中国de音楽4

中国在住の日本人音楽家による、日々の日記です。

u-he REPRO-5

 水曜日、上海は雨、気温は 7度。また雨、雨、雨。
 Singing in the rain 的な曲では、もう鬱陶しい気分をごまかせなくなってきたので、開き直って大音量で capsuleの『in the rain』を聴きながら出社したら風景とマッチして寧ろ気分が良くなった。
 capsule アルバム『STEREO WORXX』 2012年発売(Yamaha Music Communications)
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 ワタクシは特に EDMが好きなワケでは無い(と言うか、どちらかというと苦手な方)なのだが、ドイツの KRAFTWERKや Tangerine Dream等の 70年代後半から 80年代前半に渡るテクノムーブメント自体は結構好きで、そこから派生したミニマルなアンビエント系のテクノにはとても興味が有ったし結構聴いていたのだ。capsuleについては、Perfumeから中田ヤスタカさんを知り、そこからの流れで逆行して知った…という経緯があるのだが、中田氏が自分で『やりたい事をやりたい様にやるユニット』と豪語している通り、実に実験的で面白いユニットだと思う。寧ろ Perfumeよりも好きな世界である。

 以下は、あくまで個人的な見解なので、音楽好きで反対意見も有るとは思うが書いちゃおうかな。

 テクノって、実は基本的に『暗い』のだよ。個人的には『暗くなきゃテクノじゃない』…とすら思っている。79年に、かの YMOがポップ方向との融合実験をしてしまって、そっちが当たって『テクノポップ』なんて言葉が出てきたが、コンピューターは基本的に冷徹なので、個人的には歌謡曲との相性はあまり良く無いと思っている。 むりやり明るくしようとすると『テクノ歌謡』的なコケティッシュ!?でシニカルな、どこかブラックユーモアを探したくなる様なアンバランスな楽曲になるので、何らかの『毒』が無いと『薄っぺらい』曲になってしまうのだ。コンピュータさんは感情が無いからコソ、友達のフリをすると離れて行く。まぁ料理するヒトにも寄るのだが、チョットした毒を盛る事によって、時に冷徹な暴力性をも出てくるから面白い(っつーかそういうトコが好きだったりする)
 かの YMOも同様で、2ndの『SOLID STATE SURVIVOR』に含まれるポップ路線の楽曲がアメリカのチャートに引っ掛かって一気に有名になった為、Rydeenや Technopolisの様な楽曲 イコール『YMO的なピコピコ音楽』とまで定義されてしまったが、実は(ご周知の通り!?)このアルバムにはシニカルな毒が沢山盛ってあるワケで、暗い楽曲は徹底的に暗いし、そのコントラストが素晴らしく際立っているワケだ。ホント名盤である。そしてライブ盤(Public Pressure)やスネークマンショー的なアルバム(増殖)を挟んで、満を持して出した 5作目のフルアルバム『BGM』でやっとその本性…というか『素顔』を出し始めた。このアルバムがリリースされた当初は業界全体がザワついた。このアルバムはとにかく『暗い』のだ。ホント救いが無いほど暗いワケ。世の中全体が『Rydeen的な続編』を望んでいたにも拘わらず、期待を裏切って敢えて突き抜けたアレをリリースしたアルファ陣営は本当に素晴らしいと思う。非常に示唆に富んでいて、個人的には今でも聴いている一番好きなアルバムである。その後の『technodelic』で徐々に破壊方向に進み始め(コレがまた超絶格好良いのだが当時は全く理解されなかった)その頃色々とメンバー自体の軋轢等も出てきて、様々なオトナの事情も鑑みて「最後に一発パーッと花火上げて散るか!」的なノリで作られた(…かどうかは定かで無いが、個人的にはそう思っている) 7作目『浮気なぼくら』で、ベタベタな『テクノ歌謡』を演じさせられて(これがまた『君に胸キュン』とか、話題性だけで仕掛けられた情けないCMソング)が日本で当たっちゃったりして)本人達は相当複雑な心境だっただろう。『こんなんが売れてしまう世の中』を憂いて!? 散会への道を転がり始めた…。というのは、少々個人的意見で脚色してはいるものの、大筋の展開と思われる。

 えっと、何が言いたかったんだっけか? あ、そうそう『テクノは暗い』という事ですよ。毒が有る方が断然格好良い。毒が無いと全く面白く無い!と個人的には思うワケです、ハイ。

 さて、関係無いが、先日 Native Instruments社のキャンペーンの一環で u-he社のソフトシンセが半額だったので、以前から欲しかった『repro-5』をポチってみた。
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 これはご覧の通り、SEQUENTIAL CIRCUIT社の名器『Prophet-5』のシミュレーターである。一時期各社からコレをシミュレートしたソフトシンセは色々と出ていたが、サンプリングの物が多くてイマイチコントロールが利かなかったり、CPU物はイマイチ似てなかったり?だった。で、色々なレビューを見ると「やはりREPROが一番似ている」という声を多く見かけたので気になっていたのだ。
 そしてようやく購入して遊んでみたのだが、スゲー音が太いし、確かに『懐かしくてそれっぽい』音が沢山プリセットされていた。残念ながら当時、実機を触った事は2回くらいしか無いので(当時は 160万円くらいする高級機だったので)、似てるか似てないかはワタクシは言えないが、『欲しい音』に近い音はカナリ入って大満足である。しかもフィルターやEGも凄く利くので使い出がありそうだ。
 ただ若干CPUを喰うのがタマに傷…って感じかな。サスガに全部のトラックをコレだけで作るのは無理っぽいが、フリーズトラック等を使えばコレだけで結構作り込めそうだ。良い買い物をした。
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