中国de音楽4

中国在住の日本人音楽家による、日々の日記です。

モスケスペシャルライブ

 土曜日、上海は生憎の雨。今日は毎年恒例『モスケスペシャル七夕ライブ』の PA担当なのだが、ワタクシは例によって朝一からドラム教室の講師があるので雨の中、伊犁路x虹桥路までタクシーで向かう。今日は機材が多いので結構タイヘンだ。
 そして5コマ5名のレッスンを終えた後は、休む間も無く浦東の『上海科技馆』まで地下鉄で向かった。雨の夕食どきはタクシーが捕まらない恐れがあった為、駅から多少歩く事を覚悟の上で地下鉄にしたのだ。
 しっかし古北から浦東は遠い!地下鉄の10号線と2号線を乗り継いで、結局1時間近くかかったんじゃないかな?
 上海科技馆の駅を降りてから东和公寓に向かって歩いていると、川でボートの練習をしていた。さすが浦東。こういう風景は絵になる。(今日は荷物が多いからGH4は持ってこなかったため全て携帯(Z3)での撮影)

 会場は开心果の2号店。定西路にあった1号店は先日移転のため閉じてしまったので、2号店に1号店の全ての機材を持ち込んでのライブとなる。
 2号店でのライブ PAは2回目の担当なのだが、ココは店の半分がガラス張りで音が回りやすいので作るのが結構タイヘンなのだ。しかも前回とステージの場所が変わって、今回は窓側がステージになる。

 そんな訳なので、できれば本当はもっと時間をかけてシッカリ音作りをしたかったのだが、ワタクシが到着した時点では、まだメインスピーカーも上げておらず、配線も間々ならない状態だったので慌てて結線し、ほとんど回線確認のみ終わった時点で、直ぐにサウンドチェックが始まった。開始時間が迫っているため、表のEQもまだ作っていない状態でのサウンドチェック。実に厳しい(泣)

 とりあえずモニター側を中心に何とかサウンドチェックを終え、客入れまでの間に表の音を少しだけいじる。(あまり派手に弄ると奏者側にも影響するので、あくまで影響しない程度に。。。)
 いやぁ…毎回思う事なのだが、何で同じスピーカーなのに設置場所が変わるだけでこんなに音が変わるのだろう? 1号店では結構マトモに鳴っていたセッティングなのに、2号店だと笑っちゃうほど音が悪くて泣けてくる。まぁ確かに場所が違うのだから当たり前の事だし、経験上何度も痛い目に逢ってはいるのだが、それでも毎回苦しむんだよなぁ。
 『音』って本当に難しい。部屋の大きさ(反射と方向)そして壁の材質によって、その中で鳴らす音源は腹が立つ程変化するのだ。どんな部屋にも必ず出っ張る(響く)周波数があるし、中々減衰しない周波数帯域があると、処理が非常に難しくなる。また、お客さんが入ると反射の係数が変わるから、響く部屋の場合は客の数や椅子の材質でコロコロ音が変わるのだ。実に難儀。ゆえに初めて演るハコの場合、頼れるのは自らの『経験』のみ。PA屋さんは本当に大変なのですよ。


 まぁそんなこんなで何とか無難にセッティングを行い、本番を迎える。今回はエレクトーン(STAGEA)と二胡の共演である。

 主役の二胡奏者『赵磊』さんは流石にプロの奏者だけあって今回も実に良い演奏をしていた。エレクトーンはレンジが広いので生楽器の二胡と馴染ませるのが結構大変だったが、最初の1〜2曲くらいで何とか全ての音を作って安定させ、やっとマトモに鳴る様になった。冷や汗タラタラだ。

 あ、そうそう!エレクトーンというのは面白いモノで、ご覧の通り、奏者はお客様に背中を見せて演奏するのが一般的なのだ。手足の動きを見てもらう為だろうが、個人的にはお顔が見えないのは勿体ないなぁ…なんて思う(笑) でも考えてみたらピアノのリサイタルも横向きだよね。それぞれ歴史とスタイルがあるのでしょうな。

 そして無事に全ての演目が終了。途中で司会のモスケさんがモニターのケーブルに足を引っ掛けて、モニタスピーカーのケーブルのコネクタ部分から線がちぎれてしまうトラブルがあったが、MCで繋いでもらって何とか応急処置を施した。ちょっとした『林さんの修理ショ−のコーナー』的になってしまったが、約5分程ですぐに音が出たので良かった。スピケはドライバ一本で復帰するから助かった。

 終了後、ここは浦東だし、地下鉄があるウチに帰ろうと思い早めに店を出て地下鉄の駅まで重い荷物を持って歩いたら、なんと!午後10時なのにシャッターが閉まっているではないか!

 愕然として雨の中ただ立ちすくむワタクシ。仕方ないからタクシーで帰ったのは言うまでもない。写真は栓抜きビル。

 ま、こんな日もあるさ。演者とお客様が喜んでくれたのでヨシとしよう!
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