中国de音楽4

中国在住の日本人音楽家による、日々の日記です。

今日は ZELDA

 火曜日、上海は快晴、気温は 8度で比較的暖かい一日。

 朝 6時半、目覚ましで目覚め、イツモの様に余裕のない朝のバタバタを経て息子を自転車で小学校まで送ってからその足で地下鉄駅まで走り、9号線に乗って松江まで通勤旅行。

 本日の BGMは ZELDAの Dancing Days。昨日に引き続き 80年代の日本のトンガったバンドを聴きながらの通勤、実に幸せな時間。
 長距離通勤はキツいが Apple Musicが古いマイナーな曲まで網羅してくれているのでホント助かる。こんな事でも無ければ改めて昔好きだった曲をじっくりと聴き込む事なんか無かったからね。

 ZELDAは個人的にホント思い入れの強いバンドで、高校〜浪人の頃かなぁ。何度もライブに通った記憶が有る。それくらい好きだった。特にテクニック的に無茶苦茶上手いワケでは全然無いんだけど、退廃的な雰囲気と文学的な歌詞と何より本人たちの『佇まい』が好きだった。

 ワタクシは、それまで中学〜高校時代前半までは『馬鹿テク?フュージョン』やら気取った洋楽のヒットチャートを追いかける様な極端な少年(音楽的にはマセガキ)だったのだが、高校時代に ZELDAと出会ってから、俄然ジャパニーズインディーズの虜になってしまったのだ。

 初めて聴いた時の衝撃は未だに忘れられない。確か友達のウォークマンで聴いた『サラブレッド』という曲だったかな。正直『なんじゃこりゃ?』って感じだったのだが、気になって直ぐにコレが入ってる『CARNAVAL』というアルバムを買って(ウチの近所の新星堂には置いてなかったので取り寄せてもらった記憶がある)文字通り『擦り切れる』まで聴き込んだ。そこから過去に遡ってファーストアルバムを買って、三茶のフジヤマというインディーズ専門のレコード店に行って『招き猫カゲキ団』というインディーズアルバムまで遡った。勿論そこから後にリリースされたアルバムは全部発売日に買ったのは言うまでもない。

 なんでこんなに好きだったんだろう? 今聴きながら振り返ってみると、たぶん『世界観』だな。この一言に尽きると思う。

 自分の中の『本当の暗さ』みたいなものに、高校に入ってから改めて素直に向き合えたのだ。言葉にならない『怒り』とか『哀しみ』みたいなものを音楽で(しかも歌詞で直接)表現して良いんだ!という事に初めて気付いて共感した最初の経験かもしれない。トリハダ立てて叫びまくる…。叫びたかったんだよヲレ。それまでずっと隠して我慢してた(笑) そう、ZELDAの魅力は当時のワタクシにとっては『魂の叫び』そのものに感じたんだな…。

 それまでは、この手の音楽は隠れて密かに聴く!? ばっかりだったのだが、浪人時代に知り合った ZELDA好きの女の子と、大学に入ってから直ぐに ZELDAのコピーバンドを始め、その当時のバンドメンバー達と一緒に4人で『インクスティック芝浦ファクトリー』(だったと思う)まで ZELDAを観に行って爆音を浴びつつ、揉みくちゃになりながら叫びまくったのを今でも覚えてる。
 当時、ZELDAのファンの女の子たち(ガールズバンドなのに何故かファンは女子が多かった)は皆、申し合わせた様にゴシック調?の独特な『黒装束』で、非常に無口な子が多く、入場待ちの行列は、さながら宗教的な儀式に向かう教会の様な異様な様相を呈していて不気味だったが、そういうのも含めて『無言の共有』というか、言い方は悪いが『ハミ出しちゃったもの同士』って感じで、独特の世界観(一体感)を醸し出していたんだよね。

 それまで、ヒトを動かす力は、素晴らしい演奏だったり芸術性の高さ?等のイイ子ちゃん的なキラキラした『感動』だけだと思っていたのだよ。でもホントはドス黒くて汚いココロだったりイヤらしい欲望だったりコンプレックスでも良いのだ。上手いとか下手とか関係なく『真剣に叫べ!』って事を全身で浴びながら知ったのは、高校時代に ZELDAと出会えたお陰カモしれないなぁ。

 それ以降は『ただ上手いだけ』のバンドに興味が無くなってしまった。下手クソでも『刺さる』バンドの方がずっと面白いし好きだ。未だに…ね(笑)

 

 さて! また戯言が長くなった。こういうのを老害と言うんだなきっと。

 出社後はフツーにデスクワーク、そして先週金曜のレッスンをスッポカしてしまったので補講を1時間して、午後からはスタジオに篭ってベース収録。

f:id:hayap24bit:20210113111906j:plain
 iPhone12PMの広角レンズはこういう時便利だね。

 こうして、アレから 30年以上経っても未だに音楽に携わっていられるのだからホント幸せだ。紆余曲折あったが、結局また制作仕事に戻れて良かった。逆に言えばカミサマがこれをワタクシに許してくれた理由が必ず有るはずで、やはり次の世代に何か伝える事…なのカモしれないなぁ。

 行けるものならどこまでも!

にほんブログ村 にほんブログ村へ
にほんブログ村