中国de音楽4

中国在住の日本人音楽家による、日々の日記です。

Soundtoys

 今日は土曜だが、久々に休日出勤だった。…がしかし、昨夜の酒が抜けず、二日酔いで午後3時くらいまで使い物にならなかった。なぁにやってんだか。

 さて、結構前からRTASで『使える』Phaserプラグインを探していたのだが、中々良いのが見つからずに困っている。なんというかFlangerやマルチフィルター系エフェクターにオマケで付いてるものが非常に多いのだ。

 ワタクシは実は、生まれて初めて買ったエフェクターフェイザーだという変わった経歴を持つヒトなので、アナログフェイザーには結構ウルサいのだ(笑)

 確かアレは中学生の頃だったかな?いや、もう高校に入ってたかな?記憶がイマイチ定かでは無いが、生まれて初めてKORGのMS-10というモノフォニックアナログシンセを買い、それを使ってラジカセ2台でピンポン録音(多重録音)をしていたのだが、ある日、やはり音作りに限界があるのでエフェクターが欲しくなったワケだ(良くあるパターンだな)。
 しかし全然お金がないので色々と安いものを探して、Amdecという会社のキットのエフェクターなら1万円以下で買えるのを知って、当時友達が誰も持っていなかった『Phaser』を買ったのだ。実はどういう効果があるのか全然知らなかったのだが、それ故興味もあったし、文字通り使い倒したのは言うまでもない。

 今思えばアレは良いエフェクターだった。ノイズは多かったし、電池も直ぐ無くなったが、レゾナンスの効きが絶妙でFlangerとは正反対の上品でスペイシーな音がしたので、ホワイトノイズをハイハット代わりにしてリズミックなものを作っては録音していた記憶がある。
 また、当時友達が買ったYAMAHAの『Porta Sound』というピアニカみたいなプリセットシンセを借りて、オルガン系の安っぽい音にコレをかけて、速度をゆっくりウネラすと、一人でニヤニヤ笑ってしまう程気持ち良くて、興奮して一晩中遊んでいた記憶がある。(今思えば、当時からヘンタイだったカモ知れない)

 ま、そんなワケで、昔ながらのフェイズシフト4段(720度)のアナログフェイザーが私の中のフェイザーの基本の音として刻み込まれているので、当時のコレに似た様な音がするプラグインを探しているのだが、ことデジタルの世界でこういう古いアナログ機器をシミュレートするのは結構大変らしく、「おおお!」っと感じる物に中々出会えないワケだ。

 で、そんなワケで相変わらず最近も探しているのだが、昨今はネットで日数限定のDemo版が使える場合が多いので、とりあえず片っ端から試している。

 カナリ前置きが長くなったが、つい先日何かの記事のリンク先を辿って『Soundtoys』という小さなメーカーのページに辿り着いた。名前すら聞いた事無かったので、全然期待せずに、とりあえずデモ版を全部落として使ってみたのだが、正直ブッ飛んだ。勿論フェイザー目当てだったので、先にフェイザーを試せば良かったのだが、まず一番最初に間違えて立ち上げたこの『DECAPITATOR』というサチュレーションシミュレータみたいなエフェクターで度肝を抜かれたのだ。

 これは要するにヘッドアンプである。アナログの倍音(歪み)をシミュレーションするエフェクター?と言ったら良いかな? 言葉で表すのは非常に難しいのだが、とにかく久々に「おおおおお!スゲー!!」となった。
 派手に歪ませると只のディストーションなのだが、程よく突いてやると、粘りのある良い倍音が出て来て、真空管機材やビンテージ系SolidState機材の歪むか歪まないかくらいの良い塩梅の音が出るのだ。しかも驚いたのは低音が痩せない事! こういう歪み系のってどうも低音が痩せる物が多いのだが、コレは凄く腰があって良い。

 他のエフェクト群も非常にトリッキーだけど、ニヤリとする物が多く、飛び道具的には全部「使える」ものばかりだった。勿論Phaserである『PhaseMistress』も素晴らしかった。こういうのを探してたんだよ!

 ヤヴァイなー。先日『Waves GOLD』を追加したばかりなので予算的には厳しいのだが、これマジで欲しいなぁ…。円高のウチに買ってしまおうかな。…と物欲と戦う今日この頃である。