中国de音楽4

中国在住の日本人音楽家による、日々の日記です。

中国の底力

 金曜日、晴れ。気温は結構涼しくて24度くらい。短い秋の到来である。
 国慶節を前に街が浮き足立って来たが、実際に国慶節に入ってしまうと色々と店が休みに入ったりして不便な事もあるので、用事はこの時期に先に済ませた方が良かったりする。故に今日は iPhoneの修理部品を買いに行く事にした。

 最近ワタクシのiPhone5のスリープスイッチが非常に調子悪い。特に落とした訳でも何でも無いのだが、ココ2ヶ月ほどで徐々に調子が悪くなって来て、最近では10回押して3回くらいしか反応しなくなってしまったのだ。
 色々とネットで調べてみた所、結構同じ症状に苦しんでいるヒトが多い様で、どうやら iPhone5はロットの関係でこのスイッチが不良の物がある様だ。日本では皆 Appleストア等で(初期不良扱いとして?)交換してもらっているらしいが中国では中々そういう事は出来ないので、また例によって自分で修理しようかと思い、パーツを買いに昼休みに上海火车站近くにある『不夜城』と呼ばれる携帯専門アングラビルまで足を運んだ。

 このビルは30年前の秋葉原パーツ街(ラジオデパート等)の様な感じで、ビルの中に非常に小さい店が沢山入っていて、携帯の部品が(新しいものから古いものまで)所狭しと積んであるのだ。勿論その場で修理もしてくれるし、単にパーツ売りだけもしてくれるのだが、非常にゴチャゴチャしていて決して清潔とは言い難い店に商品だかゴミだか分からない様なモノが山積みになっていて、しかも商人達が大声で怒鳴り合ってる様な場所なので少々野蛮!?な雰囲気もあり、一般のヒト(中国人)でもちょっと敷居が高い場所である。
 とは言え、結構『掘出し物』があったりして面白い場所なので、ワタクシ個人的には結構冒険しながら歩くのだ(笑)

 で、今回のiPhone5のスリープスイッチのハナシである。こういった雑居ビルは1Fの便利な立地にある店よりも、往々にして上の方にある目立たない店の方が安く、また技術力も高い事が多かったりするので、ゴミゴミした中を3Fくらいまで上がって行く。そしてアチコチの店を覗きながら技術力の高そうなエンジニアが居る店を選んで声をかけてみた。

 話を訊くと部品だけで120元、修理込みなら200元と言っていたので、最初は部品だけ購入するつもりでいたのだが、「部品が正常動作するかどうか、一旦中を開けてコネクターを差して確認させてくれ!」というので、(彼の技術レベルが分からないので本当は嫌だったが)どうせ後で自分で開けるのでちょっと試しに、任せてみた。
 すると、結構手際が良く、しかもちゃんと細かい部分まで気をつけて扱っていた(フレキ基板は斜めに引っ張ると弱いので外蓋を開ける時等は注意しないと簡単に切れたり接触不良になったりするのだ) しかも彼は蓋を開けてから最短距離で当該コネクターだけを外して、ピンセットを使って器用にそこに挟み込み、全てのボタンをチェックし始めるではないか!
 不良品の部品を高く売りつける店が多い中、ちゃんと部品単位で動作確認して売ってくれるなんて素晴らしいし、単なる部品の動作テストとは言え、コレは非常に細かい作業で意外と時間がかかるモノなのに、サクっと短時間でココまでやってしまったので「こいつはデキるな」という直感をヒシヒシと感じている自分が居た。
 「OK!どうせ蓋を開けたんだから、修理もお願いするよ」と言ったら、今まで他の作業もあったのに、それを一旦止めて机の上を片付け始め、嫌な顔一つせずに無言で作業に入ってくれた。
 そして私が横でベッタリ貼り付いて見ている中、彼は素晴らしい速度で解体をはじめ、あっという間にコネクタ基板を交換してしまった。驚きである。
 一度でもiPhoneを分解した事があるヒトなら分かると思うが、このスリープスイッチはボディの一番下にあるので、全ての基板やら電池やら殆ど全てを取り外さないとこのパーツ部分まで辿り着けないのだ。これはiPhone修理の中でも最も手間で面倒な部類に入る修理である。
 なのに私が見ている目の前で、こんなに早く、しかも迷い無く正確に交換しているのを見せられると、サスガに関心せざるを得ない。こりゃ凄い技術力だ。私もハードウェア関連は結構強い方で自信があるのだが、完全に私の3倍くらいのポテンシャルがある。正直本当に驚いてしまった。しかも部品代を除いた作業費用はたった80元(1,300円くらい)である。それでココまでの修理を一瞬にしてやってしまうのだから凄い。中国の底力を感じた。みんな日本の報道等で中国人は悪いイメージしか無いかもしれないが、実際に凄いヒトは本当に凄いのだ。
 下の写真は交換したスイッチが付いたフレキ基板。写真じゃ分からないかもしれないが、全部で 3cmくらいしかない基板の上に5mm以下のスイッチが4つも付いている。


 修理後は勿論完全動作をしているのは言うまでもない。…というか目の前で修理しているのだから、ネジが足りないとか、コネクタの接続ミスとかは一瞬にして分かるから安心できる。
 いやぁ…良い経験をした。今度から何か壊れたら彼に任せようと思う。自分で修理するよりずっと速いし彼なら信頼できる。あまりに感動したので、ちょっと多めにチップを渡そうかと思ったら一切受け取らなかった。こういう部分もプロっぽくて良い。

 さて、仕事を終えてからは、一杯飲みたかったのでイツモの店に行く。すると常連のオランダ人が来ていたので英語で色々とお喋り。結局メシも喰わずに深夜2時まで飲んでしまった。
 写真は、まず普通に1枚。

 その後、次に彼が感じる日本人的なポーズと、私が感じるオランダ人的ポーズで1枚。何やってんだか。(あれ?後ろに店長が!(笑))

 暫くしたら、何と空海さんが飲みに来てくれた。どうやら出張らしい。いやぁ…本来日本に居る筈のヒトがフラっと訪れてくれると非常に嬉しいモノだ。

 さてさて、下の広告は例によって本文とは関係無いのだが、友達のあやのさんから頼まれた宣伝をば。彼女が国慶節明けの10/12(土)に天山路のYAMAHAにて子供向けのグループレッスンの無料体験会を行うらしい。彼女の教え方は素晴らしいので、小さなお子様がいらっしゃる方は是非参加してみて下さい!