中国de音楽4

中国在住の日本人音楽家による、日々の日記です。

アナログ

 木曜日、上海は曇りのち雨。気温は 13度。

 朝 6時に自動起床。相変わらず目覚まし要らずの今日この頃。朝のバタバタを経て自転車二人乗りで息子を小学校まで送り、その足で通勤旅行。

 オフィス到着後は、午前中はデスクワーク。

 あ、そうそう!先日申請した PayPalの中国アカウントが無事に通ったらしいので、実験?のため Softubeの AAX DSPプラグインを買おうと思ったのだが、フツーに決済画面まで行くのに最後の『送信』ボタンを押すと、暫く風車が回った後に『原因不明のエラーにより決済できませんでした。カード情報を再確認して下さい』的な英語のメッセージが表示されて、最後の最後でエラーで弾かれてしまった。うーむ。

 色々 PayPalの中国語サイトで調べてみたら所、どうやら販売店によってデビッドカードを拒否している(クレジットカードのみを許可している)店があり、それはペイパルにリンクされてるカードにも適応される?的な事が書いてあったので、ひょっとしてするとコレが原因かもしれない。店にしてみれば、残高不明のデビッドよりも、カード会社が肩代わりしてくれるクレジットカードの方が安心なのは判るが、ペイパル挟んでるんだから残高不足はステータス取れる筈なので別に良いじゃんね。まーボヤいても仕方ない。McDSPの様に普通に決済出来る店もあるのでヨシとしよう。

 午後からは日本との zoom会議である。久々に元 K社時代の後輩と打ち合わせ。来週の本会議の前にプレミーティングというか回線確認も兼ねて顔合わせなのだが、彼らは(日本は)まだ在宅勤務らしく、二人ともそれぞれ自宅からだった。日本はまだまだ大変だ。
 たしか最後に彼の顔を見たのは 6〜7年前に東京ミッドタウンで会った時なので、カナリ久しぶりなのだが、全然変わってなくて笑った。こーんなに離れてるのに、顔を見ながらフツーに話が出来るのが何だか不思議な感じである。良い時代だ。

 会議終了後に自席に戻ったら、同僚がご馳走してくれたお茶が届いていた。コレ美味いんだ!
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 最近は中国もちょっとした?エコブームで、ストローは紙製。紙のストローは口にくっつくからキライなのよね。暫く放置してたらフヨフヨになっちゃうし…。
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 上に乗っかってるクリーミーなチーズクリームがまた格別なのだ。美味しい!
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 夕方からは作曲業務の続きなのだが、今日は全然調子が出なくてダメダメだ。途中で諦めて、先日会社で購入した Prophet-6で遊ぶ事に。
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 1980年代、ライブでも使える(音色メモリーができる)ポリフォニック・シンセサイザーの代名詞と言えば『SEQUENTIAL CIRCUTS』社の 名機『Prophet-5』を誰しも思い浮かべると思う。当時中学生だったワタクシは世界中の一流ミュージシャンが愛用しているプロ5の写真を観ては、ただただため息をついて憧れたモノだ。当時日本円で 160万円くらいする恐ろしいシロモノで、我々アマチュアにとっては楽器屋でホンモノを見る事すら出来ない様な雲の上のシンセだったワケさ。特に我々の様な 60年代後半生まれの YMO世代の音楽家にとっては憧れのまた憧れである。実機に触る機会はホントにレアで、ワタクシ自身も振り返ってみると多分 2回くらいしか無い。

 そして1990年代〜2000年代へと時代は変わってアナログシンセからデジタルシンセが主流になり、安くて良いシンセが巷に溢れ返ったかと思えば、今やソフトウェアシンセサイザーの時代である。ハードそのものは単なる入力装置と化してパソコンの中で音を作るのが当たり前になってしまったワケさ。しかし人間と言うのはホント『アマノジャク』な生き物で、常に『フツーじゃ無いもの』『ヒトと違う物』を求めるし、またファッションと同様に昔流行った物が新しく感じる傾向があるので、またアナログ回帰で上質なアナログシンセの再販されている昨今である。

 また無駄な蘊蓄が長くなったが、要するに80年代の名機だった Prophet-5もその例外ではなく、現代の技術を元にリニューアルされて Propet-6として 6音ポリでDaveSmith社から再販されたワケだが、まぁそれでも 50万円近くするワケ。なのでちょっと手が届かない、っつーか、最近のソフトウェア音源もカナリよく出来てるので、そこまでして本物のアナログにコダワる必要無い…と、ワタクシは個人的に感じているので、まぁ自分でお金出して買おうとは思わないのだが、去年の年末の『予算を消化しなければならない』ミッションの際、上長から「上質なアナログシンセを一台選んでください」というオーダーが有ったので、二つ返事?でコレを提案したワケだ。

 しかし中国では正規の輸入代理店がまだ無いので、会社でのオフィシャルな購買はかなり敷居が高く、色々経由してようやく今月届いた…という。
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 ちょうど同時期に ProTools | CARBONも納入された為、ワタクシ自身こっちのほうが忙しくてプロフェットは全然弄る暇が無かったため、今日ほぼ初めて!? しっかりと向き合った感じである。(モチロン『会社の資産』なのでウチの部の若い衆たちは既にいじり倒してるが w)
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 暫くは置いてあった机で遊んでいたのだが、ちょっと自席からもスタジオからも離れていて不便だったので自席の近くに移動して暫く弄ってみたのだが、やっぱり音が太くて素晴らしい!シミュレーターやプラグインではこのブットイ音は相当コンプをかけないと出ない気がする。

 一点だけ「え?なにこれ故障?」と思ったのは、一度電源を切ってから入れ直すと、ピッチが安定しないのだ。切るタイミングやメモリの呼び出しのタイミングのせいか、突然全てのオシレーターがものすごく音痴になったりするから焦った。

 しかし 5分くらいすればフツーのピッチに戻るので、バグ?と言うよりは『仕様』だろうきっとコレ。オシレーターやフィルター等々はアナログなのだが、エフェクトやアルペジエイターやメモリ系はデジタルなので、要するにハイブリッドゆえ、アナログ部分の初期化?が上手くいってない気がする。電源を入れてから暫く 3秒とか 5秒とか後にいちいちプチ、プチ、という音がするし、その度に勝手に音が変わるのだ。実にアナログっぽくて可愛い。電源切る時には派手な『バチッ!』というノイズも出るので笑える。ヘッドフォン飛ぶっつーの。

 そういえば昔のプロフェット5は電源入れてから 30分くらいしないと音程が安定しないし、個体差がが有るからレコーディングの時は必ず 2〜3台準備する…といった記事を雑誌か何かでみた事があるので、基本設計部分は似た様な動きをするのかも?

 21世紀の我々はデジタルに慣れきってるので、こういう風に『不定期にタマにおかしくなる』という部分は一瞬戸惑うよね(笑)こんだけ高い機材なので、イマドキの人は怒り出す人も居るんじゃないかなぁ。

 機械式高級腕時計と同じで、時間の正確さとか求めちゃイケナイんだよね。こういう部分もひっくるめて『楽しめる』人じゃないと向かない機材カモ。でも『出音』だけは確実に良いのは確かだ。実に奥深い。

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