中国de音楽4

中国在住の日本人音楽家による、日々の日記です。

V-drumの進化

 木曜日、上海は雨、気温は 13度。例によって丸一日『霧雨』である。先週末くらいからずーっとこの天気である。ナンジャコリャ? それまでずーっと晴天が続いていたので、そのツケが回ってきたのかな?良く分からんが極端過ぎである。

 朝 5時半に息子がトイレに行った音で起きる。面白いもので(レム睡眠のタイミングなのか?)普段は気付かない様な物音でもタマに目覚める事があるから不思議。お陰様でそっから眠れなくなったのでそのまま起床。息子はベッドに戻って 1分もしないうちに爆睡。ウチの奥さんもそうだが、どんな時も一瞬にして眠れちゃう特技、ホント羨ましい。

 そんなワケで久々に少しゆっくり目の朝を過ごし、その後は例によって自転車と地下鉄と路面電車を乗り継いで 2時間弱の通勤で出社。

 午前中はフツーにデスクワーク。

 そして昼食後、午後イチに購買担当から『荷物が届いたので確認して欲しい』という連絡が入ったので同僚と共に 1階奥にある購買部の部屋まで見に行ったら、なんと巨大な段ボールが山盛りだった。どうやら会社で使う楽器として購入申請した電子ドラムが一式届いたらしい。

 いやぁ…どこまでトコトン凄い会社なんだろ?意味がワカラン(苦笑)

 念のため説明しておくが、確かにコレはワタクシが申請した機材だけど、別にワタクシが個人的に絶対必要だから買ったワケじゃ無いのだよ。皆様お察しの通りゲーム会社のBGMや音効の制作にエレドラは必ずしも絶対必要な物では無いのは自明である。「じゃ、なぜ申請したの?」って思うよね?フツー思うよね?
 コレには色々な理由が有って、まぁ簡単に言うと『チームから依頼されてワタクシが選んだ』だけなのだ。大きな会社にはそれぞれの部署に年間予算と言うものが有り、ウチの会社の場合 12月締めなので、それまでに本年度の予算を使い切らないと来年度の予算が減らされるらしい。
 本来、ワタクシと同じ『专家』クラスのカナダ人が今年の頭に入社する予定だったのだが、この新型肺炎のせいでカナダから上海に戻れなくなった為、彼の機材分の予算が丸々浮いてしまったらしい。そんなワケでサウンドチーム全員に『予算の有効活用』という事でアンケートをとった結果『マトモな楽器類が欲しい』という結論に達したらしい。何だかなぁ…。
 勿論、本来ならハイスペックな Macやらソフトウェア音源の方がずっと使い道が有るのだが、会社の規則としてカテゴリ毎に予算が決められていて、音楽制作の『ハードウェアに限る』という制限がついてるので仕方なく…という事らしい。なるほどね。

 なんだか不毛な買い物の様な気がしないでも無いが、まぁ頼まれたのだから仕方ない。奮発して良い物を選びましたよ!

 そんなワケで選んだのは Rolandの V-Drumシリーズの上から 2番目のグレード  TD27KVフルセットである。Hi-Hatスタンドとスネアスタンドとツインペダルは YAMAHA製をピックアップ。

 早速社内スタジオに運び込み組み立ててみた。
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 いやぁ…イマドキのエレドラの進化はホント凄いね。打感のフィーリングがあまりにリアルでホンキで感動した。スネアは 14インチだし、ライドは 18インチだし、スティックの跳ね返り具合も、皮モノ以外の金物類まで非常に自然なフィーリングなのだ。
 ワタクシ諸々の理由(オトナの事情!?)で、基本的にヤマハのエレドラを使用する事が多いのだが、これYAMAHAフラッグシップの DTXを遥かに凌駕している気がする。ほんと凄いわ。ベロシティのフィーリングが『まんま』生ドラム。
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 音源にサンプリングされている『音色』は、確かに好みが分かれるとは思うが(音色的にはヤマハの方が個人的には好みだが)とにかくセンサーの反応範囲と『ストローク/音量&音質の変化』の比率カーブはトンでも無く良く出来ていて驚いた。特にライドとスネアの表現の幅は今までのエレドラのレベルを完全に超えていて全く別物と言って良い。この 27KVはスネアとライドだけ『デジタルセンサー』と言ってUSB接続なのだ。その分情報量が多いのかもしれないが、USB?と聞くと何となくレイテンシーが有りそうなので懐疑的だったが全くディレイは感じなかった。こりゃ正統な進化だな。素晴らしい。

 全体的な打感のフィーリングのチューニングが実に『生ドラムらしい』ので、コレ明らかに相当ドラムの事を知ってるドラマーの意見をカナリ多く取り入れて、丁寧にベロシティカーブがチューニングされていると思う。Rolandの本気度が伺える。

 最新のヤマハのエレドラを叩いていないから一概には比べられないけど、ワタクシの知ってる範囲で言うなら、ことエレドラに関しては明らかにローランドに軍配が上がるわ。こりゃすげーよホント。自宅にも欲しくなった(チョット高いけど、息子が本気になったら買おうかなぁ)

 エレドラは単なる練習台から、ちゃんとした『楽器』に進化したね。ドラマーがちゃんと表情をつけてシッカリ『表現』できるんだから…。まさかこんな時代が来るとは。
 コレだけしっかりドラマーのフィーリングを拾ってくれると『MIDIデータ収録』機器としては非常に良い効果が期待できるのも事実。今までの打ち込みドラムの楽曲は全て生ドラムのグルーヴに(しかも超短時間で)差し替える事ができるのだから、時短効果とクオリティアップは計り知れないだろう。勿論それが購入目的なのだが、その分プレイヤーとしての責任は重大なので正直複雑な心境であるw

 さて、他にもKemperのアンプシミュレーターも今日届いたのだが、時間ないので音が出るのを確認して、プリセットを一通り聞いておしまい。これは後日またレポートしようと思う。
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 いやはや…。

 自分が何処にいて何をやってるのか(コレが仕事なのか?)段々良く分からなくなってきたが、まぁとにかく仕事内容としては楽しくて仕方ないのは事実である。これで勤務場所が近ければ言う事ないんだけどなぁ…。
 ま、でもこんだけやりたい放題やらせて貰えてるんだから贅沢は言えないね。今年、2020年の頭は紆余曲折あって大変だったケド、今思えば総じてラッキーだったかな。様々な縁に感謝感謝である。

 21時前に会社を出て 23時前に帰宅したのだが、家の周り一帯が真っ暗で、ヒトが外に出てヒソヒソ話してる…という何だかモノモノしい雰囲気だったので驚いた。どうやらココの小区だけ全部停電してるらしい。

 そんな中では有るが、懐中電灯の中で晩酌。ブレないワタクシ(笑)
f:id:hayap24bit:20201127103807j:image PCも TVも WiFiも消えてるので、ほとんど『高周波』が無い空間なんて久しぶりかも。これはコレでなかなか新しい。(あ、携帯の電波が有るか…これからは逃げられないな。忘れてたw)

 でも電気がなくなると、現代人って面白いくらい本気で『なーんも』できないね。思い知った。エレドラ褒めてる場合じゃ無い?かもw

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