中国de音楽4

中国在住の日本人音楽家による、日々の日記です。

スネアのチューニングは難しい

 土曜日、上海は雨、気温は 3度。昨夜からググっと冷え込んでいる。

 朝 6時、黄浦区の自宅にてイツモの様に左肩の痛みで目覚める。そしてトイレだけ行ってまた二度寝。次に目覚めたのは午前 9時過ぎ。いやぁ…よく寝たw やはり寮よりも自宅の方が良く眠れる。向こうの方が部屋もベッドも豪華!?なのに、実に不思議である。きっと根が貧乏症なのだろう。

 さて、本日は中国的には法定出社日、つまり平日なのだが、ワタクシは有給をとったので今日から 9連休である。YEAH!!!
 しかも今年は妻も息子も既に田舎に帰ってるので、上海に居ながらにして完全に独りで自由な旧正月なのだ(嬉)いやモチロン本来なら妻の田舎に帰らなきゃイケナイのだが、昨今の COVID-19の状況を鑑みて、うちの会社的に『なるべく不要不急の离沪(上海から離れる事)はしない様に!』というお達しが出たので、『これ幸い』と、うまく妻を説得する事ができたのだ。イヒヒヒヒ(嬉)こんなの結婚してから初めてカモ!? この 9連休、完全なる自由なんだぜ?信じられる? 家でどんだけダラダラしてても誰にも文句言われないんだぜ? あーもぅ考えただけでニヤニヤしちゃうわ。超絶嬉しい!

 てなワケで、朝一から(っつーかもう昼前だが)早速大きめな音で好きな音楽かけながらダラダラと過ごす。ビバ!自由!!!

 そして午後 3時過ぎに楽器類を纏めて家を出て、小雨降る中自転車で陆家浜路にあるリハーサルスタジオ『Rock Shanghai』に向かった。今日はオルタナバンド『Kill Automation』のリハがあるのだ、今日は平日なのだが、メンバー全員たまたま休みだったのでリハを入れる事にしたわけさ。ワタクシにとっては今年(2021年度)最後のバンドリハ、リハ納めである。

 外は相変わらずの小雨。傘をさすのも微妙なくらいの目に見えない様な霧雨だが、10分くらい外にいたら完全に湿ってしまう雨である。あー鬱陶しい。しかも寒い寒い。
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 今日も先週新調した 8インチの深胴スネアを持って来た。まだまだ理想の音には程遠いので、色々と研究が必要。
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 バーチシェルのレコーディングカスタムは、チューニングに対して非常に敏感なのでとても奥深い。少しチューニングを変えるだけでカナリ『鳴り』が変わって色々な表情が出てくるので研究のしがいがある。しかもこのスナッピーテンショナーが秀逸で、ホントに微妙な差をつけた状態のままシッカリと固定する事ができるので、スナッピーのみならず裏側の皮の『鳴り』までカナリ細かくコントロールできるのだ。スナッピーはキツく張ると結局は裏の皮を押さえつけてしまう事になるので、裏側のピッチが上がってしまうし、その分『響かなく』なるのは自明である。かといってルーズにすると今度は無駄に振動して余計なノイズっぽく常にスナッピーが鳴ってる様な状態になって、叩いた時だけゲートリバーブがかかった様な音になるからコントロールが中々難しい。そもそも裏の皮は『スネアサイド』と言って、本当に薄い皮なので同じテンションで張っても表のヘッドよりピッチが上がる傾向があるから、全体的にローピッチのままキレのある音を作るのは結構難しいのだ。スナッピーテンショナーを下ろした状態で叩いて、仮に『完璧なチューニングをしたタム』の様な良い音で鳴ったとしても、スナッピーを上げた瞬間に『ガッカリ』した様な音に変化する事は多々あるからね。何度も調整を繰り返して理想の音に近付けるしかない。

 今まで使ってきた 5.5インチとか 4インチの浅い胴のスネアは、どちらかというと上下の皮のテンション調整だけで比較的簡単に音色が綺麗にキマったのだが、この 8インチの深い胴は『胴鳴り』の周波数があって、これと皮のピッチの関係でタマに不協和音…というか濁った倍音が鳴り出しりするから、調整要素が一つ増えて中々難しい。元々オリジナルで装着されているフツーの皮(コーテッドアンバサダー)は、かなりハイピッチにチューニングすると独特な深みのある良い音になるのだが、胴鳴りと相まって不協っぽい倍音のウネりが出始めるのだ。なので胴鳴りの周波数とうまく組み合わせて 3度とか 5度とか綺麗に倍音が収まる場所にチューニングしなければならない。

 そんな感じで、一曲ごとにチューニングを上げたり下げたり調整しつつ「あーでもない」「こーでもない」とか頭を抱えながらミッチリと 2時間ほどリハーサル。
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 やっぱりこのスネアはローピッチの方が合う…という結論に達し、低い音域で色々調整して、だいぶ音程や音色はキマって来たのだが、どうもイマイチ『音抜け』が悪い。どーにも『しっくり』来なかったので、約 90分ほど叩いた所で、前々からこのスタジオに置きっ放しにしていた、以前使っていたメタルスネアに張っていた『コーテッドピンストライプ』の皮と交換してみる事にした。
 メンバーに「ごめんちょっと 5分だけ時間くれる?」と断って、慌てて全てのキーを緩めてリムを外してサクっとヘッド交換である。レコカスは 10本ラグなので外すのも大変だが、ワタクシこういう時のためにチューニングキーを 2つ持ち歩いてるので対角線上に2本挿して両手でグルグル回す。そうするとテンションが均一に緩むから皮にも良いし、何より速く外せるのだw
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 交換後、すぐに叩いてみたら「おおお!良いじゃん!」ちょっと感動するほど全然音が違って、俄然良くなった。こりゃカナリ理想に近いかも(嬉)
 ピンストって、そもそも二枚の皮が貼り合わさっていて真ん中にオイルが挟まっているので倍音が綺麗に抑えられるのだが、リングミュート的にハイの倍音をカットする訳じゃなくて、ハイの減衰がずっと自然なんだよね…。何というか、リングミュートは EQでハイカットした様な感じだが、ピンストライプはバンドパスコンプをかけた様な感じでソフトに減衰する感じがするのだ。余計な倍音が抑えられるので非常にチューニングがしやすい。
 それと不思議なのは、ピンストの方が皮がずっと分厚い筈なのに、寧ろアタックがずっと強く出る気がするのだ。薄い皮の方が響きが繊細でアタック感が出ると思っていたので、これは意外だった。

 つまりは、やっぱりハイピッチの時には薄い皮、ローピッチの時は分厚い皮の方が良いって事だな、ワタクシ的にはピンストライプ最強説がまた裏付けされてしまったw 
 オープンリムショットをすると「スコーン」と抜ける様なアタックと共にボディの胴鳴りがズシッと腹に来る『深み』のある良い音になった。ちゃんと『抜ける』のに決してウルサくない所が良い。こりゃ良いわ。今日は時間切れだったが、今後はこの皮でもうちょっとチューニングを極めていこうと思う。ローピッチにすると叩いてるウチにどんどんチューニングボルトが緩んで来て、気付いた頃には一本だけブルブルに緩んでサスティンが無くなってたりするから注意が必要なのよね。この辺も研究が必要だ。

 そしてリハ終了後は、こっちのバンドの年会(忘年会)である。向かったのは日本料理『酒神』 チゲ鍋を突つきつつ色々と語り合う。
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 このバンドは全員呑兵衛なので、一升瓶を入れる事にw
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 結局コッチの方が安上がりだった。あはは。さすが我々。

 そんなこんなで良い感じに出来上がってしまったので、22時前にお開き。
 外は相変わらず霧雨が降っていた。嗚呼もぅ…この雨、一体いつまで降るんだろ?ほんとうんざり。

 帰宅後は何だか疲れてしまったので楽器類を全部出して乾かした後、何もかもをやりっ放しのまま、そのままベッドに倒れこむ様にして 23時過ぎには寝てしまった。こんな風にして連休の第一日目が暮れていく。やっぱり休みは良い!明日の心配事が何一つ無い…というこの開放感。サイコーだw
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