃に見切りを付けて一度諦めたのにね。でも今は老体に鞭打つツラい練習の方が楽しくて仕方ない。天性のマゾヒストですな。きっと。
 汗が全然ひかないし、腹も減ったので10号線の伊犁路の駅前のマクドナルドで暫し休憩。ダブルフィッシュバーガーと生搾りキウイ?シェイク。

 そして昨日の日記なんか書いて時間を潰した後は、地下鉄 10号線の交通大学駅で降りてリハスタに向かう。今日はこれから某バンドのリハーサルが有るのだ。
 今日来たのは、またまた初めてのスタジオ。名前は『尾纪云』というらしい。法华镇路25弄のマンションの地下に有る。入り口にもスタジオの中にも名前すら書いてない。

 個人が経営してるのかな? 知る人ぞ知る隠れ家!?的なスタジオなのかもしれない。サスガに現地ミュージシャンの情報網には脱帽である。
 迷路の様な地下通路を通って、ようやく見つけた部屋には、ナント『Pearl』製!!! のドラムセットが置いてあった。いやぁ…中国では(特に上海では)パールは非常にマイナーなので少し嬉しくなった。今日一日で主要な日本のドラムメーカー 3社、全部叩いた事になる。いやぁ…ココは中国ですよ!何だか感慨深い。

 これは VISIONシリーズで、Pearlではミドルクラスなのかな? タム類はフローティングフープでシャフトが胴に入らないタイプなので結構良い音がした。個人的な好みで言うと、タムには適度な『撓り(しなり)』が必要だと感じており、パール製はホルダーが非常に強固で太いため安いシリーズは撓らないので実はあまり好きでは無かったのだが、フローティングタイプのタムホルダーが出始めてからはちゃんと撓るし、何より確実に固定できるのが良い。ここのドラムセットはヘッドまで Pearl製のピンストだったので、ひょっとするとまだ買ってから一度も変えて無いのかもしれない。しかし、キックのフロントヘッドにサウンドホールが無いのでハネ返りが強く、キックだけ叩きにくかったのが残念。最近、コッチではこういうスタジオが多くて困る。皆買ったままで穴を空けようとしないのだ。

 そしてリハーサルは良い感じに終了。今日のバンドはメンバー全員中国人のワカモノ達で、完全な『お遊び』セッション的に呼ばれたので一緒に音を出すのは初めてだったのだが、日本の 80年代アングラ臭が漂うオリジナル曲が多くて非常に楽しかった。往年の ZELDAや G-Schmittや 戸川純ヤプーズ)や、泯比沙子(クリナメン)を彷彿とさせる。やっぱこういう音楽好きだなぁ。ワカモノが、不条理な『やり場の無い怒りや悲しみや叫び』を音楽にぶつけた時のパワーが、何だか、とてつもなく愛おしく感じてしまう今日この頃。特にこの国の閉塞感は尋常では無いからね。70年代後半の『東京ロッカーズ』の再来?じゃないけど『上海ロッカーズ』的なムーブメントが起きそうな予感がする。もしそこに微力ながら 1枚でも噛めるのなら、こんなに嬉しい事は無い。ワタクシは惜しみなく協力しますよ。これこそが真の文化交流だと思うしね。パンクってファッションじゃ無くて生き方の『スタイル』の一つだと思う。時に文学的で激しくスノッブだったりするから…。ワカモノは皆そういう激情の一つくらい隠し持っていて良いと思うんだな。オッサン的には。
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