中国de音楽4

中国在住の日本人音楽家による、日々の日記です。

コンデンサーは偉大だ

 土曜日、上海は曇り、気温はナント 14度!イキナリ10度くらい上がって暖かい一日だった。

 本日は土曜日だが春節の振替出勤日である。つまり中国は『平日』なのだが…とは言え今はヒマな時期なのでワタクシはお休みして午前中は自宅にてオシゴト。そして 13時頃に家を出て地下鉄 10号線の伊犁路駅前にある高島屋に向かった。本日は出勤日ゆえヤマハもお休みだしLLバーでのドラムの個人レッスンもお休みなのだが、夕方のミニライブだけはレギュラー土曜日の行事として行われるため、例によって PAである。
 ちょっと早めに到着したのでマクドナルドでおやつを食べながら昨日の日記なんか書いて時間を潰す。
f:id:hayap24bit:20190203133440j:plain
 ホントはアップルパイが食べたかったのだが、今は春節の時期で红豆(小豆みたいなやつ)しか無かった。パッケージにデカデカと『金玉良缘』と書いて有るが、金玉と言ってもあのキンタマでは無い。でも日本の小学生が喜びそうなネタだけどね。

 そして 14時過ぎ、takaさんと kalaちゃんと合流して仕込み開始。3人だと早い早い。本日は Jazzヴォーカリストの Yukoさんと Jazzベーシストの Dannyさんのデュオである。ベースとヴォーカルだけで和音楽器が無い…という、演奏する方も歌う方もとても難しい組み合わせだ。
 音響的にも『音数が少ない』という事は、それぞれの『良さ』が出せないとマズいので、しっかりと倍音を拾える様に、今回はレコーディングに使うコンデンサーマイクを持ってきた。メインは彼のベースのブリッジのコマに装着してあるピエゾピックアップを DIで拾い、エアとして RODE NT2(旧型ビンテージ)を、そして念のため SHURE BLXワイヤレスでブリッジからサックス用のグースネック型のSHURE PGA98Hにてサウンドホールと指の間辺りを狙ってみた。マイク 3本体制である。今回はイツモ使っているワンポイントステレオを敢えて使わなかったのは、低音というのは指向性が甘いため左右の移動感を殆ど感じない(逆に言うと位相の問題が出やすい)から…というのと、NT2の方がダイヤフラムが大きいので低音収録には有利だから…という理由からである。
f:id:hayap24bit:20190203141110j:plain
 リハーサルでは Dannyさんの要求が実に『的を射て』いて結構緊張した。やはり多くのライブハウスで活動されてるプロミュージシャンはシッカリ周りの音を聴いているね。但し残念な事にあそこの『場所』は非常に低音が回る場所なので、『演者の立ち位置』で演者自信が納得行く音を作るのは実はとても難しいのだ。特にアップライトベース(コントラバス)はエレクトリックベースに比べると、そもそも籠もった音が出る楽器である。あの部屋で回る 160Hz辺りを押さえない限り『モワモワ感』は消せないのだが、EQで全部削ってもまだ残っているのが現状である(そもそも部屋が響いちゃってるので…) 色々と試しつつも、彼は首を傾げて「ちょっと違う」と仰るので、すこし意地悪?じゃないが、敢えて全てのマイクを切って生音だけにして弾いて貰った所、「It's too bad」と仰るじゃないか。。。「実はコレが元々の『生音』なんですよ」と説明して、ようやく納得して頂けた次第である。仮にモニタスピーカーからガンガンに返して良いならばある程度は作れる(補正できる)のだが、ベースと歌のデュオとなるとモニタからガンガンに返すのはおかしいし、コンデンサで倍音を拾いたいので本末転倒である。彼自身もモニタを上げるのを嫌がったので、少々ステージ上では演りづらいかもしれないが、FOHの方は任せて頂く事にして納得して頂いた。

 そして本番である。良い感じの演奏が続く。
f:id:hayap24bit:20190203140557j:plain
 FOHの(表側の)音を作る上で重要なのはやはりコンデンサーマイクである。このマイクは指向性が甘いので、当然ながら一切モニタには返していないが、表の音はコレがとても良い味を出していた。
 スラップっぽいフレーズは、ピエゾだと「ボコッ」と鳴ってしまうのだが、コンデンサーだと上品に「パチッ」という音で鳴るので、演者の近くで生で聴いている感が出てワクワクする。下もスーパーローはやはりコンデンサーの方が良い音がしていたので若干EQで突いてみた。逆に200Hz〜400Hz前後のモコモコ感は(楽器から距離が有る関係で良い感じに凹んでる…とは言う物の)やはり部屋が響いちゃってるのでザックリと削って、ミッドハイの『強くて固い指の音』はピエゾの音を中心に混ぜて作ってみた。そんなワケでお客様の位置では目の前で聴いた感じのリアルな倍音感はカナリ作れたと思う。
 残念ながらこの音を演者さんに聴いて貰えないのが実に惜しいが、まぁこればっかりは『立ち位置』の問題なので仕方無いものね。「どうしても…」というならイヤモニしてもらうしかない。

 ライブ終了後に片付けをしていたら、見知らぬ美女から声をかけられたので一瞬誰かと思ったら、良く見たらコーラルBarの店長である管ちゃんだった。お昼に見ると全然雰囲気が違ったので最初誰だか判らなかった。彼女は別にライブを見に来たわけじゃなくて、たまたま友達とココを通りかかったらしい。いやぁ世の中狭いね。何だか面白い。
 そしてこれまたフラっと!? ファンファーレの M松副社長が「年末のご挨拶に」って事で遊びに来てくれたので、本当は一緒にゴハンにでも行きたかったのだが、既にウチの阿姨が正月休みに入ってしまい、ワタクシはトンボ帰りで息子の面倒を見なければならないのだ。後ろ髪を引かれる思いで会場を後にしたのは言うまでも無い。

 帰宅後は家で一人宴会である。今日で今年(旧暦の2018年度)の現場仕事は全てオシマイ!今年も良く頑張りました!お疲れ様>ヲレ(笑)
ブログランキング・にほんブログ村へ
にほんブログ村