中国de音楽4

中国在住の日本人音楽家による、日々の日記です。

27年前の言動の行方

 月曜日、上海は快晴、気温は 34度。

 朝 6時半、黄浦区の自宅にて自然起床。息子は夏休みなので家族全員を起こさない様にコソコソ準備して家を出る。そして約 2時間弱の通勤旅行で松江某所まで。

 仕事はイツモ通りで特に大きなトピックは無し。お昼に社食に行くために別棟に向かって歩いていたら、空が美しくて思わずため息。完全なる夏の雲。
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 午後もフツーに仕事をしていたら、夕方頃に、元フリッパーズギターの某氏が今週金曜に開催される予定の某世界的イベントの開幕式オープニング楽曲を辞退する旨のニュースが飛び込んできて、非常に複雑な気持ちになった。本番 4日前の辞退である。ワタクシも元イベント屋なので関係者の気持ちが痛いほど良くわかる。ホントに漫画みたいな展開だ。呪われてるんじゃないの?なんて非科学的な事を考えてしまう。

 案の定!? 比較的ギョーカイ関係者が多いワタクシの TLには本件に関する複雑な想いがズラズラと並んでいて、そりゃまぁ色々な意見が並んでる訳だが、一つ言える事は『過去の発言』が Ball & Chainの様に足枷となって一生付き纏う時代なんだな…という事である。『人の噂も七十五日』という時代では無いのだ。

 27年前の不用意な発言。

 もちろん、27年前に発行された某雑誌に記載されてる内容が事実であれば、某氏が子供の頃に行ったであろう行為に関しては決して許されない事だと思う。しかし時代背景もあってか、それを面白おかしく!?掲載した雑誌の方にも問題はあるし(というか発行前に雑誌社内で上までチェックが回ってる筈でOK出してるわけだし)また、発行直後には、これが社会的な問題にならなかった…という時代背景が有ったのは事実だと思う。音楽家は少しトッポい方が格好良い?みたいな煽りも含めて…ね。

 別に某氏を擁護するつもりでは無いので、そこは誤解して欲しく無いのだが、ホントに素晴らしい曲を書く、素晴らしい演奏をするアーティストだったので色々な意味で残念である。
 うまく言えないのだが、芸術ってホント難しくて(あくまで個人的意見であるが)本来は『芸術作品』が評価されるべきなのに『芸術家』が評価される傾向がどんどん強まってる気がするのよね。この情報化社会になってから特に。。。知らなくて良い情報が恐ろしいスピードで世界中を駆け巡ってしまうこの恐ろしさよ。

 ほんと『しょーもない』人が作った作品が、本気で絶賛された時代が有った訳じゃん?19〜20世紀とかは特にさ…。 だって、そもそも『しょーもない人』って知り様が無かった訳だから。でもそれで絶賛された作品が、後から出てきた情報によって『価値』が下がる…というのが、ワタクシ個人的にどーも解せないのですわ。それって最初に絶賛した『あなたの見る目がなかった?』って事にならないのかなぁ? 音楽に限らず絵画だって何だって、その作品に触れた時に『自分が受けた』感情やココロの動きが一番大事じゃないのかなぁ?芸術って…。なぁんて思う訳ですよ。個人的にはね。
 そして、その作品をきっかけにして、作った人に対して興味が湧いて調べたり他の作品を探したりするのは自然な流れだけど、もしそこで『しょーもない人』だった事を知った途端に株価みたいに『作品の価値』が暴落してしまうなら、品行方正な芸術家しか生きていけなくなってしまわない?
 芸術家なんて、どっか破綻してないと出来ないと思うのだ。(勿論やって良い事と悪い事があるし限度もあるけどね)でも今まで、みんな心のどこかである程度そう思ってる…と感じていたのだけど、そうでは無かった…って事だよね。 未来の芸術ってどうなっちゃうんだろ?本気で心配してしまうわ。

 もちろん、某氏が若かりし日にやった事は(報道が事実なら)酷い事だと思うよ。それを自慢気に喋ってた事も含め…ね。 実際、結構昔はやんちゃでホントに酷い人だったのかもしれない。でも、今は分別有る!?いい大人なんだし、本人的にも自分の黒歴史として消し去りたい過去として恥じて生きてきたカモしれないじゃん?…なんてな。 ま『そうであってほしい』という想像に過ぎないけどさ。

 そんな事を考えていたら、エアコンで身体が冷え切ってる事に気付いたので、ちょっと外を散歩。夕方の松江の空も超絶美しかった。
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 何はともあれ、ワタクシ自身もこうして毎日不用意な発言を繰り返しているワケで、こーんな個人のブログですら、死んだ後も数百年くらい残る可能性もあるので、それこそヒヒヒヒ孫くらいまで影響が及んでしまわない様に、発言だけは気をつけようと思う。ほんとに不用意に人を傷つけてしまわない様に!
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