中国de音楽4

中国在住の日本人音楽家による、日々の日記です。

国慶節 7日目(披露宴出席)

 土曜日、上海は晴れ。久々の快晴で気温も少し上がって 26度くらい。実に清々しい良い一日だった。
 毎週土曜日は、まずは朝からヤマハでドラム講師。

 流石に国慶節だけあって本日の生徒さんは 2名のみ。これだけ少ないとグループレッスンというよりはほぼ個人レッスンに近く、実に内容の濃いレッスンができた。

 レッスン修了後は慌てて mobikeに乗って一旦帰宅し、スーツに着替えて波止場に向かう。何か『波止場』って言葉を久々に使ったが、この単語は響きが良いね。言い様もない昭和なロマンを感じる。
 本日は講師仲間の Weiちゃんの結婚披露宴のパーティに演奏者として出席する事になっているのだ。場所は黄浦江の北の方で、今まで来た事が無い場所だったので早めに出たら結構早めに到着してしまった。関係者も機材車もまだ誰も来ていないのでノンビリ入り口横のベンチに座っていたら。ド派手な大型バイク数台を引き連れてジープのオープンカーが登場。そしてワタクシの目の前で止まる。偶然だがとても良い場面を見る事ができた(笑)

 Weiちゃんは上海でも珍しい大型バイクの女性ライダーなのでライダー仲間達が大勢居るらしい。到着したらバイクの前で早速撮影会が始まる。


 中々イカす。こういうのも新しい。そしてバイク仲間達と記念撮影。

 そしてスタッフさんに手伝ってもらって楽器類を船に搬入し、サクっと組み始める。ドラマーが一番パーツが多いので中々大変。そしてステージ上に組み上がった本日のワタクシの簡易ドラムセット。

 今回の披露宴は船を一艘まるまる借り切って船上でのパーティとなるのだ。ステージはこんな感じ。

 これが一階部分でこの上に2階があり、3階はチャペルになってるのかな? 3Fには行かなかったが我々が1Fでセッティングをしている間、新郎新婦は3階で暫く色々な式典をやっていた。結構大型の船である。
 一通りセッティングが終了したのでデッキに出てみたら綺麗な夕焼けだった。

 そしてリハーサル開始。窓の外は黄浦江。何だか不思議な気分である。

 この船上ステージでは、普段はワイヤレスマイクしか使わないらしく、ライン楽器が有るなら DIが必要と言われたので自前の DIを持って来たのだが、ここの PA担当者がカナリ適当な人で中々こちら側の思惑通りに接続してくれない。一々全部言い訳して断るので、接続させるだけでカナリ苦労した。

 そして出航と共に宴が始まる。ステージ上でまずは我々のJazzグループのOAからスタート。ステージ上ではベースの音が全く聞こえなくて超困った。いやはやPAさん頼むよぅ…ホント。Jazzはベースが要なのだよ。
 窓から外をみると当たり前だが景色が動いていた。川の上をユックリと走る船の上での披露宴。こんなの生まれて初めてだ。中型フェリーくらいの船を一艘丸々貸し切りなのだ。一体いくらかかるんだろ? スゲーなホント。

 船の上とは言え、いわゆる披露宴らしい披露宴なので色々なコーナーが続く。

 お客様も結構盛り上がっている。

 そしてステージ上では弦楽四重奏的な演目が続く。…が客席側に来てみたら殆ど音が聞こえないじゃないか(泣)どうやらココのPAさんは全然やる気が無いらしい。客席後方のPAブースを見たら卓の前でボーッと突っ立って携帯で遊んでいる…まさに中国アルアル。ホント困りものだ。誰も文句言わないトコロがまた凄い。機材は立派なのにね…いやはや実に勿体ない。あ〜あ。何だか泣けてきたが、気にしているのはワタクシだけで、中国のプロの演奏者達はこういうのに慣れているらしく(というか休憩時間に尋ねてみたら殆どがこういう現場らしい)文句ひとつ言わずに淡々と譜面の上をなぞって自分の演奏をこなしていた。

 暫く歓談の後、二人の出会いビデオみたいなものが上映され(これは結構良かった)そしてお色直しの後に再登場。

 こういうのは盛り上がるね。

 シャンパンタワー。

 そして演奏は続く。

 ご両親のご挨拶等々を見てチョット感動しちゃったりして。

 その後は我々は BGMに徹して、連続して演奏。
 気付けばいつのまにか港に戻っていた。この船は全然揺れないから気付かなかった。例によって中国的な披露宴なのでエンディングはユルくて、ピシッと全体で締めずにダラダラと好き勝手にお客様が自分の都合で帰って行くタイプ。ゆえに「ここが終わり」というのが無いので、ある程度まで演奏したらそこでおしまい(…というより、お客様が残っていても内装業者が勝手にバラし始めるので、それが合図で終わる様なものである)
 終了後は演奏者達は勝手に楽器を片付けて「お疲れ様〜」とサラっと帰ってしまう。実にドライ。ワタクシは楽器が人一倍多いので最後まで一人で片付けて、とりあえず楽器を預けて船を下りた。

 いやぁ…中々凄い経験だった。
 でもイベント屋のプロを自負するワタクシとしては、こういったイベントでの PAの重要性を再認識した良い経験であった。もし未だにこれが一般的な中国のやり方だとするならば、実に勿体ない。もっともっと良く出来ると思う。とても可能性を感じる。演目のコンテンツ一つ一つは結構クオリティが高いのに、ブライダルの会社にそれらを纏めて『見せる』『魅せる』術(技術的なプロデュース力)が全然足りない。演出って音響と照明でガラっと変わるのだ。あんな風に600Hzとか800Hzとかがやたらとデカい「コンコン」した痛い音は大音量で聞いてると聞いてる方が疲れるし、点けたら点けっぱなしの照明も、シーン毎に色をちょっと工夫するだけでドラマチックになる。カメラさんがスポットの前に立って主役を遮ってしまったら直ぐに誰かが注意するべきだし、とにかくメリハリとサプライズが足りない。実に勿体ないと思った。
 でもお客様が誰一人そういう事に頓着していない風だったので、ひょっとするとワタクシが感じたこういう事はこの中国市場では『大きなお世話?』なのかもしれないが、まだ気付いていないだけかもしれないので、比較の為に『良いモノ』をどんどん積極的に提示してお客様自身に比較してもらうのが一番だな、なんて思った。

 あ、イカイカン。ついイベンターの視点で仕事目線で考えてしまうな(苦笑) 何はともあれ Weiちゃん素敵でした!結婚おめでとう!末永くお幸せにね!!
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