中国de音楽4

中国在住の日本人音楽家による、日々の日記です。

丸一日ダウンロード監視員

 木曜日、上海は曇り、気温は 13度。今年は暖冬な気がする今日この頃。

 朝 8時、松江区の寮にて自然起床。なんとなく素敵な夢を見ていた様な気がするが、内容を全く覚えていない。まぁ起きてしまえば五十肩の痛みとの戦いでイキナリ現実に引き戻されるからね。でもなんかとっても良い夢だった気がするのでできれば思い出したい所なので、トイレで色々と思いを巡らせるも全然思い出せなかった。ちぇっ!つまんないの。これも老化か?

 午前 9時過ぎに寮を出て徒歩 10分通勤にてオフィスへ。どんより曇っていてどーにも気分がスカっとしない。気圧が低いせいと思われる。

 出社後は某日本の大御所さん案件のフルオケ収録が終わったとの事で、日本から ProToolsのセッションファイルのアップロード完了連絡が来た。そうそう!コレ、首を長くして待っていたのだよ。なんだかんだで足掛け 3年!? 自分が関係する PJでは間違いなく桁違いに最も高いギャラの案件である(苦笑)
 さっそくデータ共有場所を確認したら、これがまぁなんと! 100 Gbyte以上(全部で 120G近く)もあるじゃないか(驚)うっひゃー。日中間の回線は細いのでダウンロードは大変なのだよ。

 とりあえず1曲ずつDLを始めるも、当たり前だが全然進まない(呆) なんとか一番短い一曲を 1時間強をかけてダウンロードが成功したので、早速セッションを開いて確認してみたら、なんと! 96KHz/32bit floatのセッションだった。どうやら全てのマルチトラックが 96KHz/32bitで録られてるらしい…そりゃ重たいワケだわ。

 ま、オーケストラ物は確かに倍音が多いのでハイレゾで録った方が良いけどね。でもデータ量が倍増するからネットで納品する海外案件は考えものだなぁ…。とか何とか?独り言を言いながらもダイジなデータである。DL完了と同時に直ぐにバックアップを取って中身を確認。

 久々に日本のエンジニアさんの作った ProToolsセッションファイルをじっくり見たが、やはりとても勉強になった。ver.12以降に新たに追加された新機能をカナリ使いこなしていて感心した。エンジニアさんは比較的古いベテランさんが多いので、昔からあるベーシックな機能だけを使ってるのかと(勝手に)思い込んでいたのだ。ワタクシが知らない機能まであって凄く勉強になった。

 何が感動したか?って、とにかく『録り音』が素晴らしい事である。今回、Recのセッションと TDのセッション両方入っていたのだが、録りのセッションの生データ(プラグイン無し)だけで凄い臨場感なのだ。もちろんオケものは例えばストリングスなんかは 86432を一気に録っているので、各トラックのマイクにはそれぞれ他の楽器の音が結構カブって入っているのだが、全部フェーダーを同等に突いても不自然な位相のズレとかが全く無いのだ。いやぁ…久々に感動した。コレってマイキングのテクニックなのかなぁ? それとも 96KHzだから?(恥ずかしながら96KHzでこんなに多くのトラックを一度に聴くのは初めてなのだ) あるいはその両方かもしれないな。あと、当たり前だが日本のミュージシャンの演奏の上手い事。殆どノーミスである。(もちろん数回録り直しているが、各テイクは縦レイヤーの playlistに残ってて全部聴く事が可能だったので聴いてみたのだが、NGテイクは『誰かがミスる』というよりは、音量の起伏付けだったり、フレーズのスピード合わせだったり?そういった細かい部分の違いばかりだったのだ)いやはや…こりゃスゲーわ。

 オーケストラ物は、ホントに(50以上もの)多くの楽器が同時に鳴ってるし、かつコーラス隊も20人程居たりして、凄い音数なのに全然飽和してないのが凄い。マイクの位置だけでノーEQでこんだけ出来ちゃうんだね。いやぁ…感動。良い勉強になるわ。
 この PJ、ちょっと色々あって辟易していたが、最後の最後に!? 日本のクラシック畑のプロミュージシャンと録音スタジオのクオリティとエンジニアさんの技術力に救われた気がする。

 …とか何とか感動しながらも、別画面でダウンロードを常に監視していないと直ぐに途中でコケてたりするので、結局今日は丸一日ダウンロード監視員的な業務で丸一日が終わってしまった感は否めない。
 夜 8時過ぎに何とか全部のデータをダウンロード完了。セッションファイルも全て正常に開く事ができたので良かった。細かいチェックは明日以降だな。

 21時過ぎにオフィスを出て徒歩 10分通勤で寮に帰宅。その後は昨日コルクを抜いたフランスワイン(昨日届いた YellowTailじゃなくて、その前に大人買いした最後の一本)を片手に WBSの録画を観ながら一人宴会開始。今日は結局ブログネタを一枚も撮らなかったので結局コレだけw
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 いやぁ…結構長年音楽に携わってるけど、まだまだ知らない事はたくさん有るし、たくさんの感動があるものだね。幾つになっても感動できるって素敵だ。

 本件、私が入社する前から続いてる足掛け 3年もの長い PJで、既に担当者が 2人も変わってるし、あまりにも色々あり過ぎて最後の最後まで大変だったが、コレでようやく終止符を打つ事ができそうだ。結果よければ全てよし?かな。
 ま『作品が全て』という意味合いに於いては、プロセスはともかく、やはりプロの仕事だった事は認めざるを得ない。色々と悔しいけど、最終的な音(作品)は『お客様を感動させる事ができる』力を持っている事は確かな様だ。ただ、間に入っているエージェントを含めた『風通しの悪さ』だけは個人的には全く納得行ってないけどね。

 何はともあれ、今年はイライラしない! 物事の良い側面だけを見て生きていこうと思う。森羅万象に感謝!
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