中国de音楽4

中国在住の日本人音楽家による、日々の日記です。

秋の夜長

 月曜日である。中国は今日から新学期である。朝から普段行かない所を通ってアチコチ回って出社。先日撮ったVの編集と実験を丸一日ヒタスラ繰り返す。まず先般クロマ用のグリーンバックで撮った内容をチェックして使えるネタをピックアップする。コレはほぼ全く問題無かった。で次にコレに色々なBGVを合わせて実験してみたのだがココで大きな壁にブチ当たった。
 とりあえず今日は三脚を持って来ていなかったので、iPhoneで適当にBGになりそうな映像を近所で撮りまくって来て、実験的にそれと合成してみたのだが、コレがまた面白いほど馴染まない(笑)いやぁ…ビデオの世界は深いっすね。
 ソフトウェアでコントラストや色味はある程度合わせられるのだが、カナリ近い雰囲気まで合わせてみても、光源、影、フォーカス、被写界深度…と、全てを『狙って』背景を撮らないと絵としてチグハグになるのだ。こりゃ背景を撮影する方がモデルを撮るより何百倍も難しいかもしれない。

 特効やってるテレビ屋さんや映画屋さんはホント凄いわ。これこそ『経験』と『勘』の為せる技だと思う。機材が安くなったからと言って我々の様な素人が真似をして撮っても一朝一夕にはマトモな物は絶対に撮れない。機械的な細かいパラメータだけでなく、寧ろもっとアナログな『構図』や『光の加減(露出や被写界深度)』に当たりを付けて、毎回完成形を考えながら、一つずつ細かく調整して、撮ってみては合成してチェック、気になる点を変更して、また撮ってみては合成してチェック…という事を何十回も繰り返して、ようやくマトモな物に近付く訳だ。これは決して簡単に口で人に教えられるモノではない。しかも合成にはノンリニア編集を使うので、レンダリングにかなりの時間を要する。根気が無ければできない仕事だ。
 どんなに機材が安くなって、どんなにハードウェアの性能が上がっても、最終的には経験と勘とセンスが物を言う世界だ…という事を改めて思い知らされている今日この頃。

 スティルの写真に関しては、私の親父が元カメラマンだった事もあり、子供の頃から好きで(趣味として)結構長い事関わってるので、或る程度の事は経験から学んでるし、そこそこの写真は撮れる!?と自負しているのだが、ビデオって同じ『光』を同じ『レンズ』で扱うのに、本当に『全く』違う世界なので驚いている。最近道を歩いてる時ですら、目に見える風景を動画として捉えて露出とかシャッタースピードとかフレーム数とか考えながら歩いてる自分が居て楽しい。
 でもそうやって(本当に少しずつではあるが)一歩一歩経験を積んで『判らない事』を克服してノウハウが溜まって行くのを実感している。やっぱり根っからの技術者なんだよな…こういうのが楽しくて仕方ない。幾つになっても勉強だ。まだまだ先は長いが頑張って良い作品を作ろうと思う。

 さて、写真は例によって本文とは全く関係ない。仕事を終えてから何となく真っすぐ家に帰りたく無い気分だったので、ちょっと早かったがイツモの店に寄ってみた。


秋の夜長にホッと一息。エアコンはもう要らない。