中国de音楽4

中国在住の日本人音楽家による、日々の日記です。

戦いの火蓋 (GIST)

 月曜日、朝5時起床し6時に家を出る。横須賀線は朝一なのにほぼ満員。そして午前7時過ぎに新橋駅に到着。午前7時の新橋駅なんて何十年ぶりだろう? ピシっとしたスーツを身に纏った夥しい数のサラリーマンの皆様が颯爽と歩いて行くのを見て懐かしく思った。「そうそうコレが日本の企業戦士。思えば随分遠くまで離れてしまったな…」なぞと少々複雑な気持ちになる。
 そしてゆりかもめに乗り換えて有明へ。ゆりかもめ無人運転…という事にイマサラ驚いた。(ちなみにコレは先頭車両)

 朝の有明駅りんかい線の駅が非常に近くにあり、実はそっちの方が便利だという事にイマサラ気付いた。

 そして向かうは『がん研 有明病院』

 病院名を書いたのでお察しの良い方はお気付きだろうが、不肖ワタクシ、この度少々厄介な病気になってしまったらしく、今回の帰国は実は精密検査と治療を行う為に帰ってきた訳だ。

 病名は『GIST』と言うらしい(まだ『疑い』で確定では無いが)。上海で CTを受けた際、胃の外側(背中側)に約 4cm x 5cmほどの結構大きめな卵大の腫瘍が見つかったのだ。普通の癌は胃の内側(粘膜側)に出来るのが一般的なのだが、ワタクシの場合は胃の外側の筋肉層に腫瘍ができ、胃の外側に大きな瘤の様な物が出来ているらしい。上海の病院で先生と色々と相談を重ねたのだが「ここまで大きくなるとやはり外科的な処置が必要だし、GISTは珍しい病気(10万人に2人くらいらしい)なので、中国での処置は難しい」との事で、やはり日本の『専門医』に診て貰った方が良いだろう…という事になり、海外旅行傷害保険の日本の事務所等とも相談し、帰国して治療を行う決意をした訳だ。
 そして今日がその初日となる。上海の先生からの紹介状を頂き、またカルテやデータの類いはCD-ROMで渡しているため、診察は非常にスムースに行われた。こちら側の担当医の先生は、上海で撮った CTのデータを見ながら「確かに GISTの疑いが濃厚ですね。治療方針を決める為にも、まずは『しっかり』調べましょう」と仰って下さり、結局丸一日、夕方まで検査三昧の一日で非常に疲れた。
 サスガだな…と思ったのは、ここは癌専門の病院だけあり、腫瘍が見つかった患者はまず転移が無いかを調べる為に全身の検査を行うのだ。ご周知の通り癌というのは転移するので見つかった部位だけを直ぐに処置する…という訳には行かないらしい(手術中に開けてみてから「あ!他にもあるじゃん!」ってなると大変だからだ)。これは患者にとっては有り難い事ではあるが、気分的には少々微妙で「知らない方がシアワセな事だって有るじゃん?」的な、複雑な気持ちで検査を受けた。
 GISTは聞くところによると良性である事が多いため、別に癌と決まった訳じゃないんだけど、医学的には癌の一種らしいので検査は念入りに…という所だろう。

 午後3時の胃カメラが終わった時点でもう涙目でヘトヘト。朝から何も食べてないので、腹ぺこで気持ち悪いし、泣きそうな気分で会計に。。。そして請求金額を見てもっと泣きそうになる。

 そうなのだ。ワタクシは海外居住者な為、日本に住民票が無い。つまり日本国的には『非居住者』扱いな訳で、国民健康保険に入れないから全て『自費』なのだ。

 住民票を戻せば良いじゃん?的な声も聞こえて来るが、ワタクシは日本を離れて既に 10年以上が経っているし、その間に転職や子供が生まれたりした時に2度ほど出したり戻したりしていて、その際にヤタラと突っ込まれ、結局仕方なく住民票を抜いた経緯もあり、区役所の担当者はワタクシが海外居住である事を既に知っているのだ。従って、病気して帰国した時だけ住民票を戻す…という事は出来ない。勿論その後に市町村民税や国保の費用を払い続けるとしても…だ。なぜなら、結局また海外に出てしまう事が分かりきっているから日本での所得が0になる為、所得に応じた課税となると非常に低い保険料を払う事になってしまう。これに対して国が首を縦には振れないからだ。ま、当たり前だわな。ちゃーんとズルはできない仕組みになっている。

 今回は海外で発生した病気という事で、海外旅行傷害保険で対応できる事になったが、とは言えキャッシュレスという訳には行かないので、最初は自腹である。まず全部払ってから後で保険会社に請求…という形になるので、たった一回の通院で 10万近い請求書を見ると、これからの入院〜手術を考えると気が遠くなる。あ〜あ。カードの限度額を超えなきゃ良いが。。。

 外に出たらすっかり夕方だったし、イマイチ気持ちも悪いし、ちょっと外の空気を吸いたかったので、地下鉄はやめて、ゆりかもめに揺られて新橋に出る事にした。


 ビッグサイトや CXの社屋なんか見てたら仕事の事も気になり始めたが、まぁ仕方ない。これから暫くは検査三昧の日々。そして、きっと入院〜手術という流れになるだろう。まずは頭をカラッポにして身体を治す事だけ考えようと思う。

 上海のオトモダチの皆様、そして仕事関連の関係各位の皆様、そんな訳で暫く留守にしますが、諸々何卒ご容赦下さいませ。
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