中国de音楽4

中国在住の日本人音楽家による、日々の日記です。

XBA-N1 リケーブル

 水曜日、関東地方は快晴。気温は 27度くらいでとても暖かい一日だった。本日は一時帰国の予備日としてキープしていたのだが、残念な事に作曲業務の納期と重なっているため、結局朝から晩まで家に缶詰でオシゴトである。あ〜あ。何で毎回日本に帰国する度に狙った様に急ぎの仕事が入ってくるんだろう?ホント不思議だ。まぁ病院での検査結果が良好だったのでカミサマが「ちゃんと仕事しろ!」と背中を押してくれているのかもしれない(笑)
 そんなこんなで、こーんなに天気が良いのに 1.5時間くらいの買い物(妻からの頼まれモノ)のみでずーっと家に引き籠もっていた為、日記ネタが無い。 そこで今回購入した自分用のオモチャの写真をば。


 コレ、今使っているヘッドフォン(イヤフォン)用の交換ケーブルである。ワタクシは普段、外出時は SONYの XBA-N1APを使っているのだが、コレに付属しているケーブルは通話用マイクとリモートコントロール用のスイッチが付いている。コレは一応 iPhone互換ではある(末尾のAPはappleの頭文字と思われる)のだが、どうもアップルの仕様と完全コンパチでは無いらしく機能制限が結構あるのだ。ワンボタンゆえボリューム変更は不可だし、再生停止のコントロールも何故かタマに効かなかったりする。まぁその辺は「あくまでオマケだし通話できるだけマシか」程度で普段使いでは全く不満は無かったのだが、実はこのケーブルにはとても大きな欠点があり、マイクから巨大な音声が入力されると、一瞬音楽信号全体のアースが抜ける感じになって音が 0.5秒ほど途切れるのだ。これはこういう仕様になってるのか、それとも iPhoneとの組み合わせで偶然そうなってしまうのか判らないが、ワタクシの様にオケを聴きながらドラムを叩くシチュエーションでは全く使い物にならない。普通に叩いてる分には反応しないが、キックとシンバルを同時に叩くとほぼ 100%音が途切れる。最初まったく意味が全くわからなくて「何コレ?保護回路?」とか推察しながら色々と試してみて、ようやく『通話用マイクにデカい音が入った時のみ一瞬切れる』…という事に気付いたのだ(マイク部分を口に加えて大声を出すと100%再現性がある)しかし保護回路にしては何処にも記載が無いし、そもそも音声信号ではなくて、外部マイクにデカい音が入った時にだけ 0.5秒くらい音が切れても意味が無いと思うワケだ。なので、多分マイクの感度が高すぎて大きな音が入った際に意図しない回路上に意図しない電圧が発生してしまって誤動作するのだと思う。コレがオリジナルのリモコンマイク付きケーブル。

 ま、何はともあれ、このヘッドフォンのドライバ自体の音質は低域がカナリ盛り上がっていて結構気に入っているのでイヤモニ用途としても十分使えるから、どうにかケーブルだけ一般的な 3.5mmミニフォーン型に交換できないものだろうか。。。と探していたのだ。一応 Hi-Reso商品ゆえ高級オーディオ分野の端っこにカテゴライズされる商品だし、ドライバの根元にもコネクタが付いていて外す事ができる仕様だったのでサードパーティから交換ケーブルだけ出てるのではないか?という淡い期待でネットを探していた所、どうも純正のこのクソ高いケーブルしか無いらしい(泣)
 で、ここ数ヶ月どうしようかウンウン唸って悩んでいたのだが「今回の検査で良好な結果が得られたら自分へのご褒美として買おう」と決めて、今回購入に至った訳だ。
 スノッブなオーディオファンの間で、様々なケーブルを変更する事を『リケーブル』と呼んでいるらしい。我々音楽制作側のエンジニアの間でも都市伝説的に「電源ケーブル換えたら音が劇的に変わるよ」とか良く話題になるが、ワタクシは実はこの件に関しては『変わるモノと変わらないモノが有る』と思っていて、例えば回路に直接関係ない短い電源ケーブル(壁の中の配線の方が細いじゃん的な)や、或いは微細な信号を扱わない比較的大きな電流を扱うケーブル(スピケ等の超巨大電流を扱う物を除く)に関してはカナリ否定的である(モチロン作り自体が粗悪なものを正しいモノに変更する…等々は別ね)
 つまり、ことヘッドフォンケーブルに関しては否定的なのだ。電気屋さん的な観点から見ると、ヘッドフォンに流れる電流ってオーディオ信号の中では結構大きい方だし、接触不良等々以外の原因で、たかが 1m足らずの長さの銅線を交換する事によって音質がそんなに変わる訳無いじゃん!というのが正直な気持ちなのだ。確かにマイクレベルの微少信号を扱うケーブルなら、シールドの編み方一つで外からのノイズに対する影響は直ぐに変化するし、ケーブル自体の長さに応じて変化するインピーダンスの影響で音が変わるのは当然で、それは論理的にも正しいし普段の業務上でも経験している事なので当然の事象として認めているが、たかが 1mちょっとの銅線でドライバ(小型スピーカー)が駆動できる程の大きめな電流が流れる線(しかも特にシールドである必要も無い)を交換した所で、そんなんで音質に変化が有る訳が無い。っつーかこんな短くてインピーダンスが変わっちゃマズいだろう!というのがワタクシの持論だった。故に、こ〜んな短いケーブル一本に 1万円近く払うヒトの気が知れない。(だって新品の良さげなヘッドフォンが買えちゃうじゃん!)というのが本音である。
 しかし、斯く斯く然々ワタクシ的にはイヤモニ用途として使えないと困るので購入に踏み切った訳だ。イヤモニは普通は耳鼻科で耳の型を取って自分専用の耳の形のイヤピースを作る為、最低でも 10万円はかかるからね。この XBA-N1はワタクシ的にはカナリ自分の耳と相性が良く、特に耳の型を取らなくてもシッカリと密閉装着できるし、何より低音が盛り上がってるので歌を歌うシチュエーションには最適だからだ。最近歌の仕事は非常に少ないがワタクシは自分の声の下の成分が無いとピッチが曖昧になるヒトなので、やはり使えるならコレを現場で使いたい…という欲求が高かった、というのが一番の理由かな。

 ケーブルはこんな感じ。Amazonでこのケーブル線のみで(イヤフォン本体無しで)8,800円ですよ。アフォかホント。でもクソまじめな日本の SONY本家が、そんな眉唾な都市伝説的な商品を出す訳も無いので、多少は変わるのだろう…『判るヒトには判るレベルで』きっと。
 そんなこんなで全く期待せずに交換して聴いてみた。
 何度も何度もオリジナルのケーブルと付け替えて色々なソースを聞き比べた。。。。ロックからポップスからテクノからJazzまで、それこそ今 iPhoneに入っている様々なジャンルを取っ替えひっかえ色々とね。。。そして何のフィルターも通さない正直な感想は…。
 え????? ちょっと待て! なにこれマジで音が違うじゃないか!!! まるでヤラセ的な通販サイトの宣伝みたいだが、これマジで大げさじゃなくてホントにフツーに分かるくらい音が変わるのだ。ヲイヲイこんなに変わっちゃったらマズくない? 明らかに低域が太くなってる。ウソだろう? 自分の耳が信じられない。っつーかワタクシの論理思考的には、こんな事があっちゃイケナイのだ。っつーかオリジナル商品が不良なんじゃない? 例の変なリモコンマイクで余計な回路が入ってるから、それが無い事によって音質が変わっている気がする。じゃないと解せないよ。こんなに短いケーブルでしかもイヤフォンレベルの信号でココまで音が変わってしまうのは許されないんじゃない?そもそもコレをオリジナル商品に付けて売らないのが間違ってる…って事にならないかい?
 …等々色々一人でブツブツ唸ってしまったが、まぁ結論から申し上げますと「聴いて判るくらい音は変わります」って事だな。世の中実践してみないと判らない事が多すぎる。いやはや。。。。勉強になりました。

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