中国de音楽4

中国在住の日本人音楽家による、日々の日記です。

両方届いた

 木曜日、上海は曇りのち雨、気温は朝は 26度で夜は 20度まで下がった。Tシャツだと何となく肌寒い?一日。

 朝は例によってガーデンホテルのジムに寄った後、长乐路の大吉で早めの昼食をとってから出社。別にルーチン化しているワケでは無いのだが、何となく時間的に「そんな気分」になるから不思議である。人間とは繰り返す事によって、より安心感を得られる生き物なのかもしれない。

 さて、関係無いが最近色々な所で、『黒社会撲滅運動?』的なスローガンを見かける。ウチの会社の前にすらこんな垂れ幕が。
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 ナンというか『黒い悪の勢力を処罰し、平穏な社会を守りましょう』的な意味である。多分?想像するに南の方で起きてる色々な一連の事件の関係?なのかな?良くワカランが。何はともあれ上海は色々な意味でとても美しくコントロールされているので表面上平穏そのものである。

 会社に到着したらワタクシの机の上に二つの荷物が。
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 なぁんだ…間に合ったじゃん! 昨日の日記にも書いたが、月曜に買ったイヤモニ用の延長ケーブルは昨日の時点で深圳に一般荷物扱いだったので、間に合わないかと思って、保険をかけて昨日別の店から再手配しちゃったのだ。まさか両方同時に届くなんて…お陰様でスンごい量(笑)
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 一瞬『開封前だし、片方を返品手配しようかなぁ…』とも思ったのだが、まぁ今後アマチュアレベルでもイヤモニを使い始める可能性は高いのでキープする事にした。

 イヤモニってみんなワイヤレスイヤモニばかり想像するけど、実際にプロの現場ってワイヤレスはフロントマンだけで、ドラマーやキーボーディストやパーカッショニスト等々は、実は有線だったりするのだ。有線の方が音が良いし瞬断の心配も無いし、何より手元にミキサーやら CUEボックスを置いて自分でコントロールできるからね。

 そうだ。折角の機会だからイヤモニの良さを語っちゃおうかな(笑)何でワタクシがこんなにイヤモニに拘っているのか?…という点。

 ワタクシは自分自身も音楽家なので『出演する側』の人間ではあるが、生業としては基本的に PA業務やらイベンター業務等々、いわゆる『サポートする側』の仕事をメインにしているワケだ。そんな関係で、有り難い事に日本の玄人さんの現場の舞台裏を直接目の前で見る事ができる為、最新の動向というか、日本の PAさんがどうやって音作りをして、玄人さんが『どういう音』をモニターしながら演奏しているかを、自分の目と耳で体感できる…という非常に恵まれた環境に居るワケだ。
 そこで、イヤモニの素晴らしさは実はカナリ早い段階から着目していて、コレを自分のバンドで再現できないか色々と試行錯誤を繰り返していたのだが、何せ機材が一々クソ高い。プロが使ってる様な機材はクルマが一台買える様な値段だし、そんなのアマチュアレベルで導入するのは不可能である。そんな中『耳元でシッカリ全員の音が聞き取れる…』という『本来の目的』に絞ってシンプルに探っていって、ようやく自分のバンド Avalancheでは完全に自前のイヤモニシステム前提でライブを行える様になったワケだ。何せ玄人さんが聞いている音を知ってるので、それと遜色ない音を、そんなにお金を掛けずに!? 知恵と経験とを駆使して作る事はワタクシにとってはそう難しい事では無い(そういうの大好きだしね/笑)

 そんなワケで、自前のシステムを作ってからというモノ、去年の Nicole Bucker 等でも使ったが、これが、一度イヤモニ使ってライブを演るとクセになる。特にドラマーとヴォーカリストには是非使って欲しいのだ。まずドラマーだが、基本的にドラムって自分の音がデカ過ぎるから、リハでも本番でもマトモに周りの音が聞こえない…という、そもそも不憫な楽器!? なのだ。そのくせリズム楽器で音程を奏でる必要が無いため、音楽全体を俯瞰して眺める事ができる最も良いポジションだったりするから、プロデューサー視点で自分のバンドを眺めるのはドラマーが一番適任だったりするのだが、如何せん周りの音が聞こえないと正しいのか正しくないのかジャッジできない。これがイヤモニを使うとどうだろう! ホントすんごいよ。全ての楽器(特に歌)がスンごく良く聞こえるから、ヴォーカルに寄り添ったドラミングができるのだ。それこそブレスのタイミングとか?どこで、どんだけ感情込めて歌ってるとか、どこでどんだけタマる…とか?そういうのも判っちゃうワケ。そりゃ表現の幅が広がるワケさ。但し、自分の生音が小さくなるから、慣れるまでは無意識に大きめに叩いてしまうので注意が必要だけどね。
 そしてヴォーカリストは言わずもがな。まず、近くに転がしモニタが無いからハウらない!(PA的にはコレが一番嬉しい) そして何せ自分の声がめっちゃ聞こえるから歌いやすいワケだ。そもそもイヤフォンで耳栓をしている様なモノなので、ベルトパックの音量をそれほど上げなくて良い。本来、爆音の中で自分の声を確認するには耳を塞いで自分の骨の振動を聞くのが一番良いので、モニタが聞こえない時に耳を塞ぎながら歌ってるヒトを良く見かける事があるが、アレと同じ原理である。何も音を出さなくても耳栓をした方が実は歌いやすかったりする上、イヤフォンの中に自分の声が大きめに帰ってくるワケだから、こんなに有り難い事は無いわな。但し低域はやはり若干聞こえづらい(というかベースの重低音の『音程感』はヘッドフォンだと却って判りにくい)のだが、面白い事に低音は空気を伝わって回り込んでくるから、外から漏れてくる現場の音で良い具合に聞こえるのだ。
 しかし万能?と思われるイヤモニも実は好みが有る事が判っている。特に歪み系のギターのヒトは『弾きにくい』と言われる事が多い。逆にフュージョン系のヒトはやりやすいらしい。特に歪みに関しては空気を振動させて初めて倍音による音程感が現れる…という傾向が有るので、ヘッドフォンでアンプの音を拾った音を聴くと、いくら音量を上げても自分の音が聞こえないらしいのだ。実に面白い。それとベーシストは、そもそもしっかり『音程感の有る』ヘッドフォンを使わないと、音圧ばかりあって音程感の無い音が耳元に帰ってくる事になるので、寧ろ弾きづらくなったりするらしい。…ただコレも『慣れ』の問題で、往々にして耳元の音量を上げすぎてる事が原因で、外から漏れてくる音をベースに、それを補完する程度の音をイヤフォンから出す様にすると素晴らしく聞こえる様になる。まぁこれらは経験を積むしかないんだけどね。。。

 そんなワケで、イヤモニの素晴らしさは『これはやっぱりアマチュアの皆にも体験してほしいなぁ…』と常々思っているので、今後ワタクシの現場にはどんどん積極的に導入して行こうと思う。故に?これらのケーブルは予備用としてキープしておく! (…って長い言い訳wwww)

 さて、明日は某 Discoライブイベントの仕込み日。明後日は LL Barにてイベント本番。楽しみだ!
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