中国de音楽4

中国在住の日本人音楽家による、日々の日記です。

レコーディング 2日目

 火曜日、上海は快晴、気温は 34度まで上がって非常に暑い一日だった。

 本日は某ゲーム楽曲の収録 2日目である。午後一から某スタジオにてワタクシがベースを弾く予定の残り楽曲をまず録る。
 今日の曲もカナリ難しい楽曲ゆえ、結果的には継ぎ接ぎだらけになってしまった(苦笑) 昔じゃ有り得ないパンチの嵐。ProToolsじゃなきゃ出来ない技ですな。いい時代だ。
 ただ今回の作家さんは非常に若い方で、どうもあまりRec現場に慣れてらっしゃらない様なので OKテイクとNGテイクの線引きが『厳しすぎる』ので非常に苦労した。基本的に、レコーディングって、いくら多めに録っても実は結局『最初の 2〜3テイク目』を使う事が多かったりするんだけど、最初は判らないから、録れば録るほど良くなる!って思っちゃうんだよね。。。。今や Melodyne やらエラスティックやら有るのでピッチもタイミングもある程度は修正できるから、それを見越した上で『勢いの有る』テイクを残す方が結果的に良い方向に転んだりするんだけど、修正を踏まえた上での『先を見越す力』ってーのは『経験』以外の何物でも無いから仕方無い。
 それに今回の作家さんは、やはり『イマドキ』の中国の方なので、『譜面』に縛られすぎる傾向が強く、譜面通りに弾かないと直ぐにリテイクが入るので難儀である。ミュージシャンに、ある程度の『自由度』を持たせた方が、最終的には良い作品になったりするのだが、経験が少なくて真面目なヒトほど『ちゃんと』録ろうとするから、時間配分も見えなくなっちゃうんだよね。。。でもコレばっかりは経験の有るオトナが横に張り付いて教えなければ分からないし、本当の意味での『トッププロ』の現場を見学してみないと分からない事だったりするのだ。誰か先輩が言ってあげれば良いのだが、我々の様な雇われミュージシャンの立場で言う事じゃ無いので、仕方ないから頑張って弾きましたよ!もちろん(笑)

 そして午後 4時前になんとか全ての楽曲のベース収録が終了。その後はギターの収録である。ギタリストは昨日に引き続きマルケンさん。
 収録前に色々と昨夜の Recを確認しつつ相談して、今日はマイクを SM57からノイマンのU87Aiに変更することになった。

f:id:hayap24bit:20190605134752j:image コレはヴォーカルの収録としては定番中の定番の超高級マイクだが、なかなかギターアンプの On micとして使うことは少ないのだ(ツルっとしちゃって野蛮な感じが出ないので)。しかし今回の作家さんは Hi-Fiな、所謂『ドンシャリ』な音が好みらしく、ギターアンプから出る音を 57で拾った時に得られる『中域にコシのある太い音』は「音が悪い」と感じてしまうらしい。まぁこういう所も、ループ音源や MIDIばかり使ってるヒトに有りがちな!? 経験不足から来る典型だが、説明するには時間が足りないし、何より簡単には納得してくれないだろうから文句言わずにちゃんと対応!

f:id:hayap24bit:20190605140253j:image 本日はギターの録りがヤマである。非常に多くのトラックを一つづつ作家のリクエストに忠実に録っていく作業は実に骨が折れる。人間には絶対弾けない様なフレーズが demoには打ち込んで有るので「コレはこう変更しても良いですか?」と相談するのだが「どうしてもコレが欲しい」と仰るので、仕方無く無理して弦飛びしたりミュートしまくったり?しつつ、ナンとか頑張る。
 今回はギタリストが日本人なので、先方の要求に従ってワタクシがディレクションするのだが、ほんと申し訳ない気持ちでいっぱいになりつつも、何としても時間内で求められる最高のテイクを目指した。

f:id:hayap24bit:20190605142316j:image (関係ないが、UAの Appoloを初めて使ったが、これカナリ素直な音で良いね。見た目にそぐわず意外とアナログっぽかった。好感度大)

 そして午後 10時過ぎ、ようやくなんとか最難関の 1曲以外の 7曲を録り終えた。ふひー。ちかれた。

f:id:hayap24bit:20190605142736j:image さて!明日は Rec最終日! このまま最後まで頑張るぜいっと。

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