中国de音楽4

中国在住の日本人音楽家による、日々の日記です。

トキサカシマ

 火曜日、上海は曇り、気温は 4度で寒い一日。
 今日からウチの息子は試験期間に入ったらしく、学校が早く終わるので朝 9時半には迎えに行かなければならない。しかし阿姨がウチの自転車に乗っていってしまったので、学校までは mobikeで行く。午前 9時15分に学校に到着。既に保護者達が集まっていた。
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 9時半に近付くにつれ道路も大混乱である。こりゃ近隣のヒトには良い迷惑だわなぁ。しかし、不思議なモノで、まぁその辺は『お互い様』で許されてしまう、何故か子供には寛容な国民性。こういう所は中国はとても良い所。
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 息子をピックした後は、mobikeは二人乗りが出来ない仕様なので、ノンビリと歩いて帰ってきた。道すがら色々な話をするのだが、子供というのは着眼点が我々とは全く違うので面白い。そう言えばワタクシも小学生の頃に通学する際は『イツモ自分は自分という飛行機に乗っていて、目の所に操縦席があって、自分自身をコントロールして飛行しているんだ』という風に想像していたナァ…なんて思い出した。何だか懐かしい。

 帰宅後は妻に息子をバトンタッチしてワタクシは出勤。出勤後はフツーにデスクワーク。
 昼過ぎに同僚がタピオカミルクティを外卖する…というので便乗。今日のは何だかプリンみたいなのが入っていて一瞬焦った。タピオカのつもりで飲むと慌てる(苦笑)いやぁ色んな事を考えるモノだ。
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 20時過ぎに会社を出て、ガーデンホテルのジムに寄って大浴場に浸かって暖まってから帰宅。帰りは自宅の最寄りのコンビニ(駅とは反対側に有る)に寄ってみたら、なんとイツモ使うファミマが潰れていた。超ショック!
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 仕方無く、別のローカルコンビニに寄ってビールだけ買って帰宅。ファミマが潰れる事なんて有るんだね。結構流行っていたのでびっくり。


 帰宅後はネットで色々調べ物してたら、なんとワタクシが昔大好きだったシンガーソングライター『山口美央子』さんがイマサラ!? 去年の年末に 35年ぶりにニューアルバムをリリースしている事を知って超興奮した。
 ワタクシは彼女のデビューアルバム『夢飛行』セカンド『Nirvana』サード『月姫』の3枚とも LPで持っている(今でも実家に大切に保存してある)のだ。確か中学二年の時に一番最初に買った LPがセカンドアルバムの『Nirvana』だった記憶がある。このアルバムは参加ミュージシャンが超豪華で、井上鑑さんがアレンジャー&キーボードで、ギターは松原正樹さんや今剛さん、ドラムは林立夫さんや山木秀夫さん、ベースは忘れちゃったけどパーカッションは確か浜口茂外也さんだった。そしてマニピ(そんな言葉は当時無かったが)に松武秀樹さんである。
 どうやら去年の12月に、今まで 1980年代にリリースしたアルバム 3枚とも初 CD化されて再発されたらしい。いやぁ…そんな事、全然知らなかったよ。実は、偶然にも時同じくして去年の年末に自分のバンド『Avalanche』で、このセカンドアルバムから 1曲カヴァーして演奏していたのだ。スゲーな。非常に面白い。同じ世代のヒトのアンテナには同じ時期に同じ『何か』が引っかかるらしい(笑)

 そこへ来て、このニューアルバムの情報である。いやぁ…正直 35年も経ってるので、聴いてガッカリしちゃう事も大いに有り得る。うーむ、非常にフクザツな気持ちだが、でもまぁ昔からのファンとしては買っちゃうわな。購入を即決したのは言うまでも無い。
 しかし上海に住んでいるため CDを空輸するにはカナリ時間がかかってしまう。そこで色々調べてみたらどうやらハイレゾ音源のダウンロードが有るらしいのでハイレゾで購入する事にした。『e-Onkyo』のサイトから 96KHz/24bitの Waveファイルをダウンロード購入してみた。いやぁ凄い時代だ(笑)

 早速DLして聴いてみる。確かにファイルフォーマットは 96KHz/24bitの様だ。
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 Rolandのドライバはフェイルセーフの観点からか OSのサンプリング周波数をドライバ側が吸収して、どんな周波数のソースでも I/F側で設定した周波数で再生できてしまうのでコレでは意味が無い(つまり CoreAudioに下駄を履かせて自動的にコンバートが入っているっぽい) ゆえに一旦 Logic Pro上でセッション自体を 96KHzにて作成し、ソフト上から直接 CoreAudioを叩いてサンプリング周波数を固定してから、ここにファイルを並べて 96KHzネイティブ環境で正座して聴いてみた。
 確かにクロックは 96KHzになっている。
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 そして肝心の楽曲の感想は…。。。

 サードアルバム『月姫』の世界観に近かった。全体的にアンビエント寄りかな。個人的にはセカンドアルバムのポップで小悪魔的な世界観が一番好きだったので、ちょっと残念だったが、まぁ、とは言え楽曲センスとヴォーカルの声質は全く変わって無くて安心した。っつーか歌は昔風!?で、結構ピッチが甘いままリリースされているので驚いた、コレ歌のピッチ修正、殆どしてないんじゃないかな? イマドキの Autotuneとか Melodyne等のピッチ修正系プラグインは全く使っていないと思われる。凄い勇気だ。絶対に故意的なものだし、色々な部分に『こだわって』作られていると思われる。
 まだ 3回くらいしか聴いていないので何とも言えないが、全体的には相変わらずの美央子節で嬉しい。シンセPadでの立体的な空間を作るのが相変わらず上手い。目を瞑ると様々な情景が浮かぶ。暫く聴き込んだら、また違った世界が見えてくるだろう。買って良かった。
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 それと、市販の『ハイレゾ』音源をワタクシ的には今回初めて購入してみたワケだが、96KHz/24bitの恩恵は、うーんどうだろう? 正直『殆ど全く感じなかった』…というのが本音かな。このアルバムは、基本的に生楽器が『歌』のみで、後はほぼ全てシンセや打ち込みやサンプリングと思われるので、こういう音源ではハイレゾの恩恵を感じる事はできないかもね。もっと倍音の多い(生楽器が多い)音源だと大分違うんだろうけど…。それに、やはりマスタリング時に結構音圧を上げちゃっているので、デジタルコンプ臭さが出てしまい 24bitのレンジ感が生かせていないのが勿体ない。ハイレゾ音源って別マスタリングなのかなぁ? 何だか『突き方』が CDと一緒な気がした。24bitはファイナライズせずにヘッドルームに余裕を持ってリリースして欲しい所だ。別にCMや放送に使うワケじゃないんだから。。。

 強いて良い所を探せば、歌のリバーブの『奥行き』や『キメ細やかさ』は通常の 44.1KHzよりは解像度が高い気はした。特にディレイと混じって広がっていくリバーブはシルキーだ。減衰中にハイダンプがかかっている様なディレイの頭もリバーブに埋もれずに最後の方までシッカリ聴き取る事ができた。あと不思議な物で、サンプリング周波数が上がっていけば高域の倍音がより煌びやかに出てくる物かと思ったら、寧ろ中低域の密度の方が上がっている気がするのが不思議。特にパーカッション系は低音の皮のウネリみたいなものを、よりリアルに感じた(これサンプリングだろうけど違いを感じる) ワタクシは制作サイドの端くれなので、音源を単体で聴いたときの音と、mixに埋もれた後の音の両方を知っているが、このハイレゾ音源は、パーカッション音源だけを Soloで大音量で鳴らした時の様な臨場感がある。

 でもまぁ、これらの違いも些細な物で、スイッチで切り替えて真剣に集中して聴き比べて、初めて(ほんの僅かな)違いが判る程度である。有識者や耳に自信があるヒトを集めて完全に目隠しをしたままブラインドテストをして、どちらがどちらか『音だけで』判るヒトが何パーセント居るか疑問だ。
 ファイルサイズが巨大化する事や再生装置を選ぶ…という煩雑っぷりを考えると、こりゃ普及には程遠いわな。一部のマニア向けだろう。苦労の割に有り難みが少ない。普通のリスニング用途として LRのステレオ 2mixで聴く分には 44.1KHz/16bitで十分である。こんな事を言うと怒られるかもしれないが、世界中に蔓延している mp3を 44.1KHz/16bitのリニアPCM(CDの音質)に戻す方が、よっぽど世の中のためになるよ。mp3とCDの音の違いは雲泥の差なのに誰も mp3に文句を言わないのが不思議でならないもの。

 あ、そうだ。誤解されない様に書いておくが、ワタクシがココで言ってるハイレゾ音源は 2mix(通常のリスニング用のステレオ音源)のハナシであって、制作時の『マルチトラックレコーダー』をハイレゾ化するのは絶対的に有効ですよ!もちろん。かくいうワタクシも制作時は 48KHz/24bitで TDの直前まで録っていて、これは 44.1KHz/16bitのマルチで mixした時とは雲泥の差があるからだ。
 理由は、トラックが増える毎にそれらを混ぜる、絵画で言う所のパレットが必要なワケで、そこはよりキメ細かい色が出せる『余裕』が必要だからだ。我々レベルでもレコーディング時は普通に 24トラックくらい行くし、酷いときは 100トラックを越える事も有る。そうなると、それらの音が混ざった際に縦軸が 16bitだと同じ場所に点が集まって簡単に飽和してしまうので 24bitの方が有利なのは明らか(16bitの256倍ですよ)だし、横軸のサンプリング周波数も、上がれば上がるほど時間軸に余裕ができるので、あたかも同時に鳴っている様な音でもインターレース的に『間に入り込む』事ができるから、より『自然に』混ざるのは自明だ。ゆえにマルチのハイレゾ化は理論的にも有効だし、音も(ちゃんと耳で聞いて判るレベルで)完全に別物になる事を忘れてはイケナイ。

 …ってワタクシは一体誰に何を説明してるんだろ(苦笑)そんな事はどーでも良いわなw
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