中国de音楽4

中国在住の日本人音楽家による、日々の日記です。

只野徳子 Live in Shanghai

 日曜日、上海は晴れ、気温は26度と涼しい一日だった。今日は朝 8時過ぎからタクシーに飛び乗って浦东の花木路x东绣路にあるライブカフェ『开心果』に向かう。本日は例によってライブのPAエンジニア業務なのだ。日曜の朝一は高速道路も空いている。

 南浦大桥も空いていて良い感じ。タクシーもエアコンを止め窓全開なので気分が良い。すっかり秋ですなぁ。

 到着後は只管セッティング。本日のワタクシの現場。

 サクっと仕込んで出演者を待つ。こんな風に余裕が有る事は滅多にないのだが、今日は良い感じ。自分の好きな曲をかけながら細かい調整をするこの時間が結構好きだったりする。

 本日はオーストラリアはメルボルンにて活躍されている日本人津軽三味線奏者の『只野徳子』さんのライブがココ开心果で行われるのだ。
 午前中に仕込んで、お昼のランチ営業はフツーに行い、午後 13時半からリハ開始。そして14時から客入れ〜14時半から開演である。リハも順調に終わりあれよあれよという間に本番。
 2部構成で、1部は只野さんのソロから。

 三味線はアタックが非常に強くサスティンが短いので音を拾うのが結構難しい楽器なのだが、彼女の三味線に取り付けてあったピックアップが非常に優秀で、驚く程『自然な』音が出るのでびっくり。これ多分ピエゾじゃないなぁ…普通のコンデンサーが入っていると思われる。しかもかなりこの楽器の特性に合わせてチューニングされたマイクと見た。三味線や三線にピックアップを取り付けると大体アタック部分が「カンカン」した『痛い』音になってしまうのだ。しかし彼女の津軽三味線は非常に低域がふっくらしていて色気が有る割に、派手にスラップしまくっても痛くない音なのだ。すげー、さすが21世紀。ピックアップもどんどん進化しているらしい。軽く耳につく 2k辺りを落として下は 200くらいから下を若干シェルビングで煽り、あとはコンプで何とか艶っぽく作り込む。我ながら良い感じ。
 そして 2部は二胡とパーカッションと一緒にコラボタイム。子供達を巻き込んだリトミックの時間はとても『ほんわか』して微笑ましい楽しい時間だった。

 その後は 3つの楽器のセッションが続く。中々面白い構成だ。

 そしてライブは恙なく終了。ご本人は移動されてしまったが、二胡奏者とパーカッショニストとの打ち上げに参加させて頂いて色々と話ができて楽しかった。
 いやぁ…津軽三味線、良いね。男の楽器かと思っていたのだが女性が弾くとまた違った『逞しさ』と『色気』を感じて、違う一面を感じられるから面白い。基本的に『攻撃的な音』が出る楽器なのだが、彼女が弾くとヒステリックにならずに奥ゆかしさ!?みたいなモノまで感じられる。実に不思議な感覚だ。まぁ自分の年齢も大いに関係あるとは思うが、演歌的というか、初めて聴いたのに『郷愁』っぽさを感じてしまった。
 終了後は怒濤のバラしである。今日は楽器が少ないので、ほぼ一人で全部バラして、早めの帰宅。
 帰宅後は今日壊れてしまった X-Y型のワンポイントステレオコンデンサーマイクの修理である。実は本日とあるお子様が線をひっかけてしまったらしく左だけ断線してしまったのだ。ワタクシが愛用している R0DEの NT4というマイクはワンポイントステレオなのだが、出力を普通の XLRプラグに変換するために専用の Yケーブル(マイク側 5pin→ XLR x 2)を使っており、このケーブルは特殊なので換えが無い。しかしどうやらこの線が断線しているらしく、リハ後の本番前だったのでセッティングが変えられずテストも出来ないから、仕方なく Channel Linkを一旦バラして、音が出る右チャンネルのみ PANでセンター寄りでセッティングし、右のマイクカプセルが音源の中心を向く様に角度をセッティングしなおして難を逃れたワケだ。…とは言えこのコンデンサーがステレオで使えないと結構困るので、帰宅後に早速修理である。老眼に鞭打って!?頑張りましたよ。

 結果から言うと、左側の 2番ピンの半田が外れていたので、これを改めて半田ごてで修理。フツーに直って良かった。もしカプセルに問題があったらどうしようかと思ったが杞憂に終わった。めでたしめでたし。
 子供達が走り回れる様な現場ではリハ後の配線の養生は本当に重要だと再認識した出来事であった。モチロン子供達には罪は無い。大人の感覚では普通に避ける様な場所でも子供はフツーに走り回っちゃうものね。また一つ経験値が上がった。パラメーターが上がってどんどん強くなる自分(笑)
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