中国de音楽4

中国在住の日本人音楽家による、日々の日記です。

友人のライブ@育音堂

 今日は友達のライブを観に延安路×凯旋路にあるライブハウス『育音堂』に言って来た。ココは上海では珍しい、いわゆる『ライブハウスらしい』ライブハウスである。

 GRで撮ると明るく撮れちゃうからイマイチ雰囲気が伝わらないが、実際は結構暗い路地にあるので、ちょっと下北っぽいアングラな感じが良い。

 某誌の来月号に寄稿した記事の校正依頼があったので、家を出るのがちょっと遅れてしまい、結局午後9時半頃に到着したのだが、丁度30分押しくらいで前のバンド『MLT』さんがセッティングしている所だったので、MLTさんから観る事ができた。
 中の雰囲気はこんな感じ。今回は日本人のバンドが結構出るのだが、それでもお客さんは半分くらいが中国人だった。出演する側にとってはちょっとアウェイな感じが良い意味での緊張感を煽る。

 MLTさんは全編中国語の楽曲を演奏し、しかもMCまで全部中国語だったので、完全に中国人のお客さんの心を掴んで会場は大盛り上がりだった。PAさんもサスガに曲を知ってるだけあって!?他のバンドより結構良いミックスをしていた気がする。

 そしていよいよ友人達の『HIS』の登場である。
 ちょっと驚いたのは、このライブハウス特有なのか、それとも中国ではこれが標準なのか判らないが、何故かセンターにスポットが一切当たらないのだ。
 確かにアングラでロックな雰囲気は醸し出しているが、天井に演者の真正面を当てるパーライトが4本もあるのに、バンド入れ替えとMCの時だけ点けて、曲が始まると何故かフロントは4本とも完全に消してしまうのだ。横と後ろだけ残して、明らかに故意に前を消している。へんなの。所変われば?なのかな?、ちょっと面白かった。



 ご覧の通り、センターボーカルの顔は影になる。全てのバンドの全ての楽曲に於いて、こんな感じだったのだ。不思議〜。日本では有り得ないシチュエーションだ。

 因みに、彼らの後のバンドも結構楽しめた。80年代の王道ロック〜ファンクのカバーを大音量で演るのだが、畳み込む様に知ってる曲ばかり演奏するので、イヤでも盛り上がってしまい、偶然ココで会ったファンファーレの M松さんと一緒にビール片手に踊りまくってしまった。


 今日改めて思ったのは、中国系のライブハウスは、良いとか悪いとかは別にして、音響も照明も中々『クセ』があるなぁ…という事だ。やはりこれはある程度は『傾向と対策』が必要かもしれない。
 照明の面では先に書いた通りだが、音響面も特徴がある。決して機材も音も悪くは無いのだがちょっとミックスにクセがある様だ。
 基本的にスーパーローが超出っ張ってるのでキック等の音圧感はあって非常に良いのだが、逆に言うと低域の音程感が弱く、ベースはモコモコとブーミーな感じになってしまっていたのが惜しい。
 それに全てのボーカルマイクにリミッターがキツくかかってるので歌はダイナミクスに欠ける(コレ知らずに周りの大音響に負けずに大声出しちゃうと絶対喉が潰れる気がする)し、スネアもリムを最大にひっ叩いて丁度良いくらいにセッティングされてるので、歌の途中で弱く叩くと逆に全く聞こえなってしまう事があった。
 あと全体的にEGがデカくミックスされるので、歌とカブらない様なヴォイシングが必要かもしれない(あるいは敢えて細い音にするとか)

 でも、逆に考えればスーパーローでブーミーなビートを出して、ギターで中域を作ってそこにリミッターガチガチの歌を乗せるので、トータルコンプがかかった様なアッパー感はあった。確かにこれならば知らない曲でもノれるかもしれない。

 何はともあれ!?自分が次に出演する時の良い参考になった(実は以前出演した事はあるのだが、客席側からマトモに冷静に聴いた事が無かったので丁度良い機会だった)