中国de音楽4

中国在住の日本人音楽家による、日々の日記です。

上海公演も大成功

 土曜日、上海は晴れ、気温は10度と肌寒い。
 朝 7時前に起きて 8時前に家を出て会場である『万代南梦宫上海文化中心(バンダイナムコ上海ベース)』に向かう。本日はココの大ホールにて、某アーティストのアジアツアー2017・ツアーファイナル!上海公演が弊社主催で行われるのだ。このツアーは先月の深圳に次いで、弊社担当は 2カ所目。いよいよ千秋楽である。最終日を担当させて頂けるなんて光栄だ。
 そんなワケで午前 8時半に会場到着してからは朝一から怒濤の仕込み。今日は映像叩きがステージ袖で行われる為、まずは HDMIを延長するため FOHからステージまで先日購入した CAT6の LANケーブル 50mを這わせる作業から。このホールは 1000人近く入る中型のホールで、今回もオールスタンディングでほぼ満員なので、お客様の足下にケーブルを這わせるワケには行かない。故に一度『柱』を伝って 2階席まで上げ、そこから 2階席前の照明のバトンを伝って一旦端っこのギリギリの柱まで引っ張り、そこから壁沿いに下に垂らして、床の隅を這わせてステージ裏まで引っ張らなければならない。日本側から予め頂いていた図面では、叩きは上手(客席から見てステージ右側)だったので、そっち側に線を引っ張るのだが、上手 2階のウィング席の端っこは座席が無く、壁の前に出っ張ってる 30cmくらいの幅の梁の上を 5mくらい進まないと端まで到達できないので、ちょーオッカナイ。落ちないように気をつけつつ、久々の高所作業に冷や汗かきながら何とか無事に配線完了。
 そして 1階まで線を下ろして下でバミりながらステージサイドまで引っ張り、Macを繋いで正しくLEDに表示されるのを確認して一安心。直線距離的には足りても、取り回すと足りなくなる事があるので少々心配していたが、長さ的には十分足りたので良かった。
 午前 10時、日本のテックチーム到着に伴い、ステージ制作開始である。そして今回の舞台監督さんより驚きの提案が…「この会場は下入り下ハケなので Vの叩きを下手で行えませんか?」だそうな。うっひゃーマヂか!(苦笑) 勿論、こういうイベント現場というのは往々にして現場を見てみないと分からない事が沢山有り、その場で決める事が多いので別に珍しい事じゃないのだが、さっきの高所作業を思うと老体には少々気が重い(苦笑)
 …とは言え『最終的にお客様が持って帰る感動や笑顔』に繋がる事なら何でもヤルのが我々のモットーである。こういう部分って一見すると直接的にお客様に伝わる部分じゃない様に見えるが、実はイベント制作で最も重要なのがこういう部分だったりするのだ。演者さんやスタッフさんが『演りやすく』なる様にする事が、実は何より最高のパフォーマンスに繋がるし、ひいてはそれこそがお客様が持って帰る『感動』の量に繋がるのだ。これは自分が長い間【出演側】に居たから分かる事かもしれないが、中国ではこういう部分をおざなりにする業者がまだまだ多いのでココは踏ん張りどころ。
 そんなワケで「30分下さい!」と了承を得た後、また 2階に上って忍者みたいに壁沿いの梁の上を歩いて、壁の端まで行って配線を外して戻ってから一度全部下に下ろし、今度は下手(客席から見てステージ左側)まで這わせる。下手側は2階席のウィングが壁まで有るので比較的楽だったが、1階の形が左右でちょっと違ってこちら側には非常口が有り、普段全く使っていないとはいえ不測の事態に備えて配線は慎重にしなければならない。厳重なバミりをしてからようやくステージ袖に到着。映像出してみたら全く問題無かったのでホッと胸を撫で下ろす。
 しかし一難去ってまた一難? 今度はプロンプター用に準備した我々の最も長い 20mの HDMIケーブルのコネクターが壊れてしまったのだ。見てみたら完全にプラスティックが割れて中の端子が露出していた。これじゃどうやっても使えない。うーむ困った。20mのケーブルはコレ一本しかないのだ。。。
 同僚のカンザキと相談してとりあえず、先日カンザキが購入した HDMI-LANケーブル延長機(ワタクシのとは別のブランドの物)を使う事にした。会社が会場の上に有るから出来るこの技。直ぐに取りに行けるので超便利。丁度先日 100mの LANケーブルを二つに切ったので 50mが 2本有るからコレを使えば距離的には十分届く。
 そして持ってきて設置して全部繋ぎ直したのだが、何故かプロンプに絵が全く出ない。直接繋ぐと表示されるので、この中継器に問題が有るらしい。しかし先日社内で検証した際は普通に同じプロンプに表示できたのだ。実に妙だ。そうこうしているウチに時計の針はどんどん進んでいく(焦)
 新しいケーブルを買いに行ってる時間は無いし、会社中を探しても最長が 5mだったので、現在の立ち位置を考えると不可能である。うーむ…こういう時こそ冷静にならなければイケナイ。
 良く考えてみたらテスト時はカンザキのプロセッサーを通していた事を思い出した。30秒ほど考えた後、彼のプロセッサー自体を持ってきて貰う事にした。少々足下がゴチャゴチャしてしまうが、唯一検証がとれてるモノを使うのが正しい選択。そんなワケで持ってきて接続したら映った!!!いやぁ…良かった。何とかアーティストの入り時間に間に合った。
 その後はサウンドチェック〜リハーサルである。今回は前回の教訓を生かし、シーケンス関連の電源には UPSを挟み、且つシーケンスのバックアップ用に MOTU Ultra-Liteを準備。万全の体制で挑む。

 リハは恙なく終了。そしてあっという間に客入れタイム。でもまぁココまでくれば一安心。

 そして迎えた本番。お客様は大入り満員。良い感じに盛り上がった。

 終了後は怒濤のバラしである。今回はケーブル周りが非常に多いので結構時間がかかるかと思ったら、まぁとは言え『長い』だけで我々が準備したのは 2本なので、あっという間に終了(笑)細々としたモノは全部台車に乗っけてエレベーターで 4階のオフィスへ。何コレ?ちょー楽ちん。
 その後はメンバーご一行の皆様と一緒にバスで打ち上げ会場へ移動。

 楽しい打ち上げは午前 0時半で一旦お開き。そしてその後はレーベルの方達と 2次会に向かってまったり飲む。そして午前 2時過ぎにようやく帰宅。
 いやぁ…長い一日だったがイベントが成功して良かった。
 本日ご来場の皆様、本当にありがとうございました。皆様の笑顔が忘れられません。良かった良かった。
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