中国de音楽4

中国在住の日本人音楽家による、日々の日記です。

Abbey Road 80's Drums

 今日の上海は丸一日雨であった。本当は外に色々と買い出しに行こうと思っていたのだが、カナリの土砂降りだったので、結局外には出ずに丸一日家で過ごした。

 写真は先日購入した独Native Instruments社のドラム音源『Abbey Road 80's』である。ダウンロード販売なのだが、サイズが非常に大きい(8G近くある)ので、2日がかりでようやく落とした。早速インストールして試しに遊んでみたが、いやぁ…スゴく良い。もう笑いが止まらない。

 コレ、80年代を通って来たドラマーなら知らない人は居ない YAMAHA YD9000-RDの完全サンプリングなのだ。『RC』では無くて『RD』ってトコがミソなんだな(フカドーなのだ/笑)
 しかも当時の録音環境にもエラくコダワって完全に再現してて、タムなんかクジラで拾ってNeveのプリで録ってたりするのだ。
 故に、何もせずにプリセットを呼ぶだけで、当時のあの『深胴』の音がする。コレ本当は「しんどう」と呼ぶのだろうが、当時の我々ドラム仲間は皆「フカドー」と呼んでいた。この音を出すのはチューニングが難しいのだ。REMOのピンストライプのヘッドをブルンブルンに緩めて張らないとイケナイのだが、表よりも裏の方が若干低くなる様に張らないと、強く叩いた時にサスティンが下がってくれない。従って表を若干高めにしなきゃイケナイのだが、胴が長いとピッチが上がった際に不協和音が出るから上げられず、実にチューニングが難しいのだ。しかも緩めにチューニングしているせいで叩いているとどんどんピッチが下がって来てサスティンが無くなっちゃったりするんだな。そんな苦労も何だか懐かしい。
 でもこのアプリは完璧なチューニングが施してあった。(まぁ当たり前だけど(笑))

 しかも、また嬉しい事に、たったノブ3つで完璧にコントロールできるゲートリバーブがセットされているのだ。コレがスグレモノでパーツ毎に変えられるので狙った音が直ぐに作れる。フトあの頃(80年代)殆ど全てのバンドがゲート使ってたなぁ…なんて思い出してしまった。あそこまで深くかけるとエゲツ無いが、低いピッチのスネアに軽くかけると実に心地良い!!

 全体的にベロシティを超小さく叩いた時の空気感から、フルショットで叩いた時の部屋の鳴りまで完全に再現していて本当に素晴らしいと思う。ベロシティを変えながら叩くのがこんなに楽しいなんて久々だ。ニヤニヤしながら猿の様に2時間程鍵盤で叩いて遊んでしまった(こんなに音源で長時間遊んだのはXV-5080が出たばかりの頃に即買いした時以来かもしれない/笑)

 ただ、一点だけ難点を言わせてもらうと、クローズハイハットの音だけが気に入らない。イアントーマスの叩き方の癖なんだろうが、個人的にはチップじゃなくて短く切れるショルダーのサンプルも欲しかった。せっかくココまで皮モノが良く録れているので実に勿体ない。(まぁ好みの問題もあるけどね(笑))

 何れにせよ、80年代が好きな作曲家やアレンジャーの皆様、こりゃ『買い』ですよ!!
 今思うと、あの頃って「世の中に無い」「新しいモノを」作ろうと必死になっていた感があって、その『勢い』が楽曲にとって素晴らしいエッセンスになっていたんだと思う。
 やっぱりどんな時代でもアレンジ面や音作りの面では、ひたすらずっと新しい事に挑戦し続ける科学者みたいな人は必要な気がする。