中国de音楽4

中国在住の日本人音楽家による、日々の日記です。

届いた荷物

 今日は水曜である。上海はココ数週間ずーっと雨と曇りの繰り返しである。ホントにパッとしない天気で気分まで憂鬱になる。
 そんな中、今日は嬉しい事があった。日本の実家から荷物が届いたのだ。実は証券会社から色々と面倒臭い手続きの書類が実家に届いていて、私本人じゃないと記入できない内容が多いので、仕方なくお袋に送ってもらったのだが、どうせ荷物を送るなら…という事で、便乗して来月のライブで使う小物類を買い込んで一緒に送って貰う事にしたのだ。

 まずは追加で買った SHURESM58×2本と CANAREの10mの長いキャノンケーブルが2本。あと写真には映ってないが、CANAREの10mのシールド(フォン-フォン)が2本である。

 実は58は既に2本持っているのだが、今般 3/3に開催される某ライブに、日本から『河島アナム』さんを招聘する事になり、その際、恐れ多い事にナント我々とのセッションもある為、マトモなマイクが足りなくなったのだ。(今回、PA機材はワタクシの個人モノを持ち出して全て対応する)

 実は他にもPA用として使えるのは SM57と beta57がそれぞれ1本ずつ、それにaudiotechnicaの古いダイナミックマイクAKGPAコンデンサ(C1000S)も有るのだが、基本どれも楽器用である。
 57系はハウらないのは良いのだが、ヴォーカルマイクとして使うとイマイチ音が作り辛いし(ハイが持ち上がってるので声が細い人には向くんだけど、今回太い人ばかりなので(笑)ウィンドウスクリーンが無い分『吹い』ちゃうわな)、またtechnicaは下が凄くイイ感じに出るのだが、私が持っているのは老朽化のせいかヌケが悪い。かと行って AKGでも良いのだが、コレは高域の美しさ故ウィスパー系や声量が無い人にはマッチするのだが、声のデカい人では近接効果というかコンプかけてないのにちょっと飽和感が出て無意味に熱くなってしまうのが頂けない。それにコンデンサで指向性が若干甘いので横からのアオりにも弱いから周りの音がデカいロック系はつらい。

 色々考えると『やっぱり』ライブヴォーカルには SM58なのだ。PA用途としてこんなに素晴らしいマイクは多分世の中にコレ以外一種類も無いと、今は本心から思う。

 いつしか前にも書いたかもしれないが、実はこのマイクをワタクシは去年まで完全に侮っていた。昔は単なる『録音ヲタク』だったので「こーんなに音の悪いマイク全然使えない」と本心から信じて止まなかったのだが、実際に自分が店でイワユル『箱付き』のPAを担当してみて、そして色んなマイクで実際に歌ってみて、それこそカタログスペックの良い、これより何十倍も高価なマイクより、この安っす〜い58の方が全然音が作りやすくて信頼できる事にイヤというほど気付かされたのだ。

 雑に扱ってもハウらないし、落としても壊れないし、何より音が良い。いや良いといったら語弊があるな(録音したら決して良い音では無いので…) でもライブで使うと、ちゃんと『自然』に『ライブ』なのだ。スペック上はレンジが狭いのに、ステージで使うと他のどのマイクよりも素直に音が『前に』出る。
 小さく歌えば繊細に、大きく歌っても歪まず過剰に熱くなり過ぎず、ダイナミックレンジ豊かに綺麗に表現できる。うーん何でだろ? 本当にワカラン。こーんなに単純な構造なのに不思議だ? YAMAHAの定番ニアフィールドモニタ NS-10Mと並べて、構造が単純で安いのに何十年経っても業界標準で有り続けるには、それなりの理由があるんだと思う。
 …っつーかコレって『狙って』作ったんじゃなくて、偶然による奇跡に近いんじゃないかなぁ?とすら思ってしまう(笑)今じゃ1本1万円しないのだから…。ホント安くていいマイクだ。
 ま、そんな訳でウチのSHURESM58は目出たく4本になったワケだ。YAMAHAの10Mみたいに、いつか無くなってしまうかもしれない…と思うと10本でも100本でも買っちゃいそう?(ウソです。もう買わないです)
 中国で売ってる58は、ほぼ8割近くが実に精巧に出来ていて見ただけでは分からないニセモノらしいので、送料は高いケドやっぱり日本で買った方が安心だ。


 さて、それと今回意外だったのは、簡易モニタ(転がし)のハウリング防止用に買ってみたグラフィックEQ、BEHRINGER FBQ800。

 安かろう悪かろうのBEHRINGER!?じゃないが、コレも5,000円以下なので全然期待していなかったのだが、これは思いのほか良かった。アンバラの民生機なのだが、いやぁ効くは効くわ!EQがスゲー効く。

 とりあえず動作確認の為に、ちょっと仮で Big Knobとの間に挟んで適当に色々な音楽を聴いているのだが、何だか『オペアンプの音』がして懐か楽しい!
 ワタクシは昔(中学生だった頃)悪友の影響で雑誌『初歩のラジオ』などに載っていた回路図を元に、テキサスの『TL4558』というオペアンプ(IC)を使って、ミキサーなどを(ハンダ付けして)自作をしていたのだが、実際その頃に聴いた音で育っているので、音質の好みで言うと、クラスAとかのソリッドステートなステキな回路よりも、ザラっとトガった(でも腰が入って無い)『オペアンプ一発』の方が体に『しっくり』来るのだ。

 このグライコは、良くも悪くも当時のオペアンプの香りがするのでニヤけてしまう。いやぁ…コレでYMOを聴くと最高である(かくいう今もこの日記を書きながらずっとYMOを聴いている(笑))。
 63Hzくらいの重低音を上げると、当時のステレオ装置にあった『ラウドネス』スイッチを押した時の様な不自然なまでにグイグイ来る低音のウネリが、当時のYMOを形容していた「みぞおちワクワク」「頭クラクラ」状態で、妙にアッパーで実に80年代的な音がするのだ。この「プリッ」とした低音がヤケに興奮する。
 そうそう!当時流行っていた『巨大なステレオラジカセ』の音だ! HiFi側に背伸びした機器なのにアナログカセットというアンバランス。16cmスピーカーで頑張って出す重低音?みたいな。アレだ。まさに。

 こりゃ違う意味で面白いエフェクターかもしれない(笑) 興味のある私と同年代の方はオモチャとして是非! 今ならサウンドハウスさんで4,980円で買えます!