中国de音楽4

中国在住の日本人音楽家による、日々の日記です。

パレード(国慶節1日目)

 火曜日、上海は台風18号の影響で豪雨。気温は 24度。

 本日は中国の建国記念日、いわゆる『国慶節』の 1日目である。朝から北京で行われている軍事パレードを TVで観ながら色んな事を考えてしまった。

 勿論ネットの生放送から直キャプチャーできるのだが、なんとなく憚られるので!? 敢えて自宅の TV を iPhoneで撮った写真なんか載せちゃったりして。(斜めから撮って歪んだ画像にしてるのはワザとですよ。最近の画像検索ロボットは優秀なので)

 これはねぇ…。もう完全な軍事用品の TVCMだわな。後ろに見えるのは ICBMですよ。びっくりサ。
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 ワタクシ的には仕事柄!? 一番驚いたのはカメラワークと音声処理である。
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 これだけの規模で少なくとも 200台は有るだろうカメラ。クレーンの数も半端ない。セキュリティの観点からドローンは飛ばしていないと思われるが、かなりの上空からの絵も有ったのでどうやってるのか謎である(ヘリ程は高く無かった) 上空からだと距離が距離なので映像信号を無線で飛ばしてる?のかな?それにしては全然乱れが無かった。凄い技術力だ。
 地上に設置してある固定カメラに戦車を跨がせたり、大型重機のミラー越しに戦隊が闊歩していく絵が有ったり…と、中々演出も凝っていた。
 無茶なカットも多いであろうに、スイッチャーさんも冷静で、全然破綻無くナニゲにちゃんと絵的にテンポ良く纏まっていたから驚きである。生放送ですよ!コレ。
 音声も各部隊の隊長にはほぼ全員マイクが仕込まれていて彼等の声はシッカリと電波に乗っていたのだが、彼等は基本的にずーっと黙っていて、自分の出番の時のみ『叫び声』を上げるのだ。これは音声さんにとっては中々『酷』な状況である。soloボタンでは次に誰が来るか全くわからない上、30dB以上は有るだろう静寂〜叫び声のレンジ差を『歪まずに』収録して『確実に』フェーダーを上げて電波に載せなければならないのだ。こりゃ相当緊張する現場である。歪むのを恐れてビビって音が小さすぎても映像がシラケるから適正レベルをキープしなければならない(かと言ってコンプ感丸出しも格好悪いし)
 録られる側は基本的に屋外だし、シチュエーションとしては、時に『歩きながら』時に『戦車の中で』とシチュエーションもコロコロ変わるので mixも大変だと思われる。そんな状況なのにフロアノイズも殆ど変化せずにキッチリ mixされていた事に本当に驚いた。要するに無駄に多くのフェーダーを上げているワケでは無く、今流れている映像で使ってるマイクのフェーダーだけが上がっているワケだ。一昔前と違って、ちゃんと機材類をシッカリ理解して駆使しているのだと思われる。
 音質も悪くなかった。隊長さん等があんなに叫んでるのに、あからさまなコンプ感は殆ど感じられなかったし、車内映像に切り替わった際はエンジン音もしっかり入っていたので、ハイパスを掛けすぎてる感も無い。全てのソースの音量バランスがカナリ「ちゃんと」していたのだ。

 いやぁ…こりゃヤバイですよ。今まではココロの中でどっかで安心していて、タマに「まだまだだな」とほくそ笑んだりするシチュエーションが有ったのだが、今年のパレードは驚異しか感じなかった。

 軍人さん達の行進も圧巻。もうね、某アーティストの『増殖∞MULTIPLIES』のジャケットとしか思えない凄い映像。コレ、足を大きく上げて歩いてる最中なのだ! 一人をコピーして並べてるんじゃ無い?っていうほど完全なシンクロだった。ひょっとするとクローンかもしれない(冗談ですよ)
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 女性の隊列は恐怖しかないわ(いや、個人的に中国人女性の性格を熟知しているので尚更w )
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 それと、敢えて写真は撮らなかったが、戦車をはじめ、大型ロケットや無人ステルス戦闘機等を搭載した大型重機(車両)が、真横から見ても殆ど 1cmもズレて無いであろう隊列で走行する姿は、圧巻というより恐怖すら覚えた。戦車なんか多分ドライバーからは目視では真横の車両は見えないよね?
 しかも、この『一糸乱れぬ整列感』を抜くカメラワークも秀逸で、横一列の車両同士が全くズレて無い…という絵を、道路の真横に置いてある『固定カメラ』でシッカリ抜いていて、要所要所でスイッチャーがこの絵を挟むのだ。ニクい演出である。

 関係無いが、その昔、日本の ISUZU ジェミニの CMでクルマ 2台がぴったり寄り添ってダンスする様に走るスタント映像が有ったのだが、アレの真似をしてワタクシも友達の車と 2台横並びで走ってみた事が有る(勿論あんなスタントはできないので、単になるべくくっついて併走するだけなんだけど)のだが、窓越しに見えてる 2台のクルマの車速をキッチリ揃えるだけですらカナリ難しかったのを覚えている。

 つまり…彼等は相当練習している…っつー事だナ。真正面しか視界が無いであろう大型の重機を横一列に4台、1cmもズラさずに全く同じ速度で真っ直ぐ走らせるなんて、どう考えても尋常じゃ無いよ。厳密に言えばアイドリングの速度だって個体差有るんだし。

 そりゃそうと、これまた下らない事なのだが、今回のパレードの全車両及び全航空機は、全て中国の『国産』のものを使ったらしいが、音響で使うヘッドセットマイクはドイツのゼンハイザー製だった(笑) TVカメラも相当数 SONY製が含まれていると思われる。 ま、別にそのくらい良いかw
 本当の脅威は、これら映像&音響機器も全て中国オリジナルにリプレイスされた時…かもしれない。(いや、意外と近い将来だと思うよマジで。使う側が(価格以外のスケールで)『善し悪し』を自分で判断できる様になってきているので)
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