中国de音楽4

中国在住の日本人音楽家による、日々の日記です。

民度と品位

 水曜日の様な木曜日である。今週は国慶節連休の関係で火曜日始まりだったので、体内時計がやっぱり1日ズレたままだ。でも心配しなくて大丈夫!ちゃんと今週土曜日は振替『出勤』日なのだ。中国ってオモシロイ。

 さて、中国…と言えば、ワタクシがこの地で暮らす様になってから早10年近く経つのだが、ご周知の通りこの10年は近代化も著しく、また恐ろしい速度で発展し続ける様子を目の前で(これ見よがしに?)見せつけられて来た訳だ。
 しかし、面白い物で『器』はピカピカの新品にどんどんすり替えられて行くものの『中身』は器ほどの速度は感じられない。

 今朝見かけたのはバスの無賃乗車である。

 上海市内を走る公共のバスは大きく分けて2つある。区間内ならどこからどこまで乗っても値段共通(2元)の短距離路線のワンマンバスと、中に車掌さんが居て二人一組で運行している中長距離路線を走るバスである。どちらも同じバス停に止まるので、乗る時は自分で路線番号を確認して判断するしか無い。
 ワタクシが普段通勤で使ってるバスは基幹道路を通る為、目的地に行くバスは4路線もある。ワンマンバス3路線と中距離バス1路線があり、どれに乗っても良いのだが、今日はタマタマその中距離のバスに乗った訳だ。

 基本的に車掌さんは中年の女性が殆どで、後ろの扉の直ぐ隣にある特等席に座り、後部ドアの開閉を行いつつ、乗って来た人を一人ずつ記憶していて、発車して暫くしてからお金を徴収しに来る訳だ。

 なので、殆どの場合は、この状態で無賃乗車などできない筈なのだが、朝の通勤ラッシュだけは別である。やはり乗客が多い事に加え、中国では乗降ルールなぞ無いに等しい(ヒトに遠慮してると乗れない&降りれない)ので、前後両方のドアから押し合いへし合い一気に乗り降りをする訳だ。

 こんな状況で今乗って来たばかりで且つ未だお金を払っていない人を一瞬で見抜けるほど、素晴らしい洞察力を持っている車掌さんは非常に少ない訳で、また、それこそ「絶対に見逃さないぞ!」と気合いを入れている車掌さんも少ない。結構ユルーく集金している感じなのだ。
 ま、そんな訳でドサクサに紛れてシラーっと無賃乗車する輩が結構居る。今日は目の前に居た結構お金持ちそうなオバサマが、車掌が前のドアの方に気をとられている間に、後ろのドア付近に設置されている料金徴収機を完全に無視して「私払ったわよ!」って涼しい顔して座ってしまった。いやはや…。こういう事は日常茶飯事的に行われているし、気付かない車掌が悪い…的な感覚なので、誰も注意しないのだ。(注意すると逆切れして、やれ面子がどうのこうの、と騒ぎ立てる厄介な輩だったりするからカモしれない)
 でもねぇ…民度というか品位というかサ…。結構良い服着て良いバッグ持ってるのに台無しだ。私が乗るバス停から終点までは最終区間なので2元なのですよ。たった2元(30円)そんな服買えるのに何でたった2元をチョロまかそうって思うんだろ?
 ホント悲しくなる出来事でした。(しかもこういう人が一人や二人じゃ無いから困る)この国の『中身』つまりヒューマン的な部分の成長には、まだまだ時間がかかりそうだ。。。。

 因みに、彼らの名誉の為に書いておくと、それでも8割くらいの人は、自ら車掌さんの近くの集金箱まで歩いて来たり、先に座ってしまったら手を挙げたりして車掌を呼んで自分からお金を払っている。こういうマトモな人も結構居るのに、ほんの数パーセントのダメな人が居るせいで、この国全体のイメージが悪くなっちゃうんだよなぁ。ホント勿体ない。