中国de音楽4

中国在住の日本人音楽家による、日々の日記です。

最近の物欲

 水曜日、上海は晴れ。昼は暖かく夜寒い。いよいよ季節の変わり目。上海ではこういう良い気候は実に短い。

 さて、実はココ数週間、久々に身体をクネらす程の『物欲』と戦っている(笑) 明日(4/24)発売の 4K動画対応のミラーレス一眼カメラ『LUMIX DMC-GH4』が欲しくてタマラないのだ。

 この製品が発表されたのが今年の 2/7。ワタクシは Facebook上で大学の先輩がシェアしていたリンクから知ったのだが、さすが Panasonic。民生機で 4K動画が録れる時代が来たのか…という感慨も然ることながら、色々調べて行くと、あまりの高機能っぷりにワクワクが止まらない。
 特にオフィシャルページに上がった動画 http://panasonic.jp/dc/gh4/movie.html に目を奪われた。YouTube上のリンク先を全画面にして、設定(右下のギヤのアイコン)をクリックして是非『HD』以上で観てみて欲しい。こりゃもう映画ですよ。いやぁ…スゴい時代になった物だ。

 この時点で価格は未定だったのだが、先月3月半ばに発売日と価格が発表になった。これまたイヤらしい値段で、色んな意味で疼く価格帯だったのだ。いくらフラッグシップモデルとは言え、単に『マイクロフォーサーズ規格のミラーレスデジタル一眼カメラ』と考えるとカナリ高いが、4K録画可能な『動画に特化したムービーカム』と考えると、完全に業務用の性能を誇る割にはカナリ安く感じる。

 そして、それからこの悶々とした日々が続いているワケだ。
 実は以前にもこの日記で紹介したが、ワタクシは去年の暮れくらいから仕事で動画を扱う様になり(詳細は12/24の日記参照)、グリーンバックの前でのモデルさんの撮影や、日本での背景動画の撮影等で、愛用の Nikonの民生機 D5200で動画撮影を繰り返しているワケだ。
 そこで、ようやく色々とノウハウが溜まって来たのだが、自ずと気になる点や小さな不満が多々膨らんで来ているのも確か。一眼レフでの動画撮影は色々と制約と条件があり、諸々の条件を上手くクリアした場合の仕上がりは、レンズやイメージセンサーの大きさの分、解像度も高く、被写界深度のコントロールもしやすいので、フツーのムービーカムの比では無い程の良い絵が録れるのだが、コレがまた星の数程のパラメーターの組み合わせがあり、カメラの事を知り尽くしたスチルのカメラマンさんが素晴らしい絵が録れる訳ではない…という事が分かって来た。

 特にフォーカス(ピント合わせ)に関しては非常に難儀である。なぜならデジタル一眼レフというのは、本来ファインダーを覗いてピント合わせをする前提で設計されているのだが、動画というのは、当たり前だが『常にミラーが上がっている状態』でなければ撮れないので、ファインダーが一切使えないワケだ。コレに気付くまで恥ずかしながら「なんでファインダーでピント合わせ出来ないんだ!」と真剣に怒りに近い感情を覚えていたのも確か(苦笑)
 カメラについている液晶を使った、Nikonで言う所の『ライブビュー』モードじゃないとダメで、コレがまた小さな液晶上でのピント合わせは想像以上に難しく、ホント現場で何度泣きそうになった事か。。。勿論上位機種(カメラマンさんのCANONはその機能があった)は画面の一部分をアップしてピント合わせができるのだが、それでもやっぱり分かりづらい!(私の民生機はそんな事できないので、本気で合わせようと思ったらマニュアルフォーカスにして撮ってPC上で確認して…の繰り返しでようやくフォーカスが決まる状態(泣))
 しかも、当たり前だが動画撮影なワケなので、被写体は動く。動くと Wide側に振っていても厳密に言うとフォーカスは毎瞬間毎にズレているワケだ。基本的に相当寄らない限り 30fps程度では分からないが、とは言え気になる部分は多々発生するワケだ。

 ココでおさらい、と言うか、ワタクシは愚かなので後から『経験から』学んだ大きな基本的な事項を敢えて書くが、一眼レフのフォーカスシステム(ピント合わせ機能)というのは『静止画を前提に設計されている』という事実がある。いくら大きくて明るいレンズで、大きな素子で画像を受けられるメリットがあろうとも、レンズを物理的に駆動するのは電気で動くモーターで、レンズが大きくなればなるほど、微妙なコントロールは難しくなるワケだ。
 最近のデジタル一眼レフというのは、微妙なピントのズレを調整するオートフォーカス機能は非常に優秀だが、コレは静止画を撮るためにシャッター半押しの『一瞬に限り』限りなく精度を求められるので、多かれ少なかれ必ず前後運動して微調整を行って最適な場所を割り出す仕組みになっている。実際に写真を撮る際には、ほぼ一瞬なので全く気になる事は無いのだが、こと動画となると、実は意外と時間がかかっている事実に驚嘆する。被写体との距離が変わると、一旦リセットがかかったりして、面白い程『逆方向』に一旦フォーカスを振り切る様な動作をする事がある。勿論その間ずっとピンぼけ状態なので、仮にコレが1秒以下でもカナリのストレスに感じるのだ。下手すると iPhoneカメラのフォーカスの方がずっと速く(レンズが小さく、駆動に物理的なモーターを使っていない為)感じる程だ。

 特にダンスの様に被写体が結構な頻度で動く様なシチュエーションをデジイチで撮る場合、100%オートフォーカスは切らなければイケナイ。意図しない所でピント合わせが入ったりするからだ。コレがまた、ほんとイラッと来る(笑)TV屋さん等のプロの動画カメラマンさんなら、フォーカスリングを手で回してあっという間に合わせてしまうのだろうが、そりゃファインダーだから出来る技であって、小さな液晶画面では不可能だ。

 そんなこんなはあるが、こういった小さなストレスを経験として体験していると、ミラーレスが如何に動画に向いているかが良く分かる。こんな事、経験するまで考えた事も無かったが、ミラーとプリズムが無い…という事は実際に撮っている絵は常に イメージセンサーが受けている映像をファインダー部分にある小さな液晶装置に表示しているに過ぎない。つまり、動画撮影中ずっとファインダーを覗いていられるのだ。
 そしてマイクロフォーサーズという規格も実はムービー向きだという事も改めて後から経験によって知った。今やデジイチAPS-Cと言って銀塩カメラと同様の大型のイメージセンサーを搭載する様になり巨大な方が良いだろう…という感覚でいたが、実はイメージセンサーがデカくなる=レンズを太くしなければならない。つまり駆動系はより強靭な物に、より速度を求められる動画には向かない。
 しかもレンズ径が大きくなれば、必然的にナナメから入って来る光も多くなる。とある記事で読んだのだが、銀塩フィルムに比べてイメージセンサーというのはナナメからの光に対して感度が低いらしく、出来る限り直線で受けた方が良いらしい。そういう観点からもマイクロフォーサーズの規格というのは動画としては良く考えられているなぁ…なんて改めて思ったりして。

 最近の LUMIX(Panasonic)のデジカメは、動画の品質を前面に売りにしているのが良く理解出来るし、まさにソコがデジイチで動画を撮る身の人間には激しく響いてくすぐって止まない訳だ(苦笑)嗚呼…欲しい。

 …とは言っても、今あるデジカメが全然使えないのか?と言ったらそんな事は全く無いワケで、自分を納得させる為に、ココ数日 Nikonを持ち歩いては色々撮りまくっている。静止画は全く不満が無い所が悩ましい所だ。

 シャッター速度を落として光の軌跡を撮ってみた(手持ちなので若干ブレてるが)

 AEロックを使って、暗い部分の明るさをキープしてボカしつつ、手前のLEDにピントを合わせてみた。(思いっきりナナメってるが)

 花嫁は大変だ。ウチの近所で夜に結婚式用の写真を撮るカップルなんか撮ってみたり。車のライトの逆光に光るウエディングドレス。

 そんなワケで、このカメラもソコソコ自在に使いこなしてるし、何度も言う様だが、静止画に関しては不満は無いので余計に悩むトコなんだなぁ。
 右肩の天使は「別に今の Nikonで良いじゃん。マイクロフォーサーズになったら、またレンズも買い替えだよ?」と言うし、左肩の悪魔は「だって動画に関してはスゴく不満なんでしょ?仕事でも使うんだし買っちゃえ!買っちゃえ!もうすぐ一時帰国で良いタイミングだ!」と囁く。。。。
 嗚呼…ホント悩む〜(笑)