中国de音楽4

中国在住の日本人音楽家による、日々の日記です。

原口純子さんLive at KaiXinGuo

 土曜日である。台風一過?じゃない通過中?なのかな? 良くワカランが、朝から小雨が降ったり止んだりと、パッとしない天気だった。今日は子供達の夏休みも相まってドラムのレッスンは全部休課。久々に午後まで自宅でゆっくりできた。
 そして午後4時、"Cha"cafe 开心果の1号店に向かう。今日はシンガーソングライターの原口純子さんの上海公演が行われる為、例によって PAエンジニアとしてお手伝いする事になっているのだ。

 今日はメインアクトが弾き語りなので、ステージの中心を空けるべく、ドラムセットを左側にオフセットしたセッティング。
 そしてオープニングアクトはモリシゲさん。オリジナル曲の弾き語りなのだが、いつも詩の世界が深く美しく、情景が浮かぶようでお客様も皆聴き入っていた。

 そして途中からHISのメンバーも加わる。今回はベースのI田さんが出張で不在ゆえ、少々変則的なセミアコースティックバージョンとなったが、コレはコレで音量も小さくてちゃんとした世界観が伝わって悪くなかった。

 セットチェンジを15分くらいかけて念入りに行い、本日のメインアクト、原口純子さんのステージが始まる。

 原口さんは独特の世界観があり、身体全体を動かして揺れる様に気持ちよさそうに歌われるスタイルである事に加え、ギターにピックアップが付いていないので、基本、全ての楽器をマイクで拾うしかない。そのため毎回苦労するのだが、昨年何度か彼女のステージの音響を担当させて頂いた事もあり、色々と勘が効く様になってきた。
 今回はギターのメインマイクに SHURE Beta57と、コレに加え、ギター全体のエア感を拾う為に R0DEの NT2を立てた。レコーディング用のコンデンサーマイクなのでコレをライブで使うヒトは殆ど居ないだろう。
 Beta57でアルペジオピッキング時のニュアンスを拾って、全体のボディ鳴りを NT2で拾った。コンデンサーは指向性が甘いのでモニタに返すとハウるので、モニタは Beta57の音だけを返す。キツめの指向性で若干ハイが上がってる Betaと、指向性が甘い Rec用コンデンサーの組み合わせは、位相(音源からの距離)さえ気をつければ意外とイケるのだ。
 ギターの音はほぼ決まったのだが、リハの途中でどうしてもヴォーカルで使っていた SM-58の音が気に入らず、スイートスポットを外れた時のハイ落ちと音量落ちが尋常では無かったので(彼女の歌はスイートスポットを外れている時間の方が長い事も有り)メインのボーカルマイクもコンデンサーにする事にした。今回使用したのは AKGの C1000S(旧モデル)。コレはハンドマイクの形状をしている割には指向性がカナリ広く、スイートスポットを外れてもハイ落ちしないので動く音源には結構重宝するのだ。ただやはりハウりに弱いのは事実ゆえコンプの設定はシビア行う。(上げすぎるとハウリングが止まらなくなるからね)
 ヴォーカルマイクを変更した事で、自分的にはカナリ満足する良い線まで行ったのだが、問題はこのマイクはポップに弱い事だ。歌っている時は良いのだが、問題は MCである。MC時は静かにマイクの真正面で話すので、するとどうしても、有気音で「ボッ」と吹いてしまうのだ。ご周知の通りコンデンサーは『吹かれ』に弱い。かと行ってスポンジのポップガードを付けると、またハイ落ちしてしまうので中々バランスが難しい。ま、コレは今後の課題かな。
 何れにせよ、今まで担当した彼女のステージの中では最高の音を作れたと自負している。とにかく無事に終了して一安心。
 今日は一瞬たりとも気が抜けない現場だったので、一滴もお酒が飲めなかった為、終わってから 2Fで韓国のお友達達とワインを頂いた。
 いやぁ…ステージの音響が成功した後のお酒は美味い!(笑)