中国de音楽4

中国在住の日本人音楽家による、日々の日記です。

『河島アナム with 上海ヤカラ』Live at YESTERDAY

 アナムさんの上海レコーディング&ライブツアーもいよいよ最終日である。今日の上海は生憎の雨。昨夜2時近くまで开心果に居たので少々眠かったが、朝一でYESTERDAYに向かい、椅子やテーブルをライブ用のセッティングに並べ替える。その後、午前11時半、機材搬出の為に正午に开心果に向かった。

 結構雨が酷かったので、とりあえず◎ケンさんと二人でランチを頂きつつ、昨日のライブでの出音や演奏の出来に関して色々と感想を聞いた(彼は昨夜は出演せず、お客様として会場に来てくれたので冷静な意見が有り難い)。そして今夜のライブに関する課題を頭の中で整理する。

 暫くしてレッスンを終えたSaxの前田さん(彼は某所でSaxを教えているのだ)と生徒のMikaちゃんが来たので、折角だから4人で色々な話をしながらのランチと相成った。

 そして午後1時半、雨も小降りになった所で◎ケンさんの車にドラムセットや諸々機材を3人で詰め込み、いざYESTERDAYへ移動。皆でテキパキと搬入を行う。
 その後は一旦皆とは別れ、ワタクシは午後2時から一人で、まずレコーディング用のセッティングを行う。本日は午後3時からYESTERDAYにて二胡の録りが行われる予定になっていたのだ。

 写真は开心果の店長タカさんのお友達の中国人の二胡の先生。ご縁あって、非常にご多忙の中わざわざレッスンをずらして時間を作って頂け、今回の録りに参加して下さったのだ。

 今般、急遽決まった事なので音源も譜面も何も渡していない状況だったのだが、その場でまず音源を一回だけ聴いてもらっただけで、イキナリ弾き始める先生。凄い!! ポピュラー楽曲の展開は中国の古典楽曲とは全然違うので、正直コードの感覚や楽曲の構成を伝えるのは難しいかな?と思っていたので驚いた。

 しかしやはり全てのフレーズがインプロヴァイゼーションでは無く、イントロや一部のフレーズは決まったフレーズだったので、その部分を弾いて頂く為に、アナムさんがその場で楽器も何も無しで、弾いて欲しいフレーズを五線譜にサラサラサラっと書いて(これはコレでカナリ凄い事なのだが)それを先生にお渡ししたら、所見でほぼ完璧に弾いて下さって更に感動!!
 本来中国では二胡二胡用の譜面があるので、普通の(西洋の)五線譜をそのまま読みながら直ぐに弾ける中国の二胡奏者が居るなんて全然知らなかった。
 彼女はそもそも30分くらいしか時間がとれなかったので、その後は彼女の感性に任せて即興で何度か弾いてもらったのだが、これがまた音色もフレーズも非常に素晴らしくてワクワクする程だった。楽曲としては非常に良いスパイスになった気がする。
 ようやく全てのフレーズを録り終わった後、アナムさんは感動して泣いてしまい「嗚呼…ライブ用のメイクが…」とか何とか言いながら先生と握手されていた。縁って不思議である。

 その後は、先生は次のレッスンに向かい、アナムさんはタカさんに暫しアテンドを頼み、ワタクシは今夜のライブに向けてのセッティングチェンジを大急ぎで行う。午後5時にはメンバーが集まり始め、5時半からゲネプロ開始。
 午後7時、ゲネ終了に伴いメンバーとアナムさんは食事に行ってもらい、その間にマルチトラックレコーディング用のセッティングを行う(本日のライブはマルチを回し、後日何らかで音源を出す可能性があるのだ)。我ながら息着く間もない転換の連続である(笑) そして午後8時半、本番30分前にようやくセッティング完了。何とかギリギリ間に合った(汗)マイクは全部で11本、今回11トラックを48KHz/24bitで回す。プリの設定だけで目が回りそうになった。

 午後9時、お客様も良い感じに集まり出した所で『河島アナム with 上海ヤカラ』のステージ開始である。今回、本番直前までバタバタで、誰かに写真を撮ってもらう事をすっかり忘れていたので写真が残っていない…とガッカリしていたのだが、お客様のゴトーさんが良い場所からiPhoneで撮って下さっていたので早速頂いた。
 本番はこんな感じである。




 細かいミスは沢山あったが、会場は大盛り上がりで非常に楽しいライブだった。何よりお客間の笑顔が嬉しい。ステージ終了後に、お客様数名にお話を伺った所、皆口々に「やっぱりプロは全然違うねぇ」と仰っていて、先日私がこのブログにも書いた『私自身が感じたこの感動』を一人でも多くの人に伝えられて良かった!と安堵している。

 いやぁ…色々あった一週間だったが、何とか全てのスケジュールを無事終了できて良かった。
 本日ご来場下さった皆様、そして今回のこのプロジェクトにご協力下さった皆様、本当にありがとうございました!