中国de音楽4

中国在住の日本人音楽家による、日々の日記です。

上海ブラス演奏会

 日曜日、上海は雨時々曇り。昨夜寝たのは 2時過ぎだったが、今日は朝 6時前に起きてオシゴトである。昨日のワインが効いたのか久々に二日酔いで少々キモチ悪い。雨は小降りだったので地下鉄 2号線の南京西路駅まで mobikeで走る。そして朝 7時台の地下鉄に飛び乗ってとりあえず朝食。駅の ichidoで買ったサンドイッチと牛乳。

 これ、濃くて美味しいが少し甘かった。フツーのミルクじゃなくて何か入ってる可能性大。でも胃に優しくて良い感じ。
 そして午前7時50分頃に上海科技馆駅に到着。雨は殆ど止んでいて良かった。会場の东方艺术中心は相変わらず凄い佇まい。使徒襲来っぽいデザイン。

 とりあえず5番入り口にて入場待ち。既にファンファーレさんは機材と共に到着していたので挨拶して入館証を頂く。

 ココが本日のワタクシの現場。今日は照明オペレーターなのだ。

 照明卓はステージ後方3Fにある防音ブースの中。いわゆる『金魚鉢』の中なので会場の音が一切聞こえない仕様。(写真はリハ前)

 なんでこんな風な構造になっているか?というと、照明さんや映像さんは基本的にインカムを使ってトランシーバーでバックステージの担当者やビデオカメラマンやスポットライトの担当者らと常に連絡を取るため、ポップスと違って非常に音が小さいクラシックの繊細な音量でのコンサートの場合はノイズや会話が非常に邪魔になるし下手したら演奏会自体に致命的なダメージを与えてしまう恐れがあるからである。

 しかし、会場の音が全く聞こえないとスポットさんへの指示なんかできないし、客電の上げ下げ一つとっても MCのタイミングが分からなきゃ何もできないので、通称モニモニと呼ばれるモニターさん用のモニターがあって、会場の天井に吊ってあるマイクの音だけが、この部屋のスピーカーから出る仕様になっているのだ。生音が素敵な生演奏のライブなのに、わざわざ防音室の中でマイクで拾った音をスピーカーで聴いているのは言ってみれば非常に不条理というか本末転倒な感じだが、コレが我々の仕事的には一番理にかなっているのも事実。
 そんなこんなで今日は丸一日金魚鉢の中で一人で孤独な現場だった訳だ。ちなみに皆さん何でスタジオの防音ブースの事を『金魚鉢』って呼ぶかご存知ですか? これ諸説あるのだが、レコーディングスタジオやTV局等で、収録される側(つまり録音ブースの中)をコントロールルーム(機材が並んでる方の部屋)のガラス窓から眺めると、中の音が全く聞こえず、中の人が金魚みたいに口をパクパクしている風に見えるから…というのが通説となっている。確かに言い得て妙(笑) 最近金魚を飼っているから自分が金魚になったみたいで楽しかった。今日は金魚モード。
 肝心のコンサートは無事に事故なく恙無く終了。2人のスポットさんとのやりとりがキモなのでチョット緊張したが、まぁ我々的に大きなミスもなかったので『成功』って言って良いんじゃないかな? 音響さんとのやりとりもあるのでインカム二つ持ちだったので反対側に指示出しそうになったりして結構混乱したが、何とか無事に乗り切れた。クラシックのコンサート現場は Jazzやポップスと全然勝手が違うので新鮮だ。
 終了後は怒涛のバラし作業。外は結構な大雨になっていた。そして機材車を待って詰め込んでファンファーレさんまで機材を搬送し、その後はファンファーレ近所で我々音響&照明スタッフの打ち上げ。お店はローカルの餃子屋さん!

 ココ初めて来たが、安いし料理は美味しいし良い店だった。最後に皆で記念撮影。

 色々な仕事で色々な人たちと繋がっていくのが嬉しい。上海在住の日本人はとても多いが、こと音響や照明等の舞台演出関連の技術系エンジニアはまだまだ少ない。それゆえ横の繋がりがとても重要なのは事実。ヘルプしたりヘルプしてもらったりする上でも、気持ち良い仲間達と一緒に、真剣に一つの目標に向かって『良いもの作ろう』と頑張れるのはとても楽しいし、こうやって完遂後に一緒に楽しいお酒を飲めるって幸せな事だなぁ…なんて改めて思った。ほんと日々『お金じゃ買えない』素敵な経験をさせてもらっている。みんなに感謝だ。
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