中国de音楽4

中国在住の日本人音楽家による、日々の日記です。

月曜日の様な火曜日

 火曜日、雨。台風の影響で丸三日間雨が降り続いている。今朝も雨音で目覚めた。雨音を聴いていると、大昔、Juicy Fruitsというバンドが『27分の恋』というアルバムで歌っていた『いけない・いけないRaindrops』という曲を思い出す。確かコレ、イントロが雨音だった記憶があるのだ。発売されたのは 1982年くらいだったかな?実家にまだLPがあると思うが、確か、『第三次世界大戦が起きた場合、ICBMのスイッチを押されたら、ソビエトアメリカ間はたった27分で到達し、地球自体が滅亡してしまうので、その間に恋をしましょう!』みたいなコンセプトで作られたアルバムだった記憶がある(何せ古い記憶なので間違ってたら申し訳ない)

 当時『ジェニーはご機嫌ななめ』というシングル曲でデビューしたバンド『Juicy Fruits』は80年代のテクノポップブームに乗っかって奇抜な衣装と裏声で歌うボーカルで、一時は『色物』として扱われていた。しかし、実は全て近田晴夫氏のプロデュースで、結構『狙った』かなりトガった実験的な事も演っていた事は意外と知られていない。
 当時Devoとか、ちょっと変わった事をやるのが流行っていた…というノリもあったが、彼らはテクノで括られる事が多かった割に、バンド構成にキーボードやシンセは入っていない。ヴォーカル&ギター、そしてギターとエレキベース、ドラムというシンプルなロック編成の4人組だ。
 どんなキッカケで彼らの事が好きになったのか良く覚えていないのだが、中学生だったワタクシはFMラジオに齧りついて音楽を貪っていたので、そんな時にどこかで彼らの曲を聴いたのだと思う。何をとっても今ひとつパッとしない?(…と言ったら失礼だが)大して上手く無いフツーの大学生バンドの演奏の様に聴こえたのが第一印象だったのだが、中学の同級生に彼らの2枚目の『Juicy a la mode』というアルバムを借りてカセットにダビングした事がきっかけで、後日それを激しくヘビーローテーションする事になった訳だ。
 その理由は、ベーシスト『沖山優司』さんにあった。
 ワタクシはそれまで『ベース』という楽器はギターの下半分4本だけで単音を弾く、単なる『簡単なギター』としか認識していなかった。まぁ中学生である。バンドやる時はくじ引きで、ギターを選べなかった奴が仕方なく担当する楽器だったのだ。
 でも、ジューシー・フルーツは違った。とにかく簡単なコードなのにベースラインが誰より『歌って』いるのだ。決して歌を邪魔しないのに、しっかり歌えるベース。しかも、実際に演奏をコピーしてみると分かるのだが、ホントに激しく難しい。
 とにかく彼のベースをコピーしまくった。当時は家にフォークギターしか無かったのだが、それの下4本だけを使って文字通り完コピして弾きまくった訳だ。ワタクシは彼にベースを教わった様なモノである。
 実は恥ずかしい話、今でもこのアルバムは自分のベースのトレーニングに使っている。指弾きのポップスのバッキングベースとしてマスターしなければ行けない殆どの事がこのアルバムで学べると思う。簡単に音程だけ真似するだけじゃ駄目である。細かい音符の切れ目まで理解して完コピしなければ彼の凄さは分からないと思う。
 何だか日記書いていたらまたベースを弾きたくなったので、今からトレーニングしようっと(笑)