土曜日、深圳は曇り、気温は見なかったが結構蒸し暑い一日だった。
本日は日本の某著名アーティストのアジアツアー、中国大陸での最終公演『深圳』のライブサポート本番日である。
ウチの会社が主催するのは中国大陸での 4都市 4公演(上海、北京、重慶、深圳)のみなのだが、本日はそれの最終日なので、我々的には千秋楽である。何事も『終わり良ければすべて良し』なので最後に失敗するわけにはいかない。朝から気合い入れて臨んだ。
会場は我々も何度か使ったことのある『a8』ライブハウスである。我々が開催するイベント的には丁度いい大きさ。
まずワタクシは例によって楽器類のセッティングや、LEDバックスクリーンの映像データの経路セッティングを行った。今回もステージ上手袖から舞監さんが映像を出力したい…という要望が来ているため、ステージサイドから FOHのビデオプロセッサーまで HDMI信号を延長しなければならない。そんなワケでイツモ使ってる『 LANケーブルで延長するコンバーター』を使う事にしたワケだ。上海から持ってきた自前の 50mの LANケーブルを這わせるのだが、コレがナニゲに結構気を遣う作業で、1000人もの人が立った状態で飛び跳ねたりするわけで、万一足になんかひっかかったら大事故になってしまうため、絶対にお客様が触れる事がない経路を探して、且つシッカリと確実にバミらなければならない。故に結構時間が掛かるのだ。
この作業の後はプロンプ等も含めて諸々の確認。そしてその後は少し手が空いたので、ウチの新人の女の子に通訳を任せていたサウンド側のフォローに回る。
日本から乗り込みのベテラン PAさんがチューニング後に暫くシーケンスを流して各トラックのバランスを確認している間、ワタクシはフロアをアチコチ歩き回って音を聴いていたのだが、6発有るサブウーファーの鳴り方が、どうも右 3つと左 3つで『違う』気がしたのだ。
なんとなく左側の方が大きい(特に左から2番目が一番大きく、あとは真ん中が小さくて一番右だけ少し大きい?)気がしたので(本来ならば日本の大先輩に物申すなんて烏滸がましいのだが)、「このハコって、サブは LR別で 2系統なんですか?」と聞いてみた所「いや、MONOですよ」との事。だとすると妙なので「どうもアンプの大きさが違うみたいで下手の方が大きく感じます」と言ってみたら「ちょっと調べてみましょう」…という事になった。ハコ付きの現地 PAさんを呼んで機械室まで行ってパワーアンプを見た所、物理ボリュームの無い(ソフトウェアでコントロールする)タイプだった。聞くところによるとココが出来てから一度も触っていないらしい。つまり設定が変わってる事はあり得ない…との事。
それじゃ仕方ない…という事で「きっとワタクシの気のせいかな?」という事で片付けるのかと思ったら、サスガ日本のエンジニアさんは素晴らしい!「スピケを抜いて一本ずつ調べてみましょう!」といって、SMAARTで計測開始。
すると、何と!!!右から 3番目のサブだけ逆相になっていた事が判明! なるほどー!それでああいう鳴り方してたのか…。つまり 6発有るウチ、一番下手の(左の)2発は二つとも位相が正しいのでシッカリ鳴って、真ん中の 2つは左が正相で右が逆相なので音が打ち消し合ってしまい小さくなる、そして上手の(右側の)二つは両方とも正相なのだが右から 2番目は左の隣りが逆相な為、左側はやはり音が打ち消されてしまうワケだ。凄く腑に落ちた(笑)
現地エンジニアと相談したら、彼はその場でスピケを外してプラマイを入れ替えて直してくれた。そして音を聴いてみたら!!! スゲー!全然違う!!!!(嬉)
実は現地スタッフからは「このハコは左側の壁と右側の壁が違うから、それが原因でそういう風に聞こえるんだよ!気のせいだよ!」…と言われていたのだ。でも、やはり自分の『耳』を信じてみるモノですな(笑)ちゃんとツールをシッカリ使いこなして最短時間で問題を解決してしまう日本のエンジニアさんの技術力の高さも見事だった。素晴らしい!とても良い勉強になった。
その後は怒涛のリハーサル。
ここまでくれば一安心。
そしていよいよ本番である。おかげさまで大盛り上がりで大成功!
ボーカリストさんのオフィシャル微博より、ラストの集合写真をご紹介。
ヒトの熱気でエアコンが全然効かず、会場は暑くてシニソーだったが、非常に良いステージだった。
そして打ち上げは例によって白酒!
事故なく無事に 4公演終えることができて本当に良かった。ご出演アーティストの皆様、会場にいらっしゃった皆様、そして全ての関係各位の皆様、本当にありがとうございました!