中国de音楽4

中国在住の日本人音楽家による、日々の日記です。

空中おじさんとナシゴレンとスティックの選び方

 土曜日、上海は限りなく晴れに近いうす曇り、一般的にコレを『上海晴れ』と言う?(言わないか…)でも気温は結構暖かくて24度くらいまで上がった。
 今日は土曜日なので、例によってドラム講師のハシゴゆえ音楽三昧の一日である。まずは午前11時から靜安寺のヤマハさんでグループレッスンがあるので、ウチから南京西路駅に向かったのだが、途中で電線が木に掛かっていた。

 「ヲイヲイ木の枝を電線の支えにしちゃマズいだろ?」…と呟いていたら、案の定電線工事をしていた。しかも交差点のド真ん中でヒトが浮いていた。うっひゃー!コレ命綱すら無いんじゃない? 超怖い! トロリーバス用の架線部分を色々と調べている様だが、遠い交差点の向こう側でバスはフツーに走っていたので、きっと電流は流れていると思われる。コレでバスが来たらどうなるんだろ? 実にスリリングで素敵だ。

 レッスンはいつも通り午前 11時から一時間。本日は7名の参加。今日は初のドラムデュエットのコーナーが有り楽しかった。…ってワタクシ(講師)が楽しんじゃイケナイんだろうけど、こういうゲーム感覚のコーナーは緊張感と共にワクワクする楽しみが有る。
 レッスン終了後は、生徒さんであり大学時代の後輩の Y野くんと、同じく生徒さんの gayaちゃんと3人でシンガポール料理屋さんでお食事。普段頼まない様なものを頼んでみた。個人的に、昔タイに行った時に食べたナシゴレンが無茶苦茶美味しかったのでコレをチョイス。

 メニューには『ナシゴレン』って書いてあったけど、出てきた料理はフツーのチキンライスだった。うーん微妙(苦笑)
 そして gayaちゃんが頼んだ麺は縮れ麺で良い感じに美味しかったし、

 Y野くんが頼んだカレーは鉄板の美味さだった。

 ワタクシが頼んだナシゴレンだけイマイチな結果で残念。でも食事中色々な話ができて楽しかった。ヒトにはそれぞれ歴史があるね。。。
 その後は地下鉄を乗り継いで温故知新へ。今日は一人キャンセルが入ったので3コマ3名を教える。良い感じに1時間空いたので、その間に昨日の日記を書いたりして?最近、iPad Proを購入してから諸々楽ちんなので、時間のやりくりがちょっと上手くなった!?気がする。
 あ、そうそう。最近、生徒さんにスティックの選び方に関して質問されたので、今日はワタクシが最近メインで使っているスティックを紹介しようかな。最近は ProMark製のものを愛用している。

 実はワタクシは TAMAのドラマーなので(いや、別にスポンサードされてる訳では無いが、昔から自分には一番合ってる!?好きなメーカーなので愛用している)、中学〜大学まではスティックもずっと TAMA製の物を使っていた。探してみたら上海にも持ってきていたので撮ってみようかな。

 中学〜大学までは、殆どが上の赤い H215Pというヒッコリーの 15mm径のポピュラーヘッドの物を使っていた。ヒッコリーは軽くて折れにくいが、柔らかいので結構な勢いで削れて、どんどん『痩せて』行く…という難点がある。でも15mm径は比較的太い方なので重くなりがちなのだが、これはヒッコリーゆえ結構軽く、またポピュラーヘッド故どんなジャンルでも「そつなく」叩けるメリットがある。
 そして下のブルーの O215Bという汚れたスティックは、オークの同じく 15mm径のボールヘッドの物。これは爆音でロックを演奏する際にはコレより良いものをワタクシは知らない。それ故(最近はほぼ全く使わないが)上海にも持ってきている。オーク材ゆえ少々重いのだが、音の粒立ちも良く、ボールヘッドなので打面の角度による変化も少ない。また重い割にチップ〜グリップの重量バランスが良く(頭が軽い)、ちょっと大きく振るとまん中ショルダー部分の遠心力で爆音が出る。しかし難点は良く折れる事。持った感じ全く折れそうに無い様に見える癖に、コレが意外と簡単に折れるんだなぁ…。特にオープンリムショット(皮とリムを同時に叩く爆音リム)をずっと叩き続ける続けるとヒッコリーの様には削れないのだが、その代わりにフトした瞬間に意外と『あっさり』折れてしまうのだ。ま、その分安いからスペアを多めに買っておけば良いんだけどね。ひょっとすると含んでいる水分も多いのかもしれない。(気のせいかカナリ汚れやすいので…)
 そして、最近(ここ10年くらい)ワタクシが使っているスティックを紹介すると、最近は完全に『pro mark』社のものにシフトしてしまった。

 最近メインで使っているのは、6本写っている内の真ん中にある『JAZZ』と書いてあるナイロンチップの物。最近は呼び名が変わって『TXJZN』というらしい。ワタクシは個人的に昔はナイロンチップ(チップ部分にプラスティックの様な白い樹脂でチップがコーティングされている物)が嫌いだった。何より音は硬いし、ライドやHH等の跳ね返りは強すぎるし、ドラムの皮も破けやすいので、正直大嫌いだったのだが、pro mark社のコレを使い始めてからはコレが一番自分に合ってる気さえするほど気に入ってしまった。『JAZZ』シリーズは直径が 13mmととても細く、そのクセ米国産のヒッコリーを使っているからかヒッコリーの割にとても丈夫で、驚く事に『削れ』に関しても結構強いのだ。この 13mmナイロンチップのポピュラーヘッドの『Jazz』スティックに出会ってから、ワタクシは全てのスティックを pro mark社製に変更する決心をした…と言っても過言ではない。
  理由としては、まず上海の演奏事情も有る。とにかく日本のライブハウスの様にフツーに思い切って(爆音で)演奏が出来ない環境の店がとても多い。つまり『音量を抑えて』叩かなければならないシチュエーションが上海の場合カナリ多いのだ。そんな際スティックが重いと同じストロークでも音量が2倍近く変わってしまう。かと言って単純に軽いスティックにすると『タメ』が出来ず『タイム感』自体が変わってきてしまって軽薄で『へなちょこ』な演奏になってしまうから悩ましい。そんなこんなで悩みまくっていた時期に、フト一時帰国の際にイシバシ楽器でこのスティックで試奏してみて「軽い割になんか『しっくり』来るなぁ…」と思って数セット買ってこっち(上海)に持ってきたのだ。
 で、色々と試してみたらコレは軽い割に重量バランスが良いのかしっかり遠心力のタメを感じる事ができるし、何より細くて軽いから音量が抑えられるじゃないか! しかしチップが一般的な木だと HHや Rideのアタック感が足りない(まぁ絶対的な音量が下がっているので当たり前なんだけど)ので、そこで活躍するのがナイロンチップな訳だな。音量が落ちた分、絶対的に叩く力が落ちているので、シンバル類はアタック感が減ってしまうは自明である。それを補う上でナイロンチップが驚くほど実に有効なんだなぁ。びっくりサ。そんなこんなで、最近では Jazzの現場以外でも(特にポピュラーの現場ほど)このスティックを使う事が多い訳だ。
 そして下の『7A』はこれも同じく米国産ヒッコリーの 13mm径ポピュラーヘッドのナイロンチップである。この 7Aの仕様は先に紹介した『Jazz』と殆ど変わらないのだが、実は長さが約 1cmほど短い。この 1cmの差が実は結構大きくて、上記『Jazz』と同じ感覚のまま、少しだけ『突っ込んだ』演奏ができるのだ。ワタクシは元々80年代ド真ん中の世代ゆえ、スネアが『溜まって』いる方が好きなので、カナリ『後ノリ』なドラミングをしてしまう傾向がある。 しかしことJazzの世界はベースがリズムを刻んでそれにドラムが乗っかる感じになる事が多く、カナリ突っ込んだ『前ノリ』な演奏を求められる事が多く、そんな際にこのスティックが重宝するんだな。(ま、かなりの横着者?と言えなくもないが…)
 そして最後に一番上の『MJZ-5』というスティックを紹介すると、唯一コレだけメイプルで、しかも太さも他の物より 0.5mm太く 13.5mmで、チップもナイロンチップでは無く一般的な木のボールチップだったりする。(コレが一番新しい)
 このスティックは先に言った様に『できるだけ軽い』スティックで、しかも『ナイロンチップ以外』でマトモに鳴るスティックを探した結果コレに辿りついた訳だ。実はこれはレコーディング用だったりする。ナイロンチップはライブ演奏時のマイク乗りはとても良いのだが、レコーディングの時は妙な倍音が出過ぎてサンプリングレート 48KHzでは録りきれずに、特にハイハットは妙な(ノイズの様な)倍音成分が録音される事があったからだ。(これは河島アナムさんのレコーディング時に気付いた事なのだが)
 そこで普通のアタックが出る『木』のチップで、しかもできるだけ軽くてマトモな音がするスティックを探していてコレに出会った。メイプルはヒッコリーよりは若干重たいし、しかもこれは他のスティックに比べ若干(0.5mmほど)太くなっているので、持った感じは全然違う。感覚的には一番最初に書いた TAMAの OAKのスティックに似てるかな?(あんなに重くないのでそんな巨大な音は出ないが)それゆえ録音やハードロックを演る際には、コレをメインに使う事が多い。

 さて、長々と書いてしまったが、これらは、あくまで『個人的な』好みの問題ですよ。実際には人それぞれ『自分に合った』スティックが必ずあるはずなので、是非とも自分で研究して探してみてほしい(そんなに高い買い物じゃないしね(笑))
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