中国de音楽4

中国在住の日本人音楽家による、日々の日記です。

オンライン講師研修

 金曜日、上海は雨のち曇り、気温は 29度。どんどん涼しくなる。

 朝から息子を学校に送るのだが、駅から遠い少々不便な場所にあるので雨が降ると結構大変なのだ。カッパ被って自転車二人乗り。中国では雨合羽は一般的なのでカナリ多くの人が使っている。
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 濡れないのは良いが、マスクすると非常に窮屈(笑)あとマスクが濡れると呼吸が苦しくなる。
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 学校から帰宅した後は、テキストやら iPadやら荷物類をまとめて、午前 9時には家を出て静安寺のヤマハに向かった。本日は朝 10時から講師研修が有るのだ(ワタクシは教える方ね)

 久々に来たヤマハ。考えてみたら新型肺炎騒ぎ以降は初めてかもしれない。(ワタクシが担当する生徒さんは日本から全然戻ってこれないので、ワタクシのレッスンは『長期休講』扱いだったりする)
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 そして急いで準備して講師業務である。年に数回、中国全土の新人講師をココ上海の雅马哈音乐中心に集めて、ワタクシが講師として PMCドラム科のグループレッスンのメソッド(教え方)を伝授するのだが、新型肺炎の煽りでヤマハでは各地方を跨ぐ移動を自粛しているらしく、今回は初の試みで何と『オンライン』で講師研修を行う…というのだ。ひえ〜(驚)

 ご存知の通り、ドラムという楽器は『タイミング』に非常にシビアな楽器で、仮に 0.16msec.(60fpsで1フレ)遅れただけで、それは「タメ」とか「ツッコミ」という「ノリ」に影響してくる楽器である。つまり、レイテンシーが完全に『0』で、リアルタイムに相互通信ができない限り、ネットワーク越しにアンサンブルすることは文字通り『不可能』なワケさ。それなのに『グループレッスン』の教え方(つまり大勢で一緒に叩いて楽しみながら学ぶ事)を、下手したら 1秒近くも遅れるビデオチャット越しに、どう教えろと???(苦笑)

 そんなワケで、このオンラインの話を貰った際に、即答で「無理です!」と断ったのだが、やはり「どうしても」というので、仕方なく「効果は期待できませんがやるだけやってみます…」と言う流れになった。そりゃ運営側にだって『立場』と『都合』と『思惑』が有る。何にせよチャレンジしない事には始まらないからね。
 中国の良いところは「まぁ失敗してもいいから、とりあえずやってみようよ!」というフットワークの軽さなのだ。こういうチャレンジングな部分は嫌いじゃない。それに今回教える生徒はお客様じゃなくて、各地の『講師』たちだから、いわば身内なワケで、失敗してもクレームが来るわけじゃないし、そういう意味でも多少は気楽である。っつー事でトライしてみる事にした。
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 結果から先に言うと・・・・・・・・・いやぁ超難しかった!!!!(涙)

 今回はトライアルの意味もあったので『重慶』と『瀋陽』の 2箇所のみの接続だったのだが、当然ながら上海〜重慶間と上海〜瀋陽間との通信速度(反応速度)が異なるため、ディレイも二重になって戻ってくるワケさ。しかも当たり前だが上海側でメトロノームを出して「せーの」で叩かせた所で、戻ってくる音は笑っちゃうほど『超絶バラバラ』なワケで、正しいか正しくないかの判断なんかできやしない。

 それに最近のビデオチャットソフトは無駄に高機能ゆえ、実はネットワークの状態が悪い際に一旦詰まった(固まった)データを、回線が良くなった後に一気に『早回し再生』して自動的に時間調整する機能が備わっているっぽいのだ(驚) 会話だけだったら絶対に気付かなかったが、音楽(ことリズム)を流すとすぐにわかる。これを、カナリの頻度で自動的に行うので、先方に一方的に再生してもらっても、ピッチはそのまま速度が速くなったり遅くなったりするワケさ。
 勿論使ってるアプリ(見た事ないアプリだった。多分社内会議用に使ってるものだと思われる)の仕様だろうが、こりゃホント困った。確かに音質は安定してるのだが、リズムが揺らぐ揺らぐ。こりゃ全然使い物にならん。

 そんなワケで、普段の研修では交互に叩かせて、それに対するコメントの仕方等々を踏まえて教えるのだが、今回はほぼ一方通行で、ただヒタスラ自分で喋って自分で叩きまくった 7時間だった。叩きながら大声で説明するので声も枯れるし、先方の反応も画面越しなので今ひとつリアルタイムに感じる事ができないので不安になるし…という、なかなかスペイシーな経験だった。

 いやぁ…なんでもかんでもオンラインで解決しようとするのは無理があるよ。。。やっぱりw

 それでも、終了後は各地の講師達からは『素で』感謝されたので、まぁやってよかったかな。実際にやってみないと分からない事ってたくさん有るものね。何事も経験だ。
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