中国de音楽4

中国在住の日本人音楽家による、日々の日記です。

そして ルシアン・ルーレット

 金曜日、関東地方南部は晴れ時々曇り、そして強風。気温は 9度。相変わらず一桁で寒い。

 本日は、年に数回行われるワタクシの『ヒトとして生きる価値が有るのか試される日』である。6発式のリボルバーに 3発だけ弾が入っている拳銃でルシアン・ルーレットをする日だな。よくヒトから「ロシアン・ルーレットじゃないの?」と指摘されるが、ワタクシ的にはロシアは巻き舌のルシアなのだ。CCCP時代のエンジニアに敬意を表したちょっとしたコダワりである。ま、どーでも良いかそんな事は。

 朝一から命の恩院に向かった。ココの前に立つと自然と背筋がピンと伸びる。
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 足を踏み入れる前に一旦立ち止まり、足を揃えてまず深呼吸。日本は空気が綺麗すぎるので、まるでキツいミント味のキャンディを口に入れている様な錯覚に陥る。
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 自動受付機でPHS端末を受け取り、採血エリアでたらふく血を抜かれ、造影剤の熱を感じながら巨大なドーナツに入る。
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 今日は胃カメラも有るので、次に内視鏡検査エリアに足を運んだ。

 胃カメラはいつやっても好きになれない。なので今回も鎮静剤を申し込み、約 30分ほど意識不明になる。ベッドで横になって口にマウスピースを咥えた後の記憶がスッカリ欠如しているので、本当に検査しているのか全くわからない。目覚めると休憩室にいて、立ち上がるとエラく酔っ払った様な感じで真っ直ぐ歩けない。ま、コレも毎度の事だから慣れているが、ヒトの記憶の曖昧さを思い知る。人間の記憶なんて、所詮、脳の電気信号だ。

 検査結果が出るまでの間、死刑宣告を待つ罪人の様な気分で頭をかかえながら冷たいベンチで待つ。そして手元で恐怖の判決のベルが鳴った。
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 診察室に入ると、ワタクシの命の恩人である先生が、例によって表情を変えないままポーカーフェイスで「こんにちは」と仰った。ワタクシは青い顔をしながら電気椅子に座る様な気分で丸椅子に腰掛ける。
 そして、彼は PCに向き直り、諸々のデータを確認する数十秒の沈黙。。。そして一言。

 「今回も転移の兆候はどこにも有りません。良かったですね」

 この言葉を聞いた瞬間、崩れ落ちそうになった。いやはや、毎回思うが、自分は弱い人間である事を思い知る。何せワタクシの場合、術後 10年間の再発の確立は 49.7%なのだ。いつ何を言われてもおかしくない。
 普段から「別にいつ死んでもイイや!」って強がってるクセに、どっかでビビってるチキンなヲレが居る。嗚呼…情けない。

 ま、何はともあれ、コレで次の検査まで延命できたワケだ。思わず自然に顔が綻ぶのを自分でも感じた。何故か素直に「良かった」と口に出してしまったりして?何だろう?コレは…。ヒネたワタクシにしては珍しい。最近、オフィシャルもプライベートも色々充実して来てるので、どっかで『まだ死にたくない』…って無意識に思ってるのかもしれないナぁ。

 朝はあんなに曇っていたのに、帰りには雲一つ無い青空で、ブランニューな太陽がワタクシを見ていた。
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 森羅万象に感謝。
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