中国de音楽4

中国在住の日本人音楽家による、日々の日記です。

一夜明けて

 土曜日、上海は曇り時々雨、気温は 27度。天気が悪くて風が強いので気温がカナリ下がった。

 朝 7時、黄浦区の自宅で自然起床。家族はまだ寝ていたので、一人で昨夜の TOKYO2020開会式を改めて頭から見始める。全部で 3時間 55分も有った。日本の実家で録画した内容なので全部日本語解説付きで改めて観たら「なるほど、このシーンはそういう意味だったのね…」って感じで改めて知る部分がとても多かった。海外で放送されている内容はこの手の解説が一切無いのだ(多分リークを恐れて、内容に関しては予め公開されていないのだろう)
 …とは言え、説明されなければ分からないパフォーマンスは、海外の人たちには中々理解し難しいものがある。特にコンテンポラリーダンス系の表現は見る人によって受け取られ方が全然異なるからね。

 午前中のほぼ全部を使って頭からお尻まで(途中の行進部分は気になる国以外は早送りで)全部観たが、やはり昨夜感じたモヤモヤは消えなかった。むしろ確信した。やっぱりこれ『ちょっと違う』と思う。コレが全世界に『今の日本』をアピールする内容として莫大なお金をかけて制作された演出だと思うと、とても残念な内容に感じてカナリ気分が凹んだ。ま、あくまで個人の感想なのだから許してほしい。あはは。

 何というか、一言で言ってしまうと、ショーを通じて『何が言いたい』のかコンセプトがサッパリ分からなかったのだ。もちろん色々並んでたよ。美味しそうなおかずやネタが…。でも繋ぎの『間』とか、順序の『関係性』とか『全体のストーリー感』が残念ながらワタクシにはまるで感じられなかった。
 しかも絵的にも『地味』に感じた(ショーの場合『地味』と『シンプル』って根本的に違うと思うのだ) 海外と違って日本の地元なんだからダンサーさんだって幾らでも増やせるだろうに、大きな空間を存分に使った大勢での大胆な表現や一体感みたいな圧倒されるモノがまるで感じられなかった(どうしてもリオと比べてしまうが、連れて行けるダンサーの数だって絶対的に少なかったであろうリオの方がフィールド全体を使って大胆に表現されていた気がする)

 お客様に『次に何が来るんだろう?』と期待させる様な演出も『なにこれ!こんなの観た事ない!』という様な新しい体験もワタクシには一つも感じられなかった。ドローンでの地球儀とか、技術的には結構凄い事やってるのに、そこに向かっていく演出的な『煽り』というかストーリー性が感じられないので全然感動しなかった。タップダンス? 歌舞伎? ジャズピアノ? いや、確かに世界的にも評価されてる優れた人々ばかりだとは思うけど、この順番で並べる上でのストーリー性とか、このシーンで『伝えたい願いや想い』みたいなテーマって、それぞれ有ったのかなぁ? まさか『日本にもこんなに凄い人がいますよ』って感じで個人を『紹介』しただけじゃないよね? 途中に挟み込まれたカメラクルーとスタッフとのコメディも意味が分からなくて、単なる身内ノリにしか感じなかったワタクシはかなり冷めているのだろう、きっと(苦笑)

 ライブ中継のカメラワークやスイッチングも、全世界に同じ映像が提供されるのなら(少なくとも中国CCTVは同じ映像だった)、もう少しリハでツメて欲しかったかな。日本国旗のアップ状態で会場がブルーアウトしたなら、すぐに他のCAMに切り替えないと不吉な雰囲気が出てしまうし、聖火リレーも次に火が渡った後に、前の走者にスタッフが近付いていって黒い棒状の物体を聖火トーチの後ろ側から差し込んで火を消す姿は正直映して欲しく無かった(しかも一度のみならず何度も!)聖火って、遠くから時間をかけて運ばれた『聖なる火』じゃなかったっけ? 少しは神聖なるイメージを保って欲しかったなぁ。カメラのフレーム外でやるとか、もう少し後にやるとか、何だか個人的にはウルトラマンの背中にファスナーを見つけた時に感じた様な『興醒め』感を感じてしまったよ。
 ドローンだって『口で説明されなきゃ分からない演出』じゃなくて、事前に飛び立つ部分から空に並んで行くまでの映像とか録っといて、それを 10秒でも挟めば説明不要だしもっとインパクト有ったのでは?

 無観客という事は、Vをもっと効果的に挟めた筈だし、ARや VR等を駆使して、どこからどこまでが現実でどこからどこまで仮想か分からない様な演出だって出来た筈。ストーリー性や『流れ』だって Vを使っていくらでも(半ば強引にだって)センス良く補完できただろうに…。

 タラレバじゃないが、それこそリオの閉幕式で担当したライゾマさんや MIKIKO先生が担当していれば…全く違った形になったと思う。実にざんねん。


 …とまぁ、エラそうに立場や状況も理解せずに勝手な事を散々書いてきましたが、そりゃ勿論こうなってしまった『事情』が有るのだと思う(実際ニュースにもなってるしね) ただ、海外から見たら、きっとワタクシが感じた様な事を率直に感じる人は(特にイベント関係者は)結構多いと思うので一応、のちに記憶となるであろう『記録』として素直な心の内を書いてみた(あくまで個人の日記だしね) でもオリンピックを開催するってそういう『重さ』だと個人的には思うわけです、はい。

 ただ、一夜明けて、ネット上のニュース等を見てみると、意外と『良かった』とか『感動した』とかいう意見が取り上げられていたり、既にもう競技の事で頭いっぱい!的な報道のされ方だったので、自分がちょっとズレてるのかな…と思って寂しい思いをしたりしてw

 まいっか…。まぁきっとワタクシ今の世の中からは少しズレているのだろう。あはは。

 さて、午後からは楽器類を纏めてリハスタ Rock Shanghaiへ。外は台風のせいで雲が多くて風が強いが、まだ雨は本格的には降ってなかったので助かる。
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 そして 1スタにて 2時間ほどリハーサル。何っつーか朝から下がったテンションを引き摺ってしまい、今日は何をするにもイマイチで、全然楽しめなかった。
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 帰宅後もクサクサした気分が晴れなかったので、地味に腕時計の電池交換なんかして過ごす。
 TISSOTのバナナウォッチの電池が切れていたので交換。これは裏蓋がネジ留めなので、外すのは楽だが、戻す時は締め付け強度が大事。
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 裏蓋に TISSOTロゴが入ってるのに初めて気づいた。確かにコレは古いタイプなので文字盤にはメーカー名入って無いものね。
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 最後に時間を合わせて一丁上がり。リファレンスはワタクシが持ってる腕時計の中で最も精度が高い GPSサテライトウェーブ(右)
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 因みに右のシチズンGPS腕時計は、どんなに雑に扱っても、どんだけ放置しても、どの時計よりも驚くほど正確にトキを刻み続ける優れもの。これぞ日本の技術力。こういうのが日本の底力だと思うんだけどなぁ…。何だか今日は色々凹むわ。
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