中国de音楽4

中国在住の日本人音楽家による、日々の日記です。

トレースの怖さ

 水曜日、旧正月 2日目、上海は曇りのち雨で気温は 10度くらい。まーったくもぅ、また雨である。今年の旧正月は一体どうしちゃったんだろ?ここ数週間ずーっと天気が悪くて全然スカッとした気分にならない。

 朝 8時半起床、午前中は部屋でダラダラと過ごし、昼食後からオシゴトで某 PJのギター収録の続き。メロをギターに変えたらオケがイマイチ馴染まなくなったので、オケもちょっと Rock寄りにリアレンジする事にした。

 そして午後 5時、ひと段落付いたし何となく疲れてしまったので、散歩がてらイツモの店まで歩く。外は丸一日この明るさで『グレーの街』である。嫌になっちゃうなぁもぅ。
f:id:hayap24bit:20220203124714j:plain
 イツモの店に到着した後は、倉庫に置く機材を奥の方に並べた後、店番の子の水やら餌やら交換していたら、目覚めたらしく奥の方からモソモソと顔を出したので暫し遊んでもらう。
f:id:hayap24bit:20220203124402j:plain
 彼女はこの缶詰が大好きなのだ。半分あげて残りはラップして冷蔵庫にしまおうと思ったら、まだ欲しいらしく顔を近づけてきて甘い声で鳴く。
f:id:hayap24bit:20220203124511j:plain
 あと一匙だけあげて、残りを冷蔵庫にしまい、その後は店を後にしてのんびり帰宅。


 さて!帰宅後ビール片手にネットを色々みてたら、某イラストレーターの『トレース疑惑』の記事が目にとまり、ちょっと気になったので色々と調べてみた。

 トレースって言わゆる『パクり』の一種なのだが、個人的にはパクりよりも酷い気がしてちょっと驚いた。今回話題になってる某イラストレーターの作品は、人が撮った写真や、人が描いた絵を下に置いて構図を『なぞって』書かれた様な作品が多くあったのだ。
 しかもメジャーなミュージシャンともコラボレーションしている様な人だったので尚更驚きを隠せない。

 著作権の問題っていつの時代も必ず発生するし、ホントに無意識に似てしまう事だって多いにありうるので、ワタクシも音楽家の端くれの身としては、自分だって神経質になり過ぎるくらい注意しているし、またヒトが疑われてる場合は、できるだけ寛容でありたいと思っている。

 しかし、音楽の場合はメロディやコードが似てしまう事はあっても、原盤(オリジナル音源)を乗せて、一緒にそれを『なぞって』作る事は殆どない。(もちろんDJ界隈でのサンプリングは有るが、それは音楽の『パーツ』としてコラージュ的に並べる事が多く、また往往にして、ちゃんと著作権処理していて、その旨表記したりするのが常である)

 で、今回話題になっている某イラストレーターさんの作品だが、一つや二つなら『そりゃタマタマでしょ?』と言えるのだが、10も20も比較してるサイトを見つけてしまって、それを見ていたら下にスクロールするにつれて、こりゃ確信犯だな。。。。と思えてきた。

 参考サイト↓
la-mere-poulard.jp

 うーむ。著作権に関する知識に乏しい若いヒトなのだろうか? 或いは、最初はアマチュアのつもりで描いてきたが、突然注目されて有名になってしまい、一気に仕事量が増えた事によって、頭の中の構図アイデアが枯渇してしまって止む無く他のイメージを借りようと考えたのか? 真意は謎であるが、やってはイケナイ一線を越えてしまった感は否めない。

 今やデジタル時代なので、昔みたいな『模写』的に自分で手を動かさなくても、簡単にモチーフをコピーできてしまう時代なので、何というか実に残念なのよね。

 例えば…だが、ワタクシが普段写真編集に使ってるアドビ社のソフト Photoshop(もちろん正規ユーザーですよw)だが、このソフトの機能だけでも写真から線画風に加工するのは、ちょっと知識があれば直ぐにできてしまう。

 ちょっと実験してみよう。コレが先ほど帰りに淮海中路のエスカレーターで撮った写真。
f:id:hayap24bit:20220203131721j:plain
 コレを Photoshopに取り込み、一旦カラー情報を破棄してモノクロにし、『フィルター>表現手法>輪郭検出』をしてみると…。
f:id:hayap24bit:20220203132041p:plain
 これだけで何だかイキナリ『線画』っぽくならない????
f:id:hayap24bit:20220203132057j:plain
 逆に言えばこれをベースに色々と手を加えて加工しまくって、自分が描いた作品です!って言い張ったら、なんかワタクシごときでも一端の絵描きみたいな事が出来ちゃわない? コレってとても怖いと思うのだよワタクシは。。。。

 もし仮にこういう事までしていたのだとすれば(問題になってる絵は服のシワまでぴったり同じだった作品まであるので、きっとやっていたのだと思う)、では何故モチーフとなる写真を『自分で』撮らなかったのか? ということがホント不思議でならない。もし自分で撮った写真を利用してるなら、それは(イラストレーターとしての才能は別として)法的な問題にはなりえなかった筈なのにね。
 今や iPhoneだってカナリ芸術的な写真が撮れるので、やはり『ハッとする様な』素敵な構図を『自分自身では』生み出せなかったのかな。もしそうなら…それってアーティストとしては致命的な気がしないでもない。なので、そういう事じゃなくて、単に『手っ取り早く』ズルしたって事だったんだろうとは思いたいけどね。
 何れにせよ実に残念な事案である。
にほんブログ村 にほんブログ村へ
にほんブログ村