中国de音楽4

中国在住の日本人音楽家による、日々の日記です。

シチズンの古いデジタル腕時計

 日曜日である。朝から妻と子と3人でタクシーに乗って乐购というスーパーまで行き、色々と買い込んで帰ってくる。そして昼食後に息子が昼寝に入ったと同時に、近所の時計屋に向かった。

 実は今朝、古いデジタル時計の電池が切れてる事に気付いたのだ。ワタクシは基本的にデジタル時計があまり好きではないので、普段は機械式のアナログ時計しかしないのだが、シチズンの超古いデジタル時計を一つ持っていて、それの電池が切れていた。
 確かコレは高校〜浪人の頃に買ったので 30年近く前の代物である。何故かコレだけは(使いもしないクセに)何度も電池交換を続けている。<写真の真ん中の時計>因みに横の二つも数年前に止まったまま放置していた古いクォーツ時計。アナログ文字盤は電池切れで止まっていてもデジタル程の悲壮感が無いので放置していた。

 実はこの真ん中のデジタル時計には思い出があるのだ。ワタクシは小学6年生の頃、塾に行く途中の大船仲通りにあった『コロナ堂』という時計屋さんに良く寄り道をしていた。ガラスのショーケースの高さは小学生の目線には丁度良い高さで、子供の頃から機械モノが大好きだったワタクシは、塾に行く日はほぼ決まって必ずココで10分程度ショーケースを覗いて行くというのが日課になっていた。
 1978年、当時はデジタル腕時計がようやくポピュラーになり始めたばかりの頃で、ストップウォッチ搭載機が全盛で、アラーム付き腕時計はまだ珍しい頃だった。塾の同級生でアラーム付きの時計を持ってる子が一人居て、そいつに色々と機能を自慢されて、素直に「すげー格好良い!未来じゃん!」と本気で憧れて、でもそんな高価な時計が小学生に買える筈も無く、毎日通ってはガラスに張り付いていた訳だ。
 当時のお目当てはたった一つ。シチズンの『マルチアラーム』という時計だった。きっとあまりに熱心に覗いていたのだろう、ある日店の店員さんが、ワタクシにそっとこのマルチアラームという腕時計のカタログを差し出してくれたのだ。とても買える筈の無い小学生にカタログをくれるなんて粋な店員さんである。
 それを持ち帰ってから、朝から晩まで殆ど全てのページの文言を覚えちゃう程、そのカタログを眺めてため息をついていた。そんな小学6年生だった。

 もちろん結局その時は買えなかったのだが、時は流れて高校生〜浪人の頃だったかな? ある日、何の気無しに覗いた時計屋で、今持っているこの時計を見つけてしまったのだ。。。
 確か、この頃には自分でデジアナとかアナデジとか? 80年代的にちょっとは気取った時計をしていたので、例の『マルチアラーム』の熱は醒めきって、その存在すらすっかり忘れ去っていたのだが、パッと見たショーケースの中に、例の時計に激しく似ている外観と、ほぼ全く同じ機能を搭載していて、しかも当時よりずっと安い!その佇まいを見て、一気に気持ちが小学校6年生の頃に逆戻りしてしまったのだ。そりゃ覚えているさ、毎日穴が空く程カタログを眺めていたのである。。。しかも「今なら買える!」って思ってしまったのは言うまでもない。

 あれから早30年。古い割には比較的正確だし、機能は当時の『マルチ・アラーム』と全く同じで、アラームは違う音色で2つも付いてるし、勿論ストップウォッチも逆算タイマーもデュアルタイムも定時チャイムも付いている。加え、当時小6の頃の『マルチ・アラーム』には無かった機能としてリチウム電池を搭載しているので電池寿命が5年近くも持つ…という事で、ほぼメンテフリーなのだ。それ故デジタルは嫌いなクセに、こんなユーラシア大陸の端っこまで持って来てしまったのかもしれない。

 そして、今朝、これの表示が真っ白になってる事に気付く。何というか、普段は何とも思わないのだが、死んでいる姿を見ると居ても立っても居られない気分になるから不思議だ。デジタルは文字が消えるとアナログ文字盤には無い悲壮感が漂う。
 で、どうせ電池を買いに行くんなら『家に眠ってる他のクォーツ時計達も生き返らせて上げよう』という気分になり、引き出しの奥の方で眠っていた使っていないクォーツ時計達を引っぱり出して来て、全部中蓋を空けて電池を取り出し型式を調べた訳だ。

 最初は電化製品を扱ってる大手に行こうかと思ったのだが、よくよく考えてみたら特殊な電池である。家から歩いて15分くらいの所に老房子に小さな時計修理工が一人居た事を思い出して、そっちに向かった。
 どれも古い製品だし、全部日本で購入したものばかりなので、対応する電池は無いかと思って半分諦めていたのだが、意外や意外!あるわあるわ。引き出しの奥の方から引っ張り出して来たので思わず笑顔が出てしまった。「这以外都是进口的、你修什么?能做吗?(このデカいの以外は全部輸入品だよ?君は何を直そうとしてるの?自分で出来るのか?)」と言われたが、やはりエンジニアはエンジニアである。きっとワタクシの嬉しそうな顔が判ったのだろう。笑顔で電池だけ売ってくれた。


 リチウムボタン電池は飛行機に乗せるのに規制があるので、日本で買って送付…という訳には行かないので、コッチで見つけられてホント良かった。
 そして4つの時計の中を空けて電池交換。老眼にはキツい作業だが、こういうの楽しい!

 何故か一つだけ電池を新品にしても動かない時計があったが、それ以外は全部生き返った。何より、このシチズンのデジタル時計が生き返ったのが嬉しい。電池交換後にボタンを押して初めて気付いたが、液晶の内照用ライトはバックライトじゃなくて横にあり、しかも LEDじゃなくて『豆電球』だった(驚)

 いやぁ…クォーツ時計も悪く無いね(笑)


 早く寝るつもりが半沢直樹の録画を見てたら遅くなってしまった。いよいよ来週最終回か…ナニゲに楽しみだ。
 シナリオやストーリーも秀逸だけど、カメラワークとか時間の演出とかホント上手いと思う。最近ちょっと動画をやってるからカモしれないが、こういう部分がヤタラ気になるのだ。さすが日本人的な『コダワリ』があって素晴らしいと思う。
 カメラは若干「寄り」が多過ぎる気がしないでもないけど個人的には好きだな。地上波デジタルになってから必要以上に『毛穴まで見えちゃう時代ゆえのアンチテーゼ』じゃないけど、皆が皆『寄り』を拒んで来た部分に対して、敢えて真っ向からぶつけてきている感があって好感度が非常に高い。やっぱり寄れば寄るほど表情の演出が出て緊張感や心の変化がダイレクトに刺さると思う。このドラマ、緊張感が尋常じゃないモンね。