中国de音楽4

中国在住の日本人音楽家による、日々の日記です。

嬉しい出来事

 月曜日、関東地方は雨のち曇り時々晴れ。気温は30度。少々蒸し暑い一日だった。
 本日は上海への移動日である。夜の便なので午前中〜お昼過ぎまで実家でのんびり過ごし、母と二人でお寿司を出前して食べてちゃったりして(笑)日本のお寿司は本当に美味しいね。

 そしていつもの様に横浜の YCATから成田行きのリムジンバスに乗ろうとしてチケットを買って、乗り場に向かおうとした所で、突然若い女性に声をかけられた。年の頃は 20代半ばくらいだろうか。スラっと背の高い綺麗な子なのだが、なんとワタクシの名前を知っているじゃないか(驚)
 「あれ?どこかでお会いした事あったっけかな?」と頭がビジネスモードになって脳内名刺を検索し始めたのだがイマイチ思い出せない。仕事絡みだと「どちら様でしたっけ?」とか言ったら失礼だよナぁ…とか思いつつちょっと考えていたら、相手があっけなく疑問を解消してくれた。 ナント!どうやらワタクシが昔(20年程前)担当していた某音楽ゲームのファンの方らしい。ワタクシの作った曲名とかスラスラ出てくるので少し驚いた。ちょっと面食らってしまったが「ありがとうございます」とかお礼を言いつつもバスの時間も有るのでモジモジしていたら「えっと、成田ですよね?ちょっと色々お話したいので私も一緒に行って良いですか?」と言って、そのままチケット売り場に小走りに去って行くじゃ無いか…。えええええ???マジで!? なんじゃそりゃ? 何この映画みたいな展開? いやはや…すっかりオッサンのワタクシには最近の若者の行動力にはついて行けない(驚)
 正直、なんかの詐欺とか勧誘とか新手の宗教とか? ちょっと怖かったが(下手したら冤罪狙いの犯罪かもしれないしね)…とは言えワタクシ根っからのブロガーゆえ「もし騙されてもブログのネタになるかも!?」といったキモチが出ちゃったりして(笑)まぁ勝手に付いてくるならば…と、成田までの約 1時間半ほど、はじめましての若者と同席する事になったワケだ。言葉遣いはとても丁寧だし、しゃべり方も論理的でフツーに真面目そうな子だし、自分で「ほんとごめんなさい!なんかストーカーみたいですよね?でも全然そんなんじゃ無いんです!」とか言いながら真っ赤になっちゃったりして!? 正直よくわからんが、アレコレその場で問答してる方が怪しいので、もぅ余計な事を考えずに『なりゆき』に任せる事にした。彼女の目を見て本能的に『この子は大丈夫だ』という根拠の無い確信みたいなモノが見えたからである。まぁ別に何があっても殺されはしないだろう、たぶん(笑)
 そんなワケで、リムジンバスの一番後ろの席に 2人で並んで座り、改めて色々と話し始めたのだが、ふと疑問が湧き上がってきた。ワタクシがあのゲームを担当していたのは既に 15年〜20年前の話である。この子はどうみても 20代にしか見えないので、ファンにしてはチョット若すぎないか? …そんな疑問を素直にぶつけてみたら、今年 30になったばかりらしい。彼女が 14歳(中学生 2年生)の頃に例のゲームの家庭用の 7作目を遊んでくれていたそうだ。確かに 16年前ならば辻褄が合う。(ワタクシは家庭用の 1作目〜 9作目まで担当していたので最後の方の作品だ)
 そして、彼女がそんな多感な中学 2年の頃に、ゲームを通じてワタクシ自身が作った楽曲や歌った楽曲、そしてディレクターとして纏めていた数多くのジャンルの曲を聴いて、本当に『生まれて初めて聴く新しいジャンルの音楽』として、ワクワクしながら聴いてくれていたらしい。そんな事を熱く語ってくれるので嬉しくて素で泣きそうになってしまった。アーケード版じゃ無くて CS版(家庭用版)しか遊んでいない…というのも珍しい。
 いやぁ…ホントありがたいね。以前このブログにも書いたが、我々自身が多感だった中学 1〜2年の頃に聴いたFMから流れてくる洋楽を、一滴も漏らさない様にスポンジの様に吸収して感動していたのと同じ事が、我々自身が作った曲で、全く知らない『誰か』を感動させていたのかと思うと、こんなに嬉しい事は無い。当時ワタクシはゲームを通して「音楽は聴くよりも演奏する方がずっと楽しいんだよ!」という事を判ってもらえる様に工夫に工夫を重ねて、ヒタスラ目に見えない努力をしていたのだが(社内では全く評価されなかったが(苦笑))それが結果的にエンドユーザーである、中学生だった彼女にはシッカリ伝わっていたのが驚きである。「どんなに難しいジャンルや音楽でも、やさしく手を伸ばして『やってごらん』って同じ目線で言ってもらえてるみたいで、凄く好きでした」など言ってくれるじゃないか(泣) なにコレ?誰かがヲレを喜ばすためにサプライズどっきり?を仕込んでるのか!? まーったくもぅ、ほんと泣けてくるぜぃ。
 また、当時の同僚が作った某楽曲で人生が変わったらしく、その楽曲が今でも好きで好きでたまらないそうで「私は当時とてもツライ状況にあって、ホントにあの曲に救われたんです!」と切に言うので「その作家の事は勿論知ってるよ。長いこと連絡していないから連絡先は判らないけど必ず伝えるね、本人もきっと凄く喜ぶと思う」…と言ったら、鞄から紙とペンを取り出して何やら手紙を書き始めた。必ず本人に送る事を約束したのは言うまでも無い。
 いやぁ…ヤヴァイね。これは何か今後の生き方を示唆する暗示なのかもしれない。ホントに貴重な一時間半だった。
 そして成田に到着した後は、チェックインカウンターに並ぶ前に握手してサラっと別れた。10歩くらい歩いたら振り向きたい衝動に駆られたが、絶対に振り向かないと決めた。これで良いのだ。 Mちゃん、ありがとう!今日会えて話ができて良かった。これから生きていく道筋っていうか勇気を貰ったよ、うん。ワタクシは今まで通り『自分の信じた道を』やりたい様に行く事にする。今やってる事が正しいのか不安でも、自分を信じていればこんな風に 15年後に答えが出る事だってあるんだもんね。頑張ります!

 そしてイミグレーションを出た後は、先ほどのバスでの移動時間が余りに濃かったのでクールダウン。成田 T2は JALが多い。

 急にお腹が空いてきたので目に付いたレストランで軽食。

 そして定刻より30分遅れで搭乗開始。本日は787である。この機材は快適で良い。ビジネスクラスの直後のエコノミーに座る。USBで充電出来るのがナニゲに助かる。

 787のVODは非常に画面が大きくて充実していて良い。コントローラーもおしゃれ。

 裏側は超小型のキーボードがついていた。かわいい。しかもジョイスティックにABXYボタン!

 機内で映画『ハン・ソロ』を一本観たら、あっという間に上海に到着。
 Pu-Dong空港は着陸してから駐機場に向かうまでが異常に時間がかかるのが難点だな。どうも移動の途中で航空機同士がクロスするエリアが有るらしく、信号待ちの様にちょくちょく止まる。結局着陸してからタラップ降りるまで30分くらいかかった。
 そして荷物を受け取って外に出たら湿度が異常に高くてうんざり。23時を回っていたのでタクシーは長蛇の列。

 ようやく乗ってホッと一息。

 いやぁ…濃ゆ〜い一日だった。でも人生ホント色んな事が起きるから楽しいね。これも健康だからできる事。ホント健康に感謝である。
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