中国de音楽4

中国在住の日本人音楽家による、日々の日記です。

粉雪とおかき

 1/3である。上海は午前中から摂氏0度。粉雪が舞っていた。ベランダから写真を撮ってみたが、雪は全く映らなかった。あはは。
 サスガに粒子が細かいし、風に乗って意外と落下速度が早いので結構シャッタースピードを上げないと無理だったかな(苦笑)

 寒いので部屋に引き蘢って午前中からTDの続きを行う。TDというより現時点では仮TDだな、前回録ったネタのピックアップとテイクの整理整頓で、次のアレンジに繋げる大事な作業だ。
 昨年末のレコーディングでは結構時間に追われていた関係もあり、その場でテイクをピックできずに録り溜めしていたので、一つ一つ確認しながらベストテイクを選んで行く作業である。

 しかしサスガ21世紀、ネット社会は偉大である。軽く仮mixをbounceして共有フォルダに上げると、ネット経由で逐一確認してもらえ、スグにコメントが来るので実にやりやすい。スゴい時代になったモノだ。

 一般的にはTDやmixの方向性を決める際は、普通はアーティストもスタジオに行って『立ち会い』するのが常である。長年一緒にやってるエンジニアで丸投げできる状態ならまだしも、それでも矢張り心配なので可能な限り立ち会いする場合が多いのだが、逆に言うとコレって限られた時間内に、限られた環境で仕上げなければならないプレッシャーとの戦いでもあるのだ。つまりアーティストにとっては多かれ少なかれ『妥協』を強いられるのは確かである。(予算を無尽蔵に使える程のよっぽどのビッグネームなら別だが)

 しかし、これだけDAWが進化して、エフェクター類のプラグインが『カナリ』使える様になってくると、『商用スタジオじゃなければ出来ない作業』というものが実際減って来るのも事実だと思う。プライベートスタジオで時間をかけて色々と実験しながら作業する方が最終的な目的地への到達は早かったりするのだ。勿論、高価なビンテージアナログ機材を通した音には叶わないが、『表現の質』という意味ではそれ程差が出ないのではなかろうか? 寧ろ時間に追われずに妥協せずにヒタスラ『拘って』時間をかけて手作りで仕上げたモノの方が、リスナーにとっては感動を呼んだりしないだろうか? …なぁんて思いつつ作業している今日この頃(笑)
 『時間をかける=予算がかかる』と同義じゃないか!という意見も聞こえてきそうだが、少なくとも商用スタジオの費用はかからいし、付随する人件費もかからない。アーティストの拘束時間もぐっと減るしね。何よりiPhone一つで確認できるので場所的な拘束を伴わないのが良い。


 さて、先般のNHK紅白歌合戦の録画を見ながらフト思ったのだが、『マス』と『草の根』の違いは『カルチャー』と『サブカル』の違いみたいなもので、どちらが良い悪いの問題ではなく、最終的に手にした人がどう判断するか?という部分だと思っている。
 紅白に出ているアーティストが素晴らしいとか音楽的に優れているとかは別にして、やっぱりあれが今の日本の『マス』だと思うし、お金もかかっててエンターテイメントとして凄いと思う。でも逆に『ニコニコ動画』にアップされた素人さんの作ったミク楽曲を見て不覚にも鳥肌が立つ程感動しちゃったりする事もあるワケだ。

 評価されるとかされない(誰に?)とか、売れるとか売れないとかを言い出すと、話はヤヤコシクなるが、どこに音楽の『価値』があるのかが分かりにくい時代ではある。

 一般的なお客さんにとって『エンターテイメント性』は分かりやすいが『音楽的感動』はチョット分かりにくい…というのは事実で、それも商売になりにくい部分ではあるのかもしれない。

 …なぁんちゃって!? 正月からマジメに考えちゃったりして(笑)でもチャンスはあると思うんだよホント。懐古主義ではなく、音楽って絶対必要だと思うし、音楽の『味わい方』みたいなモノを教える(共有する)機会が減ってるだけだと思うんだよなぁ。

 あ、そうそう!『味わい方』と書いて思い出した。下の写真は日本の某アーティストさんが送ってくれた奈良の『おかき』。コレ超美味しいので止まらない。正月に日本を感じられるのは有り難い!