中国de音楽4

中国在住の日本人音楽家による、日々の日記です。

雨の金曜日

 最近はてなダイヤリーで記事を書いていると何故か突然エラーが出て書きかけの記事が消えてしまう事がある。つい今しがたも消えてしまって、なにを書いていたか思い出しながら書いている。まぁったくこういうバグは困るなぁ…。
 さて、金曜日である。上海は雨。気温は何度か見なかったが非常に蒸し暑い一日だった。日本に比べるとやはり湿度が高い気がする。
 仕事は朝一から部下との打ち合わせ。たった数日上海を留守にしただけで仕事が溜まってて閉口した。まぁ暇よりは忙しい方が精神衛生上は良いけどね。
 仕事を終えてからは一旦帰宅して軽く食事してから、久々の収録業務。コンデンサーマイクをセットして ProToolsを立ち上げる。今日はナレーションのデモ録りなのだが(まぁ自分で喋るので出来はイマイチではあるが)こうやって収録作業をしている時が何にも代え難い至福の瞬間だったりするのだ。完全に録音ヲタクだわな(苦笑)
 収録はデモゆえ 1ワードのみなのであっという間に終了。せっかくなので一人打ち上げ?じゃないが缶ビールで乾杯。

 ふと作業机の横に置いてあるサイドテーブルの上に乗っかってる荷物を見て一瞬にして酔いが覚めた。今日は YESTERDAYのアルバイトの女の子に頼まれていた一眼レフカメラ(日本で購入)を届けてあげる約束をしていたのだ、すっかり忘れていた。慌てて荷物を纏めてイツモの店に走ったのは言うまでも無い。
 どうやら相当待っていたらしく、ちょっと怖い顔されたが、まぁ一応今夜中には届けてるので嘘はついていないわな(笑)
 さて、そりゃそうと、下の写真は自分へのご褒美である(今回の検査で全く問題が無かったのでw)さてコレは一体何でしょう?

 まぁ音屋さんが見れば一発で分かるとは思うが、イワユル最近流行りのタブレットバイスでコントロールするデジタルミキサーである。某社の『XR18』という機種だ。メーカー名は悪評高いので敢えて書かないが(っつーかワタクシ自身どちらかというと『安かろう悪かろう』と忌み嫌っているメーカーなので本音を言うと全く信用していない)とは言え、デジ卓は実はアナログとは全く違い『ソフトウェアが全て』と言っても過言では無いのは事実。
 で、最近の某 b社のデジ卓は、いわゆる玄人さんの評判がとても良く、バカにできないらしいので、まぁ『騙された』と思ってチョット試してみる気になったのだ。
 でもココまで心が動くまでに実は結構な時間を要している。何を隠そう、先般わざわざ iPad Proを購入したのもコレが目的だったりするのだ。この卓は発売当初から目をつけていて、今まで所有していた iPad3で、まずはデモ版を落としてみて色々と反応をみたのだが、やはりレスポンスが悪くて使えなかったので悶々とした日々を送っていた。しかし、ソフトウェアはどうも b社が作っているのでは無く外注が作っている様で、何と無くWavesのデジ卓に色使いが似ているので「まさか?」…とか勘ぐっていたりしたワケだ。(いや、それ程までに同社の最近出しているデジ卓(X32シリーズ)の評判が良かったので)
 そこへ来て YAMAHAの講師試験にパスし、YAMAHAで教える事になった際、XG音源のプレイヤーとしてアプリ『Song Beats』が非常に有用でコレをメインに使う事になりそう(…というかコレしか無い)…という事で、やはりまず iPadをリプレイスしよう!となったワケだ。
 で、実際に iPad Proを手にして暫く使ってみると、コレだけで殆どイケてしまう程優れたタブレットだったので驚いた。正直予想以上だった。先般の日本出張は敢えて普段使ってるノートPC (MacBook Air)を持たずに iPad Pro + Smart Keyboard のみで乗り切ったが、コレがまた起動時間から物理的な重さから、CPUまで、とにかく何から何まで『軽い』ので、不便さを感じる事は殆ど無くメリットの方が大きかった。
 そんなこんなで、これだけCPUが速いなら…と大元の目的(このデジ卓)に目が戻り「もし今回の検査で何も出なかったら買おう」と、実は数ヶ月前からサウンドハウスさんのカートに放り込んであったワケだ(笑)そしてタイミングが良い事に数週間前に、再度値下げになった事もあり、今回の帰国で(検査結果が出た日の帰りの電車の中で)ポチったワケである。
 ここ数日、帰宅後に色々と実験しているが、いやぁ凄いわコレ。
 まず第一に midas設計のマイクプリが結構良い。他のミキサーに比べるとノイズレベルは若干高めに感じたが、音量変化がとてもナチュラルでウォームで真空管っぽい?と言ったら大げさだが好感が持てる(素直に「好き」って書くのが悔しいから書かないがカナリ好きな音だw) で、何が凄いって、ゲイン調整までリモートで出来るのだ。普通マイクプリの一番最初の入り口であるヘッドアンプのゲインに関してはアナログ回路になるため、物理的なポット(半固定抵抗)が必須なのだが、この卓はそれをもデジタル化してリモートで 60dBものゲインコントロールを指先一本でコントロールが可能になっている。サスガに高速で動かすとチリチリとノイズは乗るが、それでも一々コネクタの近くまで行かなくて良いのは便利だ。
 そもそも同社の卓やエフェクターはアナログ回路の評判が非常に悪いので、アナログ回路部分が可能な限りドラスティックに削られているであろう本機はワタクシにとって理想と言える。アナログボリュームなんかヘッドフォンモニタ用の一個しかないもんね。これならガリの心配もしなくて良いワケだ。音の入り口はほぼ全て midas設計のプリなので、実際に b社オリジナルのアナログ回路は、ほぼ最終段の D/Aのみ…という事になる。これなら『ソフトウェアの出来=卓の品質』って構図になる筈だから案外期待できる?と思ったのだ。
 なぜならアナログ回路設計のノウハウは一朝一夕に溜まる物では無いし、パーツの品質やそれこそ基板上の配置一つで音が大幅に変わるので安価で組み立てるのはとても難しい(つまりイヤでも高価になるし安価にすればダメダメになる)が、ことソフトウェア設計の話になると、非常に汎用性の高い優れたフーリエ変換アルゴリズムは既に確立されているし、仮に多少センスの悪いコードを書いたとしても、今や CPU速度でカヴァーできる時代だからだ。
 そういう意味ではゴチャゴチャと安いパーツでアナログ回路を組まれるよりは、いっその事、最後の最後までデジタルで処理し、音の出口だけ汎用性の高いオペアンプを搭載してくれれば、そっちの方が寧ろ良いのは自明だもんね。そういう意味でもとても期待していたりする。
 第二にエフェクトがかなり優れいていると思う。これは X32準拠らしいので、サスガに巷で騒がれているだけの事はある。基本的にソフトウェアのプラグインなのだが、専用の DSPを搭載しているのかレイテンシーは殆ど全く感じなかった。ちょっと実験してみた感じだと、特にリバーブの品質はカナリ高いと思う。SPX系というよりも Wavesの TrueVerbに近い様な気がした。
 そして第三が、全てのアウトプット(AUX1〜6 + Main ST)に 31バンドの GEQをそれぞれ別々に挟める事だな。もうね、コレとアンプだけあれば(あとスピーカーね)殆どの現場を網羅できてしまうコンパクトさが凄い。
 まだ一度も現場で使っていないので何とも言えないが、コレ1台で 18chマルチ録音(もちろんプリEQで、フェーダー位置に関係なくヘッドアンプ直後の音がダイレクトに録れる)も出来る様なので、PCのデジタル I/Oとしてライブのマルチ収録としても十分使えるだろう。
 いやぁ…何気に楽しみだ。これから色々と使い倒して行こうと思う。
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