中国de音楽4

中国在住の日本人音楽家による、日々の日記です。

大晦日

 木曜日、上海は雨、気温は 10度。丸一日冷たい雨が降っている大晦日。

 朝 4時半、我が家では年に数回ほど発生する『妻の仕事の関係による突発的なローカル事件』で無理やり起こされ、そこから眠れなくなってしまった。ほんと腹が立つが、まぁ怒ってどうなる物でもないし、他人に迷惑をかけるくらいなら、我々に迷惑をかけてくれた方がずっとマシなのは事実。今は全国的に休みの時期なのでワタクシ的にも影響は少ないから我慢する。…が、明日みっちり説教しようと思う。

 目覚めてしまったので、とりあえず水漏れの状況を確認し、元栓を閉めてる限りは漏れてない事を確認できたので一安心。
 しっかしまぁ…春節連休中の朝 5時前である。特に急ぎでヤル事も無いのでボーッと今年を振り返ってみたら、なんだか妙に滑稽に思えてきた。なんじゃ今のこの世界は…。
 現在・過去・未来。ホント色々あるねぇ。冗談みたいな世の中になっちゃったなぁ。 渡辺真知子さんの『迷い道』のフレーズがふと浮かんだが、朝も早いので歌うのは控えた。
 朝っぱらから?どうか…とは思ったが今日は丸一日何も予定が無いので、ウヰスキーをストレートでチビチビ飲み始めたら、うまい具合に眠くなってきたので午前 6時頃にまたベッドに潜って二度寝。次に目覚めたのは午前 10時過ぎである。

 午後からは年末の家の手伝い等を行い、夕方からは家族3人で『年夜饭』を食べに出かけた。
 雨の中、地下鉄にて妻が予約した南京西路の店に行ったら、何と!店が潰れていた(苦笑)え〜!?まじか。笑える。いや笑えない。彼女はネットで予約したらしいのだが、当該ビルの6Fに行ったら影も形もないじゃないか。仕方ないからビルの警備の人に聞いたら、どうやらつい昨日か一昨日?出て行ったらしい。なんじゃそりゃ? そんな事あるんだね。

 仕方ないから近所を歩いて、目についたレストランに入った。ワタクシ的には『ビールが飲めればそれでいい』ので。
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 よく見ないで入ったのだが、メニューを見たら酒類が一切ない。しかも肉類も一切ないじゃないか!え〜? なにそれビックリ。
 改めて店名を見たら『ベジタリアンレストラン』って書いてあった。中国にもこういう店あるんだ。。。知らなかった。 外は雨だし大晦日に空いてる店を探すのも面倒だし、ネタ的には面白いのでココで年夜饭を頂く事に。

 コレが中国のノンアルコールビール。
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 ま、味は日本のノンアルとほぼ同じだなw

 そしてお料理もキノコ類が中心?でお肉っぽい歯ごたえを演出していた。味は悪くなかった。
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 蟹粉豆腐の味だが、カニは使ってないらしい。どうやって作ってるんだろ?
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 お酒も肉もない年夜饭なんて初めてカモ。なかなかコレはコレで新しい。

 帰宅後は CCTVでやってる年末の生放送番組を観ながらノンビリと過ごす。
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 大道具が凄く凝っていて、舞台ほぼ全面が 1.5m x 1.5mくらいのタイル状のリフターで一面埋め尽くされていて(多分横10台 x 5列くらい有る?)、コレがかなり早い速度で 2mくらい上下するのだ。驚くべき事はこのリフターの天面および側面 4面にLEDディスプレイが埋め込まれていて、そこに連続した絵(動画)を表示する事ができるのだ。天面は上から観た時の1枚絵を分割して表示しているっぽい(天井カメラから一枚の映像が動いていた)立体面となる前面および側面はどういう仕組みで(レイアウトで)表示されてるのか謎だが、実に自然に流れていたので、それぞれ他のディスプレイとの相関関係を見越した上で映像制作されているものと思われる。実に見事。

 舞台上方からも同じ形状の巨大な柱状のディスプレイが上から複数本レイヤーになって下に伸びてくるので同じものが逆向きに仕込まれてるのだと思われる。照明トラスには重量制限が有るはずなのでどういう仕組みなのか実に謎。でもコレらの映像を組み合わせた演出はホント効果的で素晴らしかった。

 それに CGの使い方も秀逸。3Dキャラクターが人間と一緒に歌ったり、同じ立ち位置の横に並んだり、遠近感&ライティング、影の位置までシッカリ計算されてるらしく全く違和感がない。一箇所も破綻していなかった。実映像とのレイヤー感を感じられないほどコントラストや照明の『色味』が自然だったのだ。どうやってるんだろ?

 マイクの類はほぼ全てゼンハイザー製。MCや歌唱には SKM5200にスポンジフードを装着していた。室内なのにスポンジを使っていたのは、感染予防の観点…というよりは中国語は有気音が多いため『吹かれ』を気にしたのだと思われる。寸劇やマイキングが難しいシチュエーションでは、ほぼ全員肌色のヘッドセットを装着していた(多分 HSP4) HSP4は SHURE等のヘッドセットと異なり、アームが耳の下から生えるので口の真横から拾える為、鼻息や吹かれに強い。これも中国語の特性をよく考えられて選択されたのだろう。また出演者一人一人が常にマイクの角度を気にして、事あるごとに自分で角度修正していたのも見逃さなかった。こりゃ出演者もカナリ教育されて『練習して』いるのだと思われる。

 ミックスも全体のコンプ感も一昔前とは比べ物にならないほど自然だった。ラウドネスレベルもほぼ一定で、大声で喋る演者も囁くような声の演者も実によく聞こえる自然なミックスだった。
 イヤモニをしていない歌手が半数くらい居たので、モニタ環境も結構拘って作られてると思うが、舞台上にウェッジは一台も見当たらなかった。舞台は横幅 25mは有ると思われるのでサイドフィルだけでは多分カバーしきれないだろう。一体どうやってるんだろ? しかも口パクは、激しいダンスを行うダンサーや、拾うのが難しいグランドピアノ以外、殆ど居なかったのだ。凄いなぁ。一応客を入れて(例年に比べれば少ないし全員マスク着用だったが)の生放送なので会場での PAもしている筈だから、有る程度の音量は出していると思われる。(つまりハウる可能性もある、特にHSP4は無指向性だしね)

 ワタクシ、以前は失礼ながら、自分の後輩を暖かい目で見守る…様な気分で中国のTV番組を眺めていたのだが、ここ数年は明らかに技術レベルも演出の仕方も、ホント学ぶべき事が多い。っつーかあまりにミラクルでどうやってるのかホントに判らない様な演出さえ有るほどだ。いやはや。中国侮れない。

 で、、、、実は一番脅威に感じたのはココではない。これはあくまで個人的な感覚カモしれないが、出演者が全員『プロ』だったのだよ。ワタクシ中国の芸能界は殆ど興味がなかったので、初めて見る歌手ばかりなのだが、歌が下手な人は一人もいなかった。バレエの様なダンスも、子供が大勢出る様なパフォーマンスも、雑技やら京劇やら変面やらを思わせる様な伝統芸能も、殆ど全ての演目が世界に出して恥ずかしくない様な『一流』だったのだよ。もちろん漫才やコント的なものは言葉が判らなければ理解できないだろうが、歌やダンスやパフォーマンスは、中国の事を何も知らない旅行者が初めて観ていても飽きない内容だと思う。

 エンタメって『感動』を生んでナンボだと思うし、やっぱり個人的には『凄い』ものが観たいんだよね。昔は日本も『世界に追いつけ追い越せ!』って感じで、そうだった筈なのに、いつしか満たされて胡座かいて、気付けば『ドメスティックな内輪受け』になってしまってる気がしてならない。実に残念。

 そんな事を深く考えた 2021年旧正月大晦日。水瓶座新月の夜。

 上海では爆竹が禁止されて久しいので、実に静かな年明けでツマラなかったが、酔っ払って一人静かにこういう事を考える年明けも悪くない?かなw

 大家新年好!恭喜发财!来年もよろしく!
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