中国de音楽4

中国在住の日本人音楽家による、日々の日記です。

XG音源のプラグインは無い?

 木曜日、上海は曇り。気温は 3度で相変わらずクソ寒い。先般暖かくなった際、阿姨が電気ストーブを倉庫に片付けてしまったので、また引っ張り出して来て使っている。3月だというのに何なんだろこの寒さ。オフィス内でも風邪引いてる人が増えてきたので気をつけなきゃね。
 さて、今日は XG音源おオハナシ。ちょっとワケあって XGフォーマットで組まれた MIDIファイル(SMF)を外で再生しなければならない必要性に迫られているのだが、想定しているファイルが XGに特化していて QuickTime等のお手軽 MIDI音源ではマトモに鳴らないのだ。勿論 Logic等に直接読ませても、プログラムチェンジ情報から似たようなソフトウェア音源を自動的にアサインするだけなので『素っ頓狂』な音色設定になり、それに加え、とんでもない音量バランスで鳴るし、細かいコントロールチェンジも全く上手く行っていない感じで再生されるので、そのまま開くだけでは全く使い物にならない。勿論エディットすれば良いのだが、ファイルが 200個以上あるので一々全部エディットして再保存するのもカナリの手間だから現実的ではないのだ。
 「こりゃやっぱハードウェアじゃなきゃダメだな」と思い自宅の機材を見回したのだが、ワタクシが所有している音源は比較的 Roland系の機材が多く、故に GS/GMフォーマット対応のものは有るのだが、XGフォーマットに対応した音源は motif Rackくらいしか持って無い。しかもコレはラックマウントされているので毎回外して外に持って行くのは現実的じゃ無い(重いしね)

 そんなワケで「何かプラグインXGフォーマットに対応している物が無いのかなぁ…」と、ネットで探しまくったのだが、コレがまた面白いくらい見つからない(泣) 唯一『MidRadioPlayer』というプレイヤーソフトを発見したので落として使ってみたが、一応コレだけはマトモに鳴ったのだが、単なる独立したお手軽プレイヤーソフトゆえプラグイン化できない為、トラック毎のミュートやソロ再生ができないので、ワタクシが使う用途としては不十分である。
 GS/GM系では Rolandが SC88Proのプラグインを最近出した為、一応コレの試用版を DLして使ってみたが、やはり予想通りマトモに鳴らなかった。何故マトモに鳴らないのか気になって対象ファイルの MIDIファイルのバイナリの先頭を眺めてみると、どうもシステムエクスクルージブメッセージを送りまくっていて、音色まで弄ったカナリ凝ったプログラミングがされているでは無いか…。これじゃ、フツーの GM/GS音源だとマトモに鳴らないわな。そりゃ Windows Media Playerや QickTimeでもマトモに鳴らないワケだ。
 参ったなぁ…イマサラ XG対応の小型ハードウェア音源なんて買う気にもならないし、しかも MUシリーズなんて中古でも結構な高値が付いているのだ。(20年くらい前は、どこにでも腐るほど転がっていたのにね)
 そんなワケで色々とネットを探していたら、面白い製品を見つけたのでダメ元で先般の一時帰国時に購入してきたワケだ。それがコレ。『SWITCH SCIENCE』社が出している組み込みシステム用の音源ボード『eVY1』

 コレは YAMAHAの YMW-820という、通称 NSX-1と呼ばれるチップを積んだボードで、こんな小さい LSIチップの中に初音ミク的なヴォーカルシンセサイズ音源まで積んでいる優れものらしい。

 ボード売りなので仕様も詳しく公開されており、良く見ると GM相当の音源搭載、しかも『XG相当のエフェクトを搭載』と記載されていた。実際には完全な XG音源では無いらしいのだが MIDIインプリメンテーションチャートを見ると、システムエクスクルージブのエリアに XGの on-offは受け付ける…と記載されていた為、「まぁ最悪、無い機能は無視したとしてもプログラムチェンジのバンク切り替え等は『それなりに』理解してマトモに再生してくれるだろう」、「もし最悪使えなくてもオモチャとして面白いしね」と気軽な感じで購入してみたワケだ。こんなに小さくて軽いボード(7cm x 5cm)なら鞄に入れても全く苦じゃ無いしね。
 このボードは mini-USBとステレオミニフォーンジャックを基板上に備えていて、何も考えずに Macと USB接続するだけでバスパワーで電源が入り、そのまま外部ハードウェア MIDI音源として認識されるのだ。こんな風に『eVY1 midi』として表示される。

 そんなワケでシーケンサーからこれをコントロールするのはとても簡単で、シーケンサーを使った事がある人は自分のシーケンサー上の設定を外部 MIDI音源の eVY1にマルチティンバー音源として送れば良い。そんなワケで、恐る恐る問題となるファイルを再生してみたら、なんとマトモに鳴るでは無いか! しかも結構音が良い。凄い!
 ただコツがあり、トラック1はヴォーカロイド専用チャンネルらしく、このトラックに入った音だけは、初音ミクっぽい声で『あ、あ、あ、あ、あ』と鳴るから笑えた。つまりこのトラックだけ使わずに1トラックズラして再生すれば全て見事に美しく鳴る。いやぁ凄いね。面白い。
 一点注意事項は、Logic Pro X だけは途中再生や停止後のリピート再生が何故か上手く行かなかった。Logic Pro 9では問題無い。ProTools 12でも全く問題無かった。どうも Logic Pro Xは停止時に全てのポートに対して一斉に何らかのメッセージを送っているらしく、コレを受けるとボード上のリセットスイッチを押すまで暴走して音が鳴り続けてしまう…という不具合があった。中々難儀であるが、まぁシーケンサーの仕様なので仕方無い。Logic Pro 9で再生するなら美しく完璧に再生できるし、ループも可能だし勿論ミュートもソロも OKなので用途としては十分だ。
 ただ、出力ゲインが若干低いので S/Nが悪いのがタマに傷だなぁ(無音時にノイズが気になる) きっと 16ポート全部フルで鳴った際に歪まない様にヘッドルームを設定しているのだと思う。実用に耐えうるか若干心配だが、でも中々面白いオモチャなので暫くは遊べそうだ。 色々と実験しながら試してみようと思う。
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